クールでウブな上司の襲い方 《 第二章 06

 自分自身が性的に興奮しはじめているのは間違いないが、それでもまだ戸惑いはある。

(いったいどうしちゃったんだろう?)

 ここのところ彼にはたいしたアピールをしていなかった。それなのにいきなりこんなことになっているのが信じられない。
 柏村は優樹菜の服を難なく脱がせ、彼自身も服を脱いでカゴに放り投げていった。
 ジィッと、とくに胸もとを見られているのが恥ずかしくてたまらない。
 彼とのこういう、ハプニング――と呼べるのかわからないけれど、とにかくこういう状況になるのを望んでいたはずなのに、いざそうなると怖気づいてしまっているのが情けなくもある。

「さあ、なかへ」
「……っ」

 腕を引かれて浴室へ入る。胸を両腕で隠してヨロヨロと歩いた。

「しっかり、頼む」

 柏村は風呂椅子に腰掛けて優樹菜に背を向けている。彼の正面には鏡があるが、曇っているのでふたりの姿はぼんやりとしか映らない。

(そうよ、もとは私が言い出したことなんだから)

 優樹菜はスポンジにボディソープを塗りつけてたっぷりと泡立て、そっと柏村の背中に触れた。
 スポンジごしでも、彼の体が硬いのがわかる。着やせするタイプなのか、思っていたよりもガゼン筋肉質だった。
 初めはひかえめにこすっていたが、しだいにじかに触れてみたくてたまらなくなった。雄々しい体を手のひらでたしかめてみたい。
 優樹菜はスポンジを持っていないほうの手を彼の背に添わせた。柏村の肩がピクリと震える。
 背についた泡を広げて腕を撫でおろす。

(たくましい腕……)

 彼がなにも言わないのをいいことに優樹菜は柏村の体を撫でまわした。厚い胸板に欲情しきっていたのだ。
 優樹菜の両腕が鏡のほうへとまわり込む。彼のお腹側に触れるのはしばしためらわれたが、触れたいという欲求には勝てなかった。
 指先が小さな乳首をかすめる。柏村は肩をすくめている。くすぐったいのだろう。
 しかしそんな反応をされると、よけいにそこをいじりたくなってしまう。
 優樹菜はスポンジで彼の乳首を小刻みにこすりながら、もう片方の手を下方へ移動させた。

「……っ、そこは、いい」

 長いこと沈黙していた柏村が口をひらいた。優樹菜が食いさがる。

「でも……大きく、なってますよ?」

 右手で触れた雄物は大きくふくらんで張り詰めていた。優樹菜はそこにも、そっと泡を塗りつける。ピクンッ、と跳ねたのが手の感触でわかった。
 彼の背に胸を押しつける格好になっているのにも気づかず優樹菜は硬い一物を手でまさぐる。ぬるぬると前後にこすり立ててみる。

前 へ    目 次    次 へ