淫らに躍る筆先 《 11

 龍生は愛しげに和葉の顔を眺め、それから右手をさらに下降させた。彼の指先が秘裂をたどり、蜜口をかすめる。

「ふっ……!」

とたんに和葉はあせりを覚える。そこが濡れていることを知られてしまった。なにを言われるだろうかと身構える。

「……嬉しい」

 蜜をあふれさせてしまっていることを揶揄されるかと思ったがそうではなく、龍生はほほえんだだけだった。彼の気持ちを聞いて、照れと喜びでまたいっそう蜜奥が潤む。

(からかわれるほうがまだよかったかもしれない)

 下半身を中心にあらゆるところが火照っている。いま体温を測ったら平熱以上なのではないか。そう思ってしまうくらい、自分自身が熱い。

「温かくて気持ちがいいな、和葉ちゃんの体」

 龍生は和葉を抱く腕に力を込めた。そうして彼女のぬくもりを実感し、そしてその熱い体をまさぐる。左手は上半身の尖りをつまんだ。右手はそのまま秘芯をもてあそぶ。

「んぁっ……あ、あぁ……」

 彼の指先はじつに絶妙で、肌に触れてはいるもののいかんせん弱い。それがたまらなくじれったい。もっと強くなぶって欲しいと思うけれど、まだそれを言えるような仲ではないしなによりはしたない。そうなるとひたすらこのじれったい快感に耐えるしかないのだ。

(もっと、ちゃんと……)

 じれったさは言葉に出せないぶん態度に表れる。和葉はくねくねと体をよじらせてもだえた。

「――ん」

 和葉が身をくねらせることで堪えたのは龍生だ。両手の動きをしばし止めて、深呼吸をする。

(あ……もしかして)

 彼もまたじれったさを感じているのかもしれない。

(どうしよう、龍生さんの――も、触ったほうがいいのかな)

 そう自覚したとたんに、お尻に当たっている硬いモノの存在を看過できなくなった。和葉はちらりとうしろを見やり、彼のようすをうかがう。

「……なに?」
「あ……え、っと。いえ……」

 下半身の一物に触りましょうか、などと提案できるはずもなく、和葉は顔を前へ向ける。龍生はそれを愛撫の催促だと思ったのか、急に和葉の体を強くいじり始めた。
 急に乳首をぎゅうっとつままれ、下半身の小さな豆粒も同じように指でひねり上げられる。

「ひゃっ、あぁッ!」

 それまでじらされていたぶん、堰を切ったように快感があふれて体の中をめまぐるしく駆けまわる。さながらだれかが体のすみずみにまで「快感が訪れた」とふれてまわっているようだった。
 和葉の息遣いが荒くなるのと同時に龍生もまた彼女の耳にたっぷりと熱い息を吹きかけた。指先を忙しなく前後させて和葉の性感帯をひっきりなしに刺激する。

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