「どう? 美容によさそうでしょ」
「……っ、ぜんぜん、よさそうじゃない。だから、もうやめて」
弧を描いていた唇が平坦になり、ついには一文字に引き結ばれた。オーガスタスはからかいのない表情でリルをじいっと見つめている。
「なぜそれほどまでに拒む」
一瞬だけ身がすくんだ。
これまでの口調と違う。なにがどう異なるのか、具体的な説明はできない。
ただ漠然と、やわらかさを感じないというだけだ。
(つい忘れてしまう。彼が王族だということを)
本来ならそういう、どこか高圧的な口調のほうが王族らしいと言えばまあそうだ。
オーガスタスはいままで意図して、他人に――リルに警戒されないような物言いをしていたのだろうかと勘ぐってしまう。
彼の鮮やかな配色の双眸が揺れ、唇の端が上がった。
「……マレット男爵のことが好き?」
眉間には深くしわが寄っている。
「好きな、ひとなんて……いない。……んっ!」
きゅっ、と乳頭の根もとを強く挟まれた。ぴりっ、と体のなかにスパイスを入れられたような心地になる。
「それじゃあ、僕にこうしてさわられるのが、たんに気持ち悪いってこと?」
オーガスタスの表情がひどくかげった。
彼はこれまで他人に拒絶されたことがあるのだろうか。
だからいま、こんなにも泣き出しそうな顔をしているのだろうか――。
「気持ち悪くなんかない」
むしろその逆だ、と言ってしまいそうになり、あわてて口もとを押さえて咳払いをする。
「とにかく、あなたがどうこうって話じゃないの。私たち、なんでもないんだから……。こんなこと、おかしいわ」
「なんでもない、か。たしかにそうかもしれないね、いまは」
「ひゃっ……!」
つんっ、と両方の乳頭を指で弾かれた。身をよじって前を隠そうと試みるが、乳房ごとソファに体を押し付けられているから動けない。
「いい手ざわりだ」
嫌がる素振りをみせるリルなどおかまいなしにオーガスタスは乳首の根もとを指でこすり立てる。
先ほどのリルの言葉をうのみにしているのだろう。すっかり自信を取り戻したようすで彼女の薄桃色をくにくにといじっている。
「嫌だ、って、言ってるのに……!」
恨みがましく彼を見上げる。白金髪の男は小首を傾げてほほえむだけ。乳首をこねくりまわすのをいっこうにやめない。それどころかエスカレートしていく。
「ねえ、そろそろこのうまそうなイチゴを食べてもいいかな」
「だっ、だから……! ひとの話、聞いてた?」
「んー……。『ひとの話、聞いてないでしょ』っていつもまわりから怒られる。ごめんね」
そんなふうに謝られてはたまらない。自覚していても、それをただす――他人の話を聞く気は、毛頭ないらしい。
彼の色っぽい唇が大きくひらく。リルはいよいよあせる。
「やっ、いや……!」
両手をソファに縫い付けられた。体をくねらせるが、先端は揺れるばかりで隠せはしない。
尖った先端を、意図せずなまめかしく揺らすリルの姿はオーガスタスの加虐心をあおる。火に油だ。
「ああ、たまらない――」
ぽつりと、つぶやき声が聞こえた。
「ひっ、あぁぁ!!」
左の乳頭を生温かい舌が舐め上げた。
初めての感覚に、リルは卒倒しそうになる。恥ずかしいのと、それから認めたくはないが気持ちがよくて、下半身のある一点がひくひくとうごめく。
「ん、すごくいい反応だ。もっと舐めてあげる」
「なっ、もう、だめ……!」
「いやだ。ほどよくコリコリになってて、舐め心地がいい。どこまで硬くなるか試してみたい」
そんなことは試さなくていいと、告げることができなかった。
「ああっ、う……っ」
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「……っ、ぜんぜん、よさそうじゃない。だから、もうやめて」
弧を描いていた唇が平坦になり、ついには一文字に引き結ばれた。オーガスタスはからかいのない表情でリルをじいっと見つめている。
「なぜそれほどまでに拒む」
一瞬だけ身がすくんだ。
これまでの口調と違う。なにがどう異なるのか、具体的な説明はできない。
ただ漠然と、やわらかさを感じないというだけだ。
(つい忘れてしまう。彼が王族だということを)
本来ならそういう、どこか高圧的な口調のほうが王族らしいと言えばまあそうだ。
オーガスタスはいままで意図して、他人に――リルに警戒されないような物言いをしていたのだろうかと勘ぐってしまう。
彼の鮮やかな配色の双眸が揺れ、唇の端が上がった。
「……マレット男爵のことが好き?」
眉間には深くしわが寄っている。
「好きな、ひとなんて……いない。……んっ!」
きゅっ、と乳頭の根もとを強く挟まれた。ぴりっ、と体のなかにスパイスを入れられたような心地になる。
「それじゃあ、僕にこうしてさわられるのが、たんに気持ち悪いってこと?」
オーガスタスの表情がひどくかげった。
彼はこれまで他人に拒絶されたことがあるのだろうか。
だからいま、こんなにも泣き出しそうな顔をしているのだろうか――。
「気持ち悪くなんかない」
むしろその逆だ、と言ってしまいそうになり、あわてて口もとを押さえて咳払いをする。
「とにかく、あなたがどうこうって話じゃないの。私たち、なんでもないんだから……。こんなこと、おかしいわ」
「なんでもない、か。たしかにそうかもしれないね、いまは」
「ひゃっ……!」
つんっ、と両方の乳頭を指で弾かれた。身をよじって前を隠そうと試みるが、乳房ごとソファに体を押し付けられているから動けない。
「いい手ざわりだ」
嫌がる素振りをみせるリルなどおかまいなしにオーガスタスは乳首の根もとを指でこすり立てる。
先ほどのリルの言葉をうのみにしているのだろう。すっかり自信を取り戻したようすで彼女の薄桃色をくにくにといじっている。
「嫌だ、って、言ってるのに……!」
恨みがましく彼を見上げる。白金髪の男は小首を傾げてほほえむだけ。乳首をこねくりまわすのをいっこうにやめない。それどころかエスカレートしていく。
「ねえ、そろそろこのうまそうなイチゴを食べてもいいかな」
「だっ、だから……! ひとの話、聞いてた?」
「んー……。『ひとの話、聞いてないでしょ』っていつもまわりから怒られる。ごめんね」
そんなふうに謝られてはたまらない。自覚していても、それをただす――他人の話を聞く気は、毛頭ないらしい。
彼の色っぽい唇が大きくひらく。リルはいよいよあせる。
「やっ、いや……!」
両手をソファに縫い付けられた。体をくねらせるが、先端は揺れるばかりで隠せはしない。
尖った先端を、意図せずなまめかしく揺らすリルの姿はオーガスタスの加虐心をあおる。火に油だ。
「ああ、たまらない――」
ぽつりと、つぶやき声が聞こえた。
「ひっ、あぁぁ!!」
左の乳頭を生温かい舌が舐め上げた。
初めての感覚に、リルは卒倒しそうになる。恥ずかしいのと、それから認めたくはないが気持ちがよくて、下半身のある一点がひくひくとうごめく。
「ん、すごくいい反応だ。もっと舐めてあげる」
「なっ、もう、だめ……!」
「いやだ。ほどよくコリコリになってて、舐め心地がいい。どこまで硬くなるか試してみたい」
そんなことは試さなくていいと、告げることができなかった。
「ああっ、う……っ」