「リル、僕のを挟んで」
「ふ……っ?」
同じほうを向いて座るふたりの体が湯のなかでうごめく。
「あ……」
脚のあいだから、陽根が顔を出した。湯に沈んでいるから、ゆらめいて見える。
「ほら、もっと締めて。僕のを拘束して、あなたの脚で」
オーガスタスはリルの両脚をつかんでクロスさせた。そうすることで、いっそう肉棒が秘芯に当たるし、彼のそれも締まる。
「ん、じょうずだよ、リル……。そのまま締めていて」
硬直が上下に揺れ始める。ふたりの体を中心に、湯面に波紋が広がっていく。
「んぁっ、ふ……っ!」
初めは小さな波だったが、しだいに大きくなって、いまやばちゃばちゃと激しく水音が立っている。
乳房の先端をこりこりともてあそばれ、花芽をこする肉竿の動きとあいまってとても気持ちがよい。
畑仕事で疲れていたこと、彼がいつかはいなくなることを憂いていたのをすっかり忘れてリルはもたらされる快感に溺れた。
「リル、こっちを向いて……」
上半身をよじって振り向くと、唇を覆われた。割り入ってきた舌が歯列を撫で、リルのそれを絡め取る。体は互いに上下に激しく弾んでいる。彼の舌を噛んでしまわないか、少し不安になった。
しかしそう思ったのもつかの間、巧妙な舌戯のせいで快楽以外のことには意識がまわらなくなる。
不意に唇が離れた。リルは彼の名を、愛しさを込めて呼んだ。
「……――っ」
脚のあいだに挟み込んでいた一物が震えたのがわかった。半びらきの口で熱い息を吐くオーガスタスは性的な色香にあふれている。
白金の髪の毛も湯気で濡れているし、顔も体もしとどに汗をかいている。なまめかしさを感じずにはいられない。
急に、オーガスタスが笑った。
「……ナカに、欲しくなってない?」
「なっ……!?」
リルは彼を観察するのをやめて顔をべつのほうへ向けた。
(そんなに、ものほしそうな顔をしていたのかしら、私……)
自分自身のことなのに、どうしたいのかわからないので、ひとまず否定する。
「そんなわけないじゃない。まだなにかするつもりなの?」
つっけんどんにそう言うと、オーガスタスは静かにため息をついた。落胆しているようだ。
「……わかった。我慢するよ、今日は」
濡れた手のひらがリルの頬に触れる。右の頬、それから少し間をおいて、左の頬も。
「――明日は、いい?」
彼の表情はわからない。ふたりとも同じほうを向いているし、あたりはかなり暗くなってしまったので、向かい合っていたとしてもわかりづらいだろう。
「……わからない、わ」
はっきりと「いやよ」と告げなかったのは、リルにも「そういう」気持ちがあるからだ。
(いつまで、一緒にいられるんだろう――)
びゅうっ、と強く風が吹きすさんだ。
風にあおられた木の葉が暗闇のなかを舞い、音もなく湯面に落ちた。
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「ふ……っ?」
同じほうを向いて座るふたりの体が湯のなかでうごめく。
「あ……」
脚のあいだから、陽根が顔を出した。湯に沈んでいるから、ゆらめいて見える。
「ほら、もっと締めて。僕のを拘束して、あなたの脚で」
オーガスタスはリルの両脚をつかんでクロスさせた。そうすることで、いっそう肉棒が秘芯に当たるし、彼のそれも締まる。
「ん、じょうずだよ、リル……。そのまま締めていて」
硬直が上下に揺れ始める。ふたりの体を中心に、湯面に波紋が広がっていく。
「んぁっ、ふ……っ!」
初めは小さな波だったが、しだいに大きくなって、いまやばちゃばちゃと激しく水音が立っている。
乳房の先端をこりこりともてあそばれ、花芽をこする肉竿の動きとあいまってとても気持ちがよい。
畑仕事で疲れていたこと、彼がいつかはいなくなることを憂いていたのをすっかり忘れてリルはもたらされる快感に溺れた。
「リル、こっちを向いて……」
上半身をよじって振り向くと、唇を覆われた。割り入ってきた舌が歯列を撫で、リルのそれを絡め取る。体は互いに上下に激しく弾んでいる。彼の舌を噛んでしまわないか、少し不安になった。
しかしそう思ったのもつかの間、巧妙な舌戯のせいで快楽以外のことには意識がまわらなくなる。
不意に唇が離れた。リルは彼の名を、愛しさを込めて呼んだ。
「……――っ」
脚のあいだに挟み込んでいた一物が震えたのがわかった。半びらきの口で熱い息を吐くオーガスタスは性的な色香にあふれている。
白金の髪の毛も湯気で濡れているし、顔も体もしとどに汗をかいている。なまめかしさを感じずにはいられない。
急に、オーガスタスが笑った。
「……ナカに、欲しくなってない?」
「なっ……!?」
リルは彼を観察するのをやめて顔をべつのほうへ向けた。
(そんなに、ものほしそうな顔をしていたのかしら、私……)
自分自身のことなのに、どうしたいのかわからないので、ひとまず否定する。
「そんなわけないじゃない。まだなにかするつもりなの?」
つっけんどんにそう言うと、オーガスタスは静かにため息をついた。落胆しているようだ。
「……わかった。我慢するよ、今日は」
濡れた手のひらがリルの頬に触れる。右の頬、それから少し間をおいて、左の頬も。
「――明日は、いい?」
彼の表情はわからない。ふたりとも同じほうを向いているし、あたりはかなり暗くなってしまったので、向かい合っていたとしてもわかりづらいだろう。
「……わからない、わ」
はっきりと「いやよ」と告げなかったのは、リルにも「そういう」気持ちがあるからだ。
(いつまで、一緒にいられるんだろう――)
びゅうっ、と強く風が吹きすさんだ。
風にあおられた木の葉が暗闇のなかを舞い、音もなく湯面に落ちた。