先生の淫らな指先 《 01

 先生と「こういう」関係になったのはつい最近のことだ――。


「……失礼、します」

 わずかに震える指先で指導室の扉を開ける。カラカラと乾燥した引き戸の音と、放課後特有の喧噪――誰かの笑い声がする。
 部屋のなかにいる男をちらりと確認し、すぐにまた目を伏せる。

「ああ……。入れ」

 男の声はいつも平坦で抑揚がない。気のない、声。
 辻村 綾音(つじむら あやね)はうつむいたまま「はい」と小さく返事をして、指導室のなかへ入った。
 室内には夕日が差し込み、机を照らしていた。その片側には、腕と脚を組んで椅子に座る若い男。綾音の担任――雪谷 一翔(ゆきがや かずと)だ。

「……座れよ」

 綾音はびくっ、と肩を震わせた。
 先ほどと同じように小声で返事をして、先生の向かい側にある椅子に座った。

「それで? 自分で外したりしていないだろうな」

 綾音の頬がいっそう紅潮する。

「し、してません……」
「じゃあ、見せてみろ」

 うなずきながら下を向き、セーラー服のうえに羽織っていたセーターのボタンに手をかける。
 手もとがおぼつかない。性的に興奮しているからだ。
 ベージュのセーターを袖から抜けさせ、ひざのうえに置く。
 雪谷の視線は白いセーラー服の、ふくらんだところに集中している。そこは不自然に盛り上がっていた。

「電源、自分で入れてみろ。今日は一日、ずっと焦れてたんだろ?」
「そ、んな、こと……」
「ふうん……? まさか、もういじったあとじゃないだろうな」
「しっ、してません、自分でなんて」
「じゃ、早く」

 クイッ、といかにも横柄にあごを動かして雪谷は綾音を急かす。
 綾音はセーラー服の下、わき腹のあたりに手を入れて探った。そこに、ふたつのローターのスイッチが貼り付けてある。二本のコードは、乳房のもっとも敏感なところにつながっている。
 綾音はそっと、ローターのダイヤルをまわした。

「……っん」

 右の乳首がふるふると揺れ始める。ローターは乳首を震わせるべく貼り付けられていた。服の下でうごめくそれは綾音の下半身までもひくひくとうずかせる。

「もう片方も、入れろ」
「は、い……」

 ふたたび自身のわき腹を探り、もうひとつのダイヤルをまわす。

「ぁ……っ!」

 左側の乳首に貼り付けられていたローターも振動を始めた。綾音は机のうえに両手をついて、小さなおもちゃがもたらす快感に耐える。
 おもちゃで感じているのを見られるのですら恥ずかしいのに、雪谷は愉しそうに嗤って次の指示を出してくる。

「服を胸のうえまでめくり上げろ」
「……っ」

 向かいに座る男を涙ぐんだ瞳で見つめ、しかし綾音は反抗せず素直に従う。両手でセーラー服のすそをつまみ、ゆっくりと胸のうえまで引き上げた。
 ブラジャーはしていなかった。登校してきたときにはきちんと身につけていたが、今朝がた、この部屋で雪谷先生に没収されてしまった。
 下着の代わりに両方の乳首にローターを貼り付けられ、そのままずっと授業を受けていたのだ。

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