御曹司さまの独占愛 《 10

(ああ、こんな……こんなこと)

 布団の中に潜り込んですべてを隠してしまいたい。けれど、掛け布団はどこかへ行ってしまったし和臣に両手首をつかまれたままなので身動きが取れない。もしかしたらいまならば彼の手の力が緩んでいるかもしれないと思って両手を動かそうと試みたが、そううまくはいかずピクリとも動かせなかった。

(ううっ……)

 心の中で嘆いて、若菜は眉尻を下げる。困り果てて恥じらう若菜を盗み見たあと、和臣は大きく息を吸い込んだ。それから、充血してぽってりとふくらんだ若菜の花芯を舌先でくすぐった。

「ぁあっ! あ……やっ、和臣さ……ぁ、んんっ!!」

 若菜の手首を押さえていた和臣の両手がぴくりと動く。若菜の乱れた着物を伝って這い上がり、むきだしの乳房をとらえてそのいただきをこねまわす。

「――っぁ!? あ、だめ……ぁっ、あぁっ!」

 胸の飾りをそんなふうにこねまわされるだけでもたまらないのに、下半身の突起を素早く舌でなぶられている。頭の中がしだいに霞がかってきた。恥ずかしいだとか、いけないことをしているというようなほかのことを、なにも考えられなくなる。身も心も快感一色に染まっていく。

「ふぁ、あっ……、あぁあっ――……!」

 頭の中が真っ白になり、そこへ星が飛ぶ。目の前がチカチカして、高いところから突き落とされたような心地になる。

「は、ぁっ……はあっ」

 若菜は汗ばんだ胸もとを大きく上下させる。酸素が足りない、と脳が叫んでいるような気がした。
 和臣がゆっくりと顔を上げる。

「……きみは童顔だと思っていたけど……そんなことはないな。こういうときのきみは」
「そ、それって……どういう――」

 ずちゅっ、という水音がすべてをうやむやにする。 

「ひ、ぁっ!?」

突然、下半身に強烈な違和感を覚えた。驚いて下を見る。和臣の指が、体の中にうずまっている。

「なっ、え……ぁ、アァッ!」

 彼の中指は瞬く間に根もとまで体の中におさまってしまった。違和感はあるものの、痛みはない。

「狭い……けど、よく濡れている」

 和臣は口もとを愉しげに歪めて中指を前後に突き動かす。

「ほら、ぐちゅぐちゅって音……聞こえるだろう? 若菜、きみが奏でているんだ」

 これみよがしにそう言われては意識せざるを得ない。

(この、水音を……私が)

 いまならきっと顔面で目玉焼きができる。恥ずかしくて、どうしようもなくて、気持ちがいい。

「うっ、ふ……うぅ、ん……ッ!」

 遠くで聞こえるししおどしの音に自身の嬌声がまじる。風情に欠けていて、何ともいたたまれない。

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