翌日は快晴だった。
朝早くに目が覚めたリルはあちらこちらときしむ体にむちを打ってパンを焼き、掃除洗濯といつもどおりにこなして、昼前には農作業用の服を着て外へ出た。
「リル」
「ひゃっ!?」
裏口から庭へおりる階段の中腹で、急にうしろから抱きしめられた。その弾みで麦わら帽子がひらりと舞って、階段のいちばん下に落ちる。
リルは片目をわずかに細めた。白金髪が、目に入りそうな位置にあるからだ。オーガスタスはリルに頬ずりをしている。
「リルは本当に働き者だ。体、つらくないの?」
「っ、ちょ……!」
腰に巻き付いていた彼の腕がグレーの下衣をさする。つかず離れず、絶妙な加減で生地越しに恥丘を押されている。リルは頬を赤らめて答える。
「まだ、痛いけど……。天気がいいうちにしかできないことがあるから、やらなくちゃ」
「ふうん……。じゃあ、僕も一緒にする。やりかたを教えてくれる?」
リルは「えっ」と小さく声を漏らして振り返った。
「生粋の王子様に、過酷な農作業が務まるかしらねぇ……」
ふふん、と嘲笑して鼻を鳴らす。するとオーガスタスは頬ずりをやめた。
「――っふ!?」
むぎゅっ、と乳房を両方とも、大きな手のひらに覆われてしまった。全力でもがく。しかし彼の腕からは逃れられない。
農作業用の衣服ではコルセットを着ない。乳房だけでなくその先端も、無防備だ。
「ぁ、んく……っ。や、めて……!」
なんの守りもない乳頭をオーガスタスは生地のうえからコリコリと押して刺激する。
「やめ、て、ったら……! ねえ……!!」
「ん? なに? ぜんぜん聞こえない」
オーガスタスは先ほどリルが口走った嫌味を根に持っているようだ。
「おっ、王子様に手伝っていただけるなんて光栄です! お言葉に甘えて、よろしくお願いしますっ」
早口で告げると、ようやくリルの胸は解放された。はぁっ、と息を荒げながら胸もとを両手で隠す。
にやにやと顔をほころばせているオーガスタスを、リルは眉間にしわを寄せてじとっと見つめた。
野菜の収穫は順調に進んだ。オーガスタスは初めは手間取っていたが、しだいにどんどん要領を得て、終わりかけにはリルと変わらぬ速さで収穫できるほどになっていた。
(こうも簡単に追いつかれちゃうのは、なんだか悔しいわね)
収穫した野菜を倉庫へ運びながらリルは心のなかだけでつぶやいた。口に出したら、王子様がつけあがりそうだ。
そうは思えど、手伝ってもらったのだから礼は言わねばならない。
畑の端で、腰に両手をついて仁王立ちする彼のもとへ向かう。どうやら夕陽を眺めている。
「オーガスタス、今日はありがとう。あなたのおかげでいつもより早く済んだわ」
彼が振り返る。夕陽に染まった髪はふだんよりも金色に見えた。
「そう、よかった。じゃあ今夜はご褒美をちょうだい」
白い歯を見せてオーガスタスが笑う。
「む、無理よ! ヘトヘトなんだから」
「うん、だからリルの負担にならないようにする。さあ、すぐお風呂にしよう?」
「え、ちょ……っ!」
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朝早くに目が覚めたリルはあちらこちらときしむ体にむちを打ってパンを焼き、掃除洗濯といつもどおりにこなして、昼前には農作業用の服を着て外へ出た。
「リル」
「ひゃっ!?」
裏口から庭へおりる階段の中腹で、急にうしろから抱きしめられた。その弾みで麦わら帽子がひらりと舞って、階段のいちばん下に落ちる。
リルは片目をわずかに細めた。白金髪が、目に入りそうな位置にあるからだ。オーガスタスはリルに頬ずりをしている。
「リルは本当に働き者だ。体、つらくないの?」
「っ、ちょ……!」
腰に巻き付いていた彼の腕がグレーの下衣をさする。つかず離れず、絶妙な加減で生地越しに恥丘を押されている。リルは頬を赤らめて答える。
「まだ、痛いけど……。天気がいいうちにしかできないことがあるから、やらなくちゃ」
「ふうん……。じゃあ、僕も一緒にする。やりかたを教えてくれる?」
リルは「えっ」と小さく声を漏らして振り返った。
「生粋の王子様に、過酷な農作業が務まるかしらねぇ……」
ふふん、と嘲笑して鼻を鳴らす。するとオーガスタスは頬ずりをやめた。
「――っふ!?」
むぎゅっ、と乳房を両方とも、大きな手のひらに覆われてしまった。全力でもがく。しかし彼の腕からは逃れられない。
農作業用の衣服ではコルセットを着ない。乳房だけでなくその先端も、無防備だ。
「ぁ、んく……っ。や、めて……!」
なんの守りもない乳頭をオーガスタスは生地のうえからコリコリと押して刺激する。
「やめ、て、ったら……! ねえ……!!」
「ん? なに? ぜんぜん聞こえない」
オーガスタスは先ほどリルが口走った嫌味を根に持っているようだ。
「おっ、王子様に手伝っていただけるなんて光栄です! お言葉に甘えて、よろしくお願いしますっ」
早口で告げると、ようやくリルの胸は解放された。はぁっ、と息を荒げながら胸もとを両手で隠す。
にやにやと顔をほころばせているオーガスタスを、リルは眉間にしわを寄せてじとっと見つめた。
野菜の収穫は順調に進んだ。オーガスタスは初めは手間取っていたが、しだいにどんどん要領を得て、終わりかけにはリルと変わらぬ速さで収穫できるほどになっていた。
(こうも簡単に追いつかれちゃうのは、なんだか悔しいわね)
収穫した野菜を倉庫へ運びながらリルは心のなかだけでつぶやいた。口に出したら、王子様がつけあがりそうだ。
そうは思えど、手伝ってもらったのだから礼は言わねばならない。
畑の端で、腰に両手をついて仁王立ちする彼のもとへ向かう。どうやら夕陽を眺めている。
「オーガスタス、今日はありがとう。あなたのおかげでいつもより早く済んだわ」
彼が振り返る。夕陽に染まった髪はふだんよりも金色に見えた。
「そう、よかった。じゃあ今夜はご褒美をちょうだい」
白い歯を見せてオーガスタスが笑う。
「む、無理よ! ヘトヘトなんだから」
「うん、だからリルの負担にならないようにする。さあ、すぐお風呂にしよう?」
「え、ちょ……っ!」