クールでウブな上司の襲い方 《 番外編(2) 05

 耳を打つ波の音はしだいに自身の水音にかき消されていき、ここがビーチだということを忘れてしまいそうになる。

「んんっ、ぅ」

 ひと突きされるたびに体は前へ動き、岸壁についている両手に力がこもり、足先は初めのころよりもはるかに砂浜に沈み込んでいる。
 足もとにはあいかわらず陽が照りつけているので、砂の中に埋まったことでよけいにジリジリとして熱く、快感は鮮烈だ。

「ゃっ、慎太郎、さ……ん! もう、わたし……ッ」

 顔も体もガクガクと揺れ、額や胸もとを伝う汗はとめどない。滝のようにとまではいかないが、次々と噴き出して肌を濡らしていく。

「ん……、俺もだ」

 息を多分に含んだ艶っぽい声で慎太郎はつぶやき、優樹菜の乳頭と下半身の淫芽をきゅうっといっそう強くつまんだ。

「――っ!」

 そのあとすぐにふたりが絶頂したのは、言うまでもない。

***

 ――浮き輪に乗って海を漂うのはどうしてこんなにも気持ちがよいのだろう。


 慎太郎のお気に入りキャラクターであるくまっぷまんが寝そべる形をした浮き輪に仰向けに寝転がり、優樹菜は浅瀬で漂い居眠りをしていた。
 太陽はいまちょうど雲に隠れているので暑さもほどほどだ。過ごしやすい。
 慎太郎はというと、くまっぷまん浮き輪のかたわらで静かに優樹菜を見守っていた。腰のあたりまで海水に浸かっている。
 いよいよ本格的に寝入ってしまいそうになっていると、

「――っ!??」

 なにかが胸もとを這う感覚がして、あわてて目を見開く。

「……すまない、起こしてしまったか」

 謝罪の言葉とは裏腹に慎太郎は何食わぬ顔で優樹菜の乳房に手をあてがっていた。いつのまにそうされたのか、水着が見当たらない。上半身が裸になっている。

「なな、なっ、なにを」
「まあそう暴れるな。ふたりきりなんだから構わないだろ」

 慎太郎はどこか飄々とした態度で薄桃色のいただきをまさぐる。

「だっ、だから、そういう問題じゃなくって……ん、ンッ!」

 勃ち上がり始めた乳首をギュムッと指でつままれる。慎太郎の暴挙はなおも続く。

「せっかくだ。こっちも脱いでしまえ」
「ちょっ……!!」

 下半身を覆っていた水着も脱がされそうになった優樹菜はジタバタと暴れた。
 くまっぷまん浮き輪が波を蹴って不規則に揺れる。

「わわっ、もう本当にやめてください! 海に落っこちちゃう」

 泳ぎはあまり得意ではない。

「そんなに嫌、か?」
「だ、だから……ッ」

 慎太郎がその秀麗な眉を妙な具合にひそめる。

「たとえきみが嫌がっても絶対に放さないから安心してくれ。この先、一生涯」
「――!!」

 ぼっ、とそんな音が立っているかと錯覚してしまう。優樹菜の頬は瞬く間に色を変えた。

「顔が真っ赤だぞ」
「ひ……日焼け、です」
「口実はよくないな、優樹菜」

 言いながら、彼もまた頬を朱に染めていた。


FIN.

お読みいただきありがとうございました( ^ω^ )

熊野まゆ

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