御曹司さまの独占愛 《 05

「……若菜は? 僕にこういうことをされるのは――嫌?」

 そう尋ねてきた彼の声はやけに弱々しかった。いつもの――上品で控えめな雰囲気の中に見え隠れする、王者のような独特の覇気を感じない。

(嫌かどうかって……それは)

 もしも「嫌だ」と告げたら彼はどうするのだろう。顔を上げて、互いの着物の衿を正して、何事もなかったかのように去っていくのだろうか。

「わ……わかりません」

 ――ああ、何てあいまいな答えなの。
 すぐに答えを出すつもりはなかった。それなのに、和臣が去ってしまうかもしれないと思ったら勝手に口から言葉が出ていた。

(私……嫌じゃ、ない?)

 和臣にはあらぬところをまさぐられているというのに、不思議と不快感はない。彼の指が、乾いているほうの乳頭をつんっと弾くと、えもいわれぬ快感がどこからか込み上げてくる。

「わからない、か――」

 和臣は苦笑して、薄桃色の丸い部分を象るように舌で円を描く。

「ふぁ、ぁあっ……!」

 若菜の体がビクビクッと跳ね上がる。つい先ほどまで、そんなところを舌で舐められるなんて――と思っていたのに、そうして舌で舐めまわされることでもたらされる快感が病み付きになってしまいそうだった。

(温かい……ううん、熱い? 和臣さまの舌)

 いただきには決して触れず、ざらついた舌は乳輪に沿ってぐるぐると周回している。
 一回、二回、三回――彼の舌が円を描くたびに脇腹のあたりがぞくぞくと疼いて粟立つ。
 ――この行為の意味はなに?
 考えても考えてもわからない。わからないのに、じれったさばかりが募っていく。

「はぅ、う……ッ」

 和臣は頃合いを見計らっているのか、上目遣いで若菜のようすをうかがう。彼女がもどかしそうにしているのを確かめたあと、尖りの部分をそっと舌でつついた。

「――ふぁあっ!」

頭の中で花火の玉が弾けたのかと思うほどの衝撃だった。全身をなにかで逆なでされているような錯覚に陥る。じらされていたからよけいにそう感じるのかもしれない。

(い、いまのは、いったい……)

 戸惑う若菜を和臣は立て続けに翻弄する。薄桃色の屹立を舌先で左右になぶってくすぐったかと思うと、歯を突き立てられた。しかし痛みはない。甘噛みされただけだ。

「ぁ、あ……っ、和臣さま」

 意味もなく彼の名前を呼ぶ。すると下半身のくすぶりが大きくなった。

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