御曹司さまの独占愛 《 11

 和臣は若菜の中に沈めた指を四方にうごめかせて内壁を広げる。まるでそこに何とかして空間を作ろうとしているようだった。

「……だいぶ、ほぐれたか?」

訊かれても、答えようがない。自分自身のことだが、なにぶん経験がないゆえによくわからない。もとより彼の声はとても小さく、独り言のようだった。若菜に答えは求めていない。
 和臣の指が体から抜ける。そんなときまでずぷっ、ぬちゅっと卑猥な水音がした。
 若菜は息を荒くしたまま彼を見つめる。和臣もまた、乳房をさらし秘所をあらわにした若菜を見つめていた。着物は腰紐で留まっているが、なにも着ていないも同然の恰好だ。
 若菜の腰紐を片手でするするとほどきながら和臣は言う。

「若菜……。きみの中に入りたい」

 ――体に力が入らない。されるがまま、袖が腕から抜けていく。
 彼もまた自身の着物を脱いで畳の上に捨て置いた。初めに見たときと変わらず、和臣の下半身はたぎっている。

「どうかうなずいて。首を縦に振るんだ」

 和臣に両膝をつかまれ、押し上げられる。脚の付け根に一物をあてがわれた。自分でもよくわからない場所を、彼の猛々しいそれがもどかしそうに行ったり来たりする。膣口からあふれた蜜を肉棒の先端が絡め取り、そのすぐ上の突起にぬるりと擦りつけられる。

「あ、ふ……っ!」

 和臣はなおも花芽を竿で刺激して、若菜を煽る。

「――若菜」

 答えを急かすような、強い語調だった。
 どうしたらよいのかわからない。怖いという気持ちのほうが先に立つ。けれど、主人の命令に逆らえないのは下働きをしている者の性≪さが≫なのか、無意識的にコクンとうなずいていた。
 和臣の瞳がわずかに見開き、すぐに細くなる。喜んでいるようにも、緊張しているようにも見える複雑な表情だ。
 ごくり、と彼の喉が鳴った。それが皮切りの合図だった。
 自分の体よりも狭い場所へ何とかして入ろうとしている――そんな印象を受けた。

(こ、こんな……は、入るの!?)

 見た目からしてもそうだが、下半身の秘所に当たっている一物は明らかに体の中に入りそうにない。彼のものを受け入れる自分のそこがどれくらいの大きさなのかわからないけれど、そんな大きな穴が開いているとは思えない。

「……あ、あのっ」

 若菜はいまにも消え入りそうなか細い声で呼びかけた。しかしその小さな声は、タイミングを合わせたように響いたししおどしの音に邪魔をされて和臣の耳には届かない。
 若菜の迷いを知らぬ彼が、無遠慮に押し入ってくる。

「――っ!!!」

 想像を絶する――いや、和臣とのこんな行為を以前から想像していたわけではないから語弊があるが、とにかくすさまじい異物感に見舞われた。同時に強烈な痛みにも襲われる。彼の剛直が身の内に沈んでいくのがありありとわかった。

「は……」

 根もとまで収めきると、和臣は長く息を吐き出した。

「ひとつに、なれた」

嬉しそうに、どこかまぶしそうに和臣がほほえむ。その笑顔を見た一瞬だけ、痛みが吹き飛んだ。

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