御曹司さまの独占愛 《 09

「隠してはいけない。……大丈夫、薄暗いからよく見えない」
「で、でも……いえ、そういう問題ではなくてっ」

 見えるとか見えないとか、そういうことではない。彼が、自分の秘めたところを舐めようとしていることが大問題なのだ。

「だめです、そんなところ……!」
「だめだと言われても、僕はここに舌で触れたい。きみがどんな顔をするのか、見てみたい」
「どんな、って……」

 いまだってきっとみっともないくらい顔が赤いに決まっている。

(もし、そんなところを舐められたら)

 想像しただけで頭の中が沸騰してしまいそうだった。いまならきっと顔面でお茶を沸かせる。自分の頬の温度を確認するためにそっと指を添わせてみると、案の定とてつもなく熱かった。
 若菜は顔の熱を発散するようにぶんぶんと何度も首を横に振る。

「だめです、絶対っ!!」

 唇を引き結び、断固とした姿勢を示す。

「きみがそこまで言うのも珍しいね」

 いっぽうの和臣は困り顔だ。ふう、と小さくため息をついて首を傾げる。

「……でも、僕だって譲れないよ」

 切れ長の目がしだいに鋭さを帯びていく。

「若菜のすべてを味わいたいんだ」

 彼はなぜ、こういう――有無を言わせぬ雰囲気をかもしだすのが上手なのだろう。この邸で働いていて、和臣に無理強いをされることはいままでになかった。

(私が本当に嫌がることは……和臣さまはしない)

 恥ずかしいところを舐められるのを、心から嫌がっているわけではないのではないかと、自分自身のことがわからなくなってくる。
 和臣はそれ以上はなにも言わず若菜の女陰のすぐそばまで近寄った。

「あっ……!」

 こうなればもう手でそこを押さえて隠すしかない。しかし、伸ばした両手はたやすく彼に絡め取られてシーツの上に張り付けられてしまった。
 脚のあいだに彼の顔があるこの状況が信じられない。若菜は口をぱくぱくと動かす。「だめだ」と言いたいのに声が出てこない。
 和臣の赤い――肉厚な舌が、形のよい唇から出てきた。それを目にしただけで、彼の舌が伸びていく先にあるそこがヒクッとひとりでに疼くのを若菜は確かに感じた。
 和臣の舌が蜜口とその上の花芽を順番に、ひとつひとつ丁寧にれろりと舐め上げる。

「ふ、ぁあッ……!」

 瞬時にぞくぞくっと表皮が粟立ち、羞恥心に混じって明らかな快感が体の中を駆け巡る。
 指でされるのとはまた違った気持ちよさに、若菜はすぐにとりこになってしまう。

(だめ、な……はずなのに)

 そんなところを舐められたら恥ずかしくて死んでしまいそうだとさえ思ったのに――。

「ぅっ、ふ……う、うぅっ」

 和臣の舌は飴玉を舐め転がすように若菜の珠玉をねぶってもてあそぶ。

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