「……おやすみ、カタリーナ」
「はい。おやすみなさい、おにいさま」
カタリーナが目を閉じると、彼女の長いまつ毛がいっそう強調される。
ウェーブがかった茶色い髪を上から下へと撫でていると、彼女はすぐに寝入ってしまう。
(あいかわらず寝入るのが早い)
ルイスはクスッと笑って、こういうところはまだまだ子どもだな、と思うのだった。
カタリーナにはガヴァネスをつけているが、閨事に関してはいっさい教えていない。
あどけなさを残した可憐な彼女をじいっと見つめる。純真で無垢な寝顔だ。
(なにも知らなくていい)
そうすれば彼女は、いつまでも僕と夜をともにしてくれるだろう――。
「……カタリーナ」
呼びかけたものの、返事は期待していない。
むしろ、答えはないほうがいい。
もう一度「カタリーナ」と呼びかける。
返事がないのを確認してから、ルイスは横たわる彼女のネグリジェの裾をなかのシュミーズごとつかみ、するすると引き上げていった。
豊かな乳房がふたつ、顔を出す。
ルイスは大きく息をしながらそのふたつのふくらみを両手でつかんだ。
鮮やかな薄桃色の尖りを指のあいだに挟み、ぐにゃぐにゃと円を描いて揉みまわす。
(僕は……なんてことをしているんだ)
毎夜こうして彼女の胸をまさぐっては、罪悪感で心が押しつぶされそうになる。
それでも、やめられないのだ。
はじめは、彼女の胸がどれくらいの大きさなのか目で確かめるだけだった。
しかし毎晩のようにそうしてカタリーナが寝入ったあとに胸を見ていると、触れてみたい欲求に駆られた。
さすがにさわるのはどうかと思って、数日はずっと我慢していた。
しかしあるとき、ネグリジェとシュミーズの裾をめくり上げる途中で誤って彼女の乳房に触れてしまった。
なめらかな肌ざわりと、やわらかさのなかにある弾力。ふくらみをつかんで、その感触を確かめずにはいられなくなった――。
ルイスは身をかがめ、カタリーナの胸を間近で観察する。
彼女は寝ているので生理現象だと思うが、胸を揉んでいると先端がいっそう尖って硬くなる。そこを指でつつくのが、ここ最近の楽しみだ。
硬くしこった乳頭は指で押し込んでもかたくなにその指を弾き返してくる。それがまた面白い。
ルイスは何度も、カタリーナの乳首を指で押し込んではつまんで引き戻した。そうしてそこをいじくりまわして遊ぶ。
そんなことをしていると下半身が熱をたたえてくるのだが、そこは無視する。
寝ているカタリーナを犯すつもりはない。いや、意識のない彼女の乳房をまさぐっているだけでもじゅうぶん、犯罪的な行為をしているという自覚はある。
「おにいさま……」
ルイスは両肩をビクリと弾ませて手を止める。
どうやら寝言だ。
ルイスは下唇を噛んだ。
そう呼ばせたのは自分だというのに、いまは――兄と呼ばれることが、この上なくつらい。