「あ、ぁ……!」
閉ざされた視界のせいで、リルの薄桃色はいつになく過敏だ。いつ乳頭をつつかれるのかまったく予測がつかない。
「じれったくなってきた?」
「んんっ、ぅ……ッ」
わかっているくせに、あえて聞かないでほしい。リルがねだるのを待っているのだろう。
「はや、く……さわって……。オーガスタス……!」
羞恥心が性欲に負けた。いましがた口走ったこの言葉を、彼がどうとらえたのかリルにはわからない。オーガスタスはなにも答えない。
「……オーガスタス?」
ハンカチが作り出した真っ暗闇のなか、急かす意味も込めてふたたび呼びかけた。
「――っぁ、ああ!!」
すると、ぐにゃりと荒っぽく両方の乳房をつかまれた。生温かいものがその頂点を見舞う。
オーガスタスはリルの双乳をつかんで中央に寄せ、ふたつのいただきを舌で性急に舐めしゃぶった。乳首に舌を這わせたまま彼女の体を強引に横たえ、片手で脚の付け根をまさぐる。
「ひぁっ、あぁうっ、ンンッ……!」
いきなりいろんなところを攻め立てられ、わけがわからない。頭のなかは混乱しているが、体はしっかりと感じていた。蜜壷からあふれた愛液をオーガスタスは指で絡め取り、花芽に塗りこめていく。
乳首には先ほどから右、左と舌がべろべろと行き交い、硬くしこったそこに、これでもかと揺さぶりをかける。
「アアッ、ぅ、んぁぁ――……ッ!!」
下半身の小さな豆粒をきゅっ、とつままれた瞬間、リルのなかで快感が弾けた。肉襞はびくびくと収縮し、絶頂の心地よい波が全身に広がっていく。
「リル……」
かすれ声で名を呼ばれた。
急に、まぶたの向こう側が明るくなった。リルはゆっくりと目を開ける。
――思いがけず、見とれてしまった。青と金の、曇りのない麗しい双眸がすぐそこにあった。
しかし、それがあからさまにかげる。オーガスタスはリルの視線を避けるように顔をそむけ、彼女の手首に巻き付いていた蔦をほどいていった。
「……ねえ、リル。やっぱり気味が悪いでしょう? 左右で色が違うこの忌々しい瞳が」
森で少年に言われたことを気にしているのだろうか。いや、そもそものコンプレックスなのだろう。ひとと違うところを持っているという点では同じだから、その気持ちはよくわかる。
「気味が悪いだなんて、思わないわ」
リルはきっぱりと否定し、本心を告げる。
「あなたの瞳は、青空に輝く太陽を思わせる」
すう、はあと呼吸を整えてリルはオーガスタスの両頬を手のひらで覆った。視線を逸らせないよう、両手で固定する。
「あるいは、未明の空に浮かぶ月。そういう……悠然とした美しさを感じる」
まっすぐに彼の瞳を見つめて、言いたかった。嘘偽りはかけらもないのだと、伝わっただろうか。
しばらくそうして見つめ合っていた。
オーガスタスの口角が、ゆるやかに上がっていく。
「――女性に口説かれるなんて、初めてだよ」
見間違いでなければ、彼の瞳は潤んでいる。それは、晴れ渡る空の気まぐれな雨か、あるいは月夜のにわか雨。
涙ぐんでいるのを気取られないためか、オーガスタスはまぶたを閉ざした。
「きみは僕を否定してくれるから好きだ。もちろん、いい意味で」
ふたたびその瞳がまみえたとき、雨粒は影も形もなかった。透き通った強い光を取り戻して、いっそう輝いている。
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閉ざされた視界のせいで、リルの薄桃色はいつになく過敏だ。いつ乳頭をつつかれるのかまったく予測がつかない。
「じれったくなってきた?」
「んんっ、ぅ……ッ」
わかっているくせに、あえて聞かないでほしい。リルがねだるのを待っているのだろう。
「はや、く……さわって……。オーガスタス……!」
羞恥心が性欲に負けた。いましがた口走ったこの言葉を、彼がどうとらえたのかリルにはわからない。オーガスタスはなにも答えない。
「……オーガスタス?」
ハンカチが作り出した真っ暗闇のなか、急かす意味も込めてふたたび呼びかけた。
「――っぁ、ああ!!」
すると、ぐにゃりと荒っぽく両方の乳房をつかまれた。生温かいものがその頂点を見舞う。
オーガスタスはリルの双乳をつかんで中央に寄せ、ふたつのいただきを舌で性急に舐めしゃぶった。乳首に舌を這わせたまま彼女の体を強引に横たえ、片手で脚の付け根をまさぐる。
「ひぁっ、あぁうっ、ンンッ……!」
いきなりいろんなところを攻め立てられ、わけがわからない。頭のなかは混乱しているが、体はしっかりと感じていた。蜜壷からあふれた愛液をオーガスタスは指で絡め取り、花芽に塗りこめていく。
乳首には先ほどから右、左と舌がべろべろと行き交い、硬くしこったそこに、これでもかと揺さぶりをかける。
「アアッ、ぅ、んぁぁ――……ッ!!」
下半身の小さな豆粒をきゅっ、とつままれた瞬間、リルのなかで快感が弾けた。肉襞はびくびくと収縮し、絶頂の心地よい波が全身に広がっていく。
「リル……」
かすれ声で名を呼ばれた。
急に、まぶたの向こう側が明るくなった。リルはゆっくりと目を開ける。
――思いがけず、見とれてしまった。青と金の、曇りのない麗しい双眸がすぐそこにあった。
しかし、それがあからさまにかげる。オーガスタスはリルの視線を避けるように顔をそむけ、彼女の手首に巻き付いていた蔦をほどいていった。
「……ねえ、リル。やっぱり気味が悪いでしょう? 左右で色が違うこの忌々しい瞳が」
森で少年に言われたことを気にしているのだろうか。いや、そもそものコンプレックスなのだろう。ひとと違うところを持っているという点では同じだから、その気持ちはよくわかる。
「気味が悪いだなんて、思わないわ」
リルはきっぱりと否定し、本心を告げる。
「あなたの瞳は、青空に輝く太陽を思わせる」
すう、はあと呼吸を整えてリルはオーガスタスの両頬を手のひらで覆った。視線を逸らせないよう、両手で固定する。
「あるいは、未明の空に浮かぶ月。そういう……悠然とした美しさを感じる」
まっすぐに彼の瞳を見つめて、言いたかった。嘘偽りはかけらもないのだと、伝わっただろうか。
しばらくそうして見つめ合っていた。
オーガスタスの口角が、ゆるやかに上がっていく。
「――女性に口説かれるなんて、初めてだよ」
見間違いでなければ、彼の瞳は潤んでいる。それは、晴れ渡る空の気まぐれな雨か、あるいは月夜のにわか雨。
涙ぐんでいるのを気取られないためか、オーガスタスはまぶたを閉ざした。
「きみは僕を否定してくれるから好きだ。もちろん、いい意味で」
ふたたびその瞳がまみえたとき、雨粒は影も形もなかった。透き通った強い光を取り戻して、いっそう輝いている。