いたずらな花蜜 ~妖精がつなぐ未発達な恋心~ 《 エピローグ

「フィッ、フィース……! だめよ、こんなところで」
「なぜ。今日は雨なんて降りそうにないよ」
「そういうことじゃなくて……。ぁっ」
 結婚式を終えた二組のカップルは秘密の花園にいた。
 ふたたびそれぞれの花に宿ったアドニスとリリアンは眠っているのか、それともアリシアたちに遠慮したのか姿が見えない。
 萌黄色の蔓薔薇が自生しているのとは反対側の壁際にアリシアは追いやられていた。
 白に近いクリーム色のドレスはものの見事に胸もとを乱され、ふくよかな乳房が露呈している。
 フィースは彼女の後ろに立ち、腕をまわり込ませて薄桃色のトゲを指でつまみ上げた。
「やぅっ、う! フィース、やめ……」
「んー? でもアリシア、乳首がカチカチになってるよ」
「だって……。んっ……! あなたが、さわるから」
「ああ、その『あなた』っていうの……。前から思ってたけど、すごくいい。ほかの男には絶対に言っちゃダメだよ」
「ひぁっ!!」
 ぎゅむっ、とひときわ強く乳頭を引っ張り上げられた。硬くしこっていただけに、刺激の強さはひとたまりもない。ガクガクと両脚が震えてくる。
 フィースはアリシアの首すじにちゅうっと口付けたあとでつぶやく。
「ダメだな……。すぐに挿れたくてたまらなくなる。……いい? アリシア」
 挙式のときドレスの下に身につけていたあのドロワーズを常用させられているので、ドレスの裾をめくり上げられればすぐに秘所が無防備になる。
 切っ先はすでに膣口にあてがわれている。もはや拒みようがないし、イヤだとかダメだと言ったところで彼がやめることはないだろう。
 アリシアは少しだけ後ろを振り返ってうなずいた。するとすぐに、猛々しい肉塊が嬉しそうに突き込んできた。
「は、ぁぅ……っん、くぅっ!」
 背後から楔を埋め込まれたことで体勢が安定して脚の震えが止まる。しかしそれもいっときのことだ。
「ふぁっ、あん、んっ……!!」
 激しい前後運動がアリシアの体を揺さぶり、このうえない快楽を生み、結局はまた下半身を震わせることになる。
「アリシア……。アリシア……ッ」
 名を呼ばれ、懸命に求められるのは喜ばしい。気持ちは充分すぎるほど満たされている。だから――もう少し加減してもらえたら、とも思う。
 侯爵位を得て騎士団長となり、正式に業務を引き継いだことで忙殺されているはずなのに。挙式という一大事を終えて少なからず疲れているはずなのに――彼はいまでも日々体を鍛えているだけあって体力は底なしだ。
 どこででも、何度でも。
 疲れ知らずで求められることに、アリシアはまだまだ慣れそうになかった。


<おわり>

お読みいただきありがとうございました!

熊野まゆ

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