森の魔女と囚われ王子 《 第三章 10

 薄くほほえみ、挑発的に見上げられれば、心の内に関係なく「やめて」と口から出てしまう。そうしたところで彼がやめないのをわかっていながらも――。

「とろけてるね……。うまそうだ」

 つかまれている両脚が、無意識にぴくっと動いた。ひとりでに動いているところはほかにもある。いましがた「とろけている」と指摘された箇所だ。
 そこを満たしてくれるものの存在を待ち望み、蜜道はひくひくと期待まじりにうごめいている。
 オーガスタスの舌は太ももの内側をたいそうまわり道しながらねっとりと這い、茂みを飛び越え、ようやく淫唇にさしかかった。

「あなたのここは僕の欲をそそる。焼きたてのパンよりも、ね」
「っぁあ……!」

 蜜口をじゅううっ、と吸い上げられている。彼の喉もとがごくりと動いた。蜜の筒から淫液を吸い出し、飲み込んでいる。

「やっ、ぁぁ、やめて……!!」

 羞恥で身が焦げる思いだった。リルはぶんぶんと首を横に振りながら腰を引く。しかし両脚にはたくましい腕が絡みついていた。少し腰を引いたくらいでは、オーガスタスの口淫から逃れることはできない。

「……どうして? あなただって僕の体液を飲み込んだじゃないか。だから僕も同じことをしているだけだよ」

 なまめかしく濡れている唇の端をぺろりと舐め、オーガスタスはほほえむ。

「……っ、とにかく、だめ……。へんになってしまいそう」
「ふうん……?」

 もうとっくにへんだろ、と言われているようだった。まぶたを細めて嗤う彼の表情が、そんなふうに訴えかけている。あるいは、そういう自覚があるからかもしれない。

「じゃあ蜜を飲むのはやめる」
「……っふ」

 それでは、つぎはなにをされるのだろうと不安になって身構える。
 体を硬くするリルを解きほぐすようにオーガスタスは彼女の素肌をゆっくりと撫でた。手のひらの温度はすっかりリルと同じになって、なじんでいる。
 温かな指先がやわらかな陰唇をゆるゆるとたどり、莢を大仰に払ってなかの芽をくすぐる。

「うぅっ……」

 達したとはいえいまだにそこは敏感だ。ぷっくりとふくらんで、ささいな刺激でも過剰に反応する。

「すごく敏感だね。舌で触れるほうがいいみたいだ」
「なっ……! い、や……っ」

 否定してみるものの、淫芽はかつての快楽を記憶していた。舌で触れられることの快さを覚えている。

「あぅ……んっ!」

 つんっ、と舌先でわずかに突つかれただけで、びりびりとした悦楽が体中に駆け巡った。
 それだけならまだしも、あわいの入口も責められる。オーガスタスは中指を膣口に沈み込ませ、えぐるように円を描いてまさぐった。

「ひぁっ、ぁ……! やぁ、っあ、ンッ……!」

 指はどんどん奥へ進んでいく。痛みはなく、あるのは快感ばかりだ。

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