クールでウブな上司の襲い方 《 第二章 10

「あ、あぁ……っ! い、っちゃ、う……。だ、め、だめ……っ!」

 気持ちがよい。そのこと以外はなにも考えられない。
 優樹菜はビクビクと蜜奥を収縮させた。ドクン、ドクンと体の内側が高鳴っている。そんなさなかに柏村は優樹菜の体を前へ押した。

「んっ……! 主任……」

 やんわりと風呂椅子から突き落とされ、鏡の前の造り付けテーブルに両手を、床タイルの上に両ひざをつく。

「ぁ、ん……っ」

 肉竿をねじこまれたのは脚の付け根だ。優樹菜の、とろけきった蜜壷のなかにではない。

「ンン……ッ」

 硬直が過敏な陰唇をこすり立て、いまだに震えを残す花芽を刺激する。

「んぁっ、あっ、うう……ッ」

 これはこれで気持ちがよいのだが、本当に欲しいのはべつのところだ。しかしそれを言い出せるはずもないし、優樹菜にだって理性はある。避妊具がない状態では、絶妙にあやうい時期だった。恥を忍んで、なかに欲しいのだと告げたところで、もしも――ということになったら、彼に迷惑をかけかねない。
 心ここにあらずで悶々とする優樹菜の乳房を、柏村はうしろからぎゅうっとわしづかみにして激しく揉みしだいた。

「ひゃっ! あぅっ、うっ、ンンッ……!」

 急に焦点が合う。目の前の鏡はくもっている。気が逸れていた優樹菜をいじめるように柏村は彼女の体をまさぐる。
 双乳はパンッ、パンッとぶつかり合って音が立つほどに揉みくちゃにされている。
 淫芽をこする肉棒は、もともとあったぬめり気と、このうえなくくすぶる優樹菜の内壁からあふれ出た愛蜜に濡れてよくすべる。
 ときおり蜜口をかすめるのがたまらなかった。そのままひといきにナカへ、とどうしても考えてしまって腰がクネクネと揺れる。
 しかし柏村は彼女の内部を貫こうとはしない。脚の付け根を無難に通り抜けるばかりだ。

「……っ、磯貝、さん」

 彼のうめき声が耳に心地よい。けれど、もの足りない。
 再度、名前を呼ばれた。
 ビュッ、ビュクッと白濁液が湿りきった床タイルに散り落ち、陰茎はドクドクと脈動する。

「……しゅに、ん」

 何気なく、小さな声で呼んだ。たんに呼び返したつもりだったのに、胸を覆っていた彼の両手がビクリと大きく動いたので、逆にこちらが驚いてしまった。
 柏村がすっくと立ち上がる。すると彼は「すまない」とだけ言って、いまだに四つん這いになっている優樹菜をひとり残し、湯船にも浸からず浴室を出て行ってしまった。

(え、え……っ?)

 優樹菜はただ、呆然とするしかなかった。

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