御曹司さまの独占愛 《 04

 見られている胸の部分が焼け焦げているように熱い。そんな錯覚を覚えてしまうほど熱心に見つめられている。

「ずっと、見たかった……きみの秘められたところを」

 そんな告白をされればよけいにカアッと熱がこもる。今度は胸だけでなく、全身に。手足の先を火でじわりと炙られているような感覚だ。
 彼の艶やかな黒髪がゆらりと揺れる。和臣は上体を低くして若菜のふくらみに顔を寄せる。

「あ……、やぁっ……!」

 間近でそこを見られるのはよけいに恥ずかしい。

(もう、お願いだから)

 ――見ないで、見ないで!
 しかし、心の中だけでそう叫んだところで伝わるはずがない。

「和臣、さま……や、ぅっ」

 彼がなにをしようとしているのかわからないけれど、これ以上は本当にだめだ。自分の気持ちに整理がつかないし、後戻りできなくなりそうで恐ろしい。

「僕はずっときみに恋い焦がれていた」

 乳頭のすぐそばで吐息を感じる。そんなところで話し始めないで欲しい。

(え、いま……恋い焦がれていた、って……おっしゃった?)

 聞き間違いか、あるいは幻聴なのではないか。ただの家事手伝いである自分が、彼に恋をされるはずがないと頭から思っているからだ。

「ああ……美味そうなつぼみだ」

 彼がなにを言っているのかわからない。この部屋には花のつぼみなんてないのに――。

「ひゃ、あぁっ!」

 ふくらみの先端が瞬時に凝り固まる。生温かいなにかがそこをねっとりと這った。

(舐め……られ、た!?)

 そう自覚すると、どうしてか下半身の奥のほうが疼いた。それは、手が届きそうで届かないというようなむずがゆさを伴った――いままでに経験したことのない、おかしな感覚だ。
 混乱する若菜をよそに和臣はなおも彼女の薄桃色を舌で刺激する。

「ぁ、ふ……っ、ぁあっ」

 自分の口からいかにもいやらしい声が出てしまいあせる。和臣の舌は乳頭の下部をくすぐるように右へ左へと蛇行する。

「んんっ、ぅ……!」

 彼はいったいどういうつもりなのだろう。

(和臣さまはどんな意図でこんなことを)

 乳首を舐めて、彼は楽しいのだろうか。若菜には和臣の気持ちを読み取ることができない。

「……楽しい」

 若菜がなにを考えているのかわかったのか、和臣はいったん舌を引っ込めてそう言った。

前 へ    目 次    次 へ