「はぅっ……ん、んぁあっ……!」
静かな社長室に響く自分の嬌声がやけにいやらしくて耳を塞いでしまいたくなった。しかし両手は彼の腕をつかむだけで精いっぱいだ。そうしていなければもっとめちゃくちゃにされてしまいそうだからだ。
(ううん……めちゃくちゃにされたいって、本当は思ってる)
意識が吹き飛ぶくらい激しくして欲しい。そんな欲求も心の中に確かにある。
龍生は和葉の心の奥底の欲求をすぐに汲み取る。
「――ふ、あ、あぁっ!」
体の内側に入り込んできたのはおそらく中指だろう。龍生は和葉の狭道にごく慎重に中指をくぐり込ませていく。
彼の細長い指はすぐに最奥を突いた。行き止まりまでくると、指は壁の奥にあるものを探るときのように膣壁をトン、トンとノックする。
「アッ……ん、んぅっ……!!」
そうして最奥をつつかれるだけでも頭の中が朦朧《もうろう》としてくるのに、蜜口の上にある肉粒を親指でぎゅうっと押し込まれるものだからいよいよたまらなくなって「ひぁああっ!」とはしたなく大きな声を上げてしまう。
そんな嬌声にまじって聞こえてきたのはぐちゅっ、ぬちゅっという水音。嬌声と競うようにしだいに大きくなっていく。
「あぁ、も……だめ、んんっ……ん、んぁあっ――……!」
和葉は体をビクン、ビクンと脈打たせて力をなくす。彼の腕をつかんでいた両手はだらりとソファの座面に投げ出され、がくりと頭《こうべ》を垂れる。そうしていると、どこからともなく汗が噴き出てきた。額に汗がにじみ、こめかみを伝う。
「――っ!!」
伝った汗を龍生が舐めとるものだから、驚きのあまり声が出せなかった。何てことをするのだろう。
「暑くなっちゃったね」
そう言いながら龍生はワイシャツの襟もとのボタンを二、三個外す。
(あ……)
いよいよ『する』のかと思った。しかし彼はいっこうに動かない。そのまま――彼にうしろから抱き込まれた状態で数十分が経過した。
額ににじんでいた汗はすっかり乾いて、いまはむしろ涼やかだ。
「龍生さんは……その、いいんですか?」
勇気を振り絞って尋ねた。こんなことを訊くのはどうかと思ったけれど、自分ばかりがしてもらっておいて――という引け目が少なからずあった。
すると龍生は驚いたような顔になった。
「ん、いいんだ」
龍生は薄くほほえんだまま続ける。
「だって、あまりにも情けない……。きみのこと、大事にしていこうって思ってるのに……さっそくこんなふうに求めてしまって。だからせめて自制する」
(龍生さんが『情けない』のなら……私も同じだ)
和葉は頬が熱くなってくるのを感じながら、部屋の隅に置いてある、よく手入れされているとわかる観葉植物を漠然と眺めた。
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静かな社長室に響く自分の嬌声がやけにいやらしくて耳を塞いでしまいたくなった。しかし両手は彼の腕をつかむだけで精いっぱいだ。そうしていなければもっとめちゃくちゃにされてしまいそうだからだ。
(ううん……めちゃくちゃにされたいって、本当は思ってる)
意識が吹き飛ぶくらい激しくして欲しい。そんな欲求も心の中に確かにある。
龍生は和葉の心の奥底の欲求をすぐに汲み取る。
「――ふ、あ、あぁっ!」
体の内側に入り込んできたのはおそらく中指だろう。龍生は和葉の狭道にごく慎重に中指をくぐり込ませていく。
彼の細長い指はすぐに最奥を突いた。行き止まりまでくると、指は壁の奥にあるものを探るときのように膣壁をトン、トンとノックする。
「アッ……ん、んぅっ……!!」
そうして最奥をつつかれるだけでも頭の中が朦朧《もうろう》としてくるのに、蜜口の上にある肉粒を親指でぎゅうっと押し込まれるものだからいよいよたまらなくなって「ひぁああっ!」とはしたなく大きな声を上げてしまう。
そんな嬌声にまじって聞こえてきたのはぐちゅっ、ぬちゅっという水音。嬌声と競うようにしだいに大きくなっていく。
「あぁ、も……だめ、んんっ……ん、んぁあっ――……!」
和葉は体をビクン、ビクンと脈打たせて力をなくす。彼の腕をつかんでいた両手はだらりとソファの座面に投げ出され、がくりと頭《こうべ》を垂れる。そうしていると、どこからともなく汗が噴き出てきた。額に汗がにじみ、こめかみを伝う。
「――っ!!」
伝った汗を龍生が舐めとるものだから、驚きのあまり声が出せなかった。何てことをするのだろう。
「暑くなっちゃったね」
そう言いながら龍生はワイシャツの襟もとのボタンを二、三個外す。
(あ……)
いよいよ『する』のかと思った。しかし彼はいっこうに動かない。そのまま――彼にうしろから抱き込まれた状態で数十分が経過した。
額ににじんでいた汗はすっかり乾いて、いまはむしろ涼やかだ。
「龍生さんは……その、いいんですか?」
勇気を振り絞って尋ねた。こんなことを訊くのはどうかと思ったけれど、自分ばかりがしてもらっておいて――という引け目が少なからずあった。
すると龍生は驚いたような顔になった。
「ん、いいんだ」
龍生は薄くほほえんだまま続ける。
「だって、あまりにも情けない……。きみのこと、大事にしていこうって思ってるのに……さっそくこんなふうに求めてしまって。だからせめて自制する」
(龍生さんが『情けない』のなら……私も同じだ)
和葉は頬が熱くなってくるのを感じながら、部屋の隅に置いてある、よく手入れされているとわかる観葉植物を漠然と眺めた。