クールでウブな上司の襲い方 《 第三章 16

 言いようのない幸福感に包まれたまま優樹菜は懇願する。

「ねえ、正面から……」

 われながら少しあきれる。いましがた絶頂したばかりだというのに、まだ飽き足らない。
 でもきっとそれは彼も同じだ。

「だーめ。……少しのぼせたか? きみの体、すごく熱い」
「ふっ……」

 腰もとをつかまれそして立たされ、浴槽の端に両手をつく恰好になった。足だけが湯に浸かっている。
 ゴクリとのどを鳴らし、あまり期待はできないが進言してみる。

「慎太郎さん。そっちを向いてもいいですか」

 優樹菜はしつこく食い下がった。しかし彼は譲らない。
 「だめだ」という声とともにふたたび陽根が突き刺さる。もちろん、うしろからだ。

「んぁぁっ! ふ……っ、あ、ぅく……ッ」

 彼のそれは一度達していても硬さを損なっておらず、いまだに剛直だ。先ほどよりもさらに激しく、大胆に出し入れされ、体を揺さぶられる。
 過敏になっている上半身のつぼみと、それから下半身の花芽を指でつままれ、いよいよ高い嬌声を上げる。

「しん、た、ろ……さ……っん! あ、ひぁぅっ」

 ぬちっ、ぐちゅうっと卑猥な水音が立つ。湯気が立ち込める浴室内はそこにいるだけで頭がクラクラしてくるのだが、くわえてこの激しさだ。
 隘路を大胆に往復され、これでもかと突き込まれ、両手だけでは自分自身を支えられなくなってくる。
 慎太郎の腕に力がこもった。優樹菜の体を羽交い締めにする勢いで抱き寄せ、その間も乳首をいたぶるのはやめない。淫核も同じだ。
 彼の胸と優樹菜の背は隙間なく密着している。それでも、突き刺さっている硬直は勢いが衰えず、むしろ激しさを増す。

「ああっ、ぁ……ンッ、ひぅぅ――……ッ!!」

 湯船から立ち上る湯気でもともと不明瞭だった視界がいっそう白く霞み、チカチカと星が飛ぶ。
 蜜奥は淫液をしぼるとるようにビクッ、ビクッと何度も収縮している。意図してそうしているわけではないけれど、こんなふうに反応する自分の体に、単純に悦びを覚えた。

「……たくさん、出た」

 幼な子のような、実直な言葉がよけいに体内をきゅうっと締めさせる。慎太郎が「んっ」と小さくうめき声を上げた。
 どちらからともなく、ぴちゃんと音を立てながらふたたび湯船に浸かる。
 お湯はいくぶんか冷めているが、いまはそのくらいがちょうどよい。

「――いつか絶対、襲いますからねっ。両手を縛り上げて、それから……。イクときの顔を激写しますっ」

 優樹菜は慎太郎の肩に頭をあずけ、彼の顔を見上げて言った。慎太郎の口角が吊り上がる。

「……それは、楽しみだ」

 やれるものならやってみろと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべ、慎太郎は息巻く優樹菜の唇を、なだめるようにそっと塞いだ。

FIN.

お読みいただきありがとうございました!
番外編を予定しています。

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