淫らに躍る筆先 《 16

「よく動く、元気なキャンパスだ」

 からかうような調子でそう言って、龍生は平らな筆先で和葉の色づいたいただきをなぶる。筆遣いは荒々しい。猛り狂ったなにかを描いているようだった。手首のひねりがいかにも優美で、それでいて豪快なその仕草に和葉はほれぼれするのと同時に快感がいっきに高まった。

「はぅっ、う、んんっ……!!」

 これだけで絶頂してしまうのではないかと思う。それくらい刺激的だった。
 アトリエの倉庫で、上半身は裸で、講師である彼に筆で乳首をなぶられている。あらためて自覚したとたん、和葉はビクッ、ビクッと下半身を震わせた。龍生の瞳がわずかに見開き、筆の動きが止まる。

「……もしかして」

 続きは言われずともわかる。隠しても仕方がないので和葉は目を伏せたままこくりとうなずいた。そうして頭を下げたまま、上を向くことができない。龍生はいまどんな顔をしているだろう。

「……どんなふうになってるのか、確かめても?」

 頭上から声が降ってくる。羞恥心を煽るためにあえて訊いているのではないかと邪推してしまう。和葉は首を横にも縦にも振らなかった。
 龍生は筆をキャンパスにあずけて和葉のスカートの裾をつかんだ。両手でスカートをめくり上げられ、反射的に脚を閉じる。

「和葉ちゃん」

 名前を呼ばれただけだ。しかし、語調が強かった。「隠すな」と言われているも同然だ。
 和葉の両膝をつかんだ龍生はゆっくりと左右に手を動かして秘所を暴く。白いショーツの真ん中に丸い染みができていた。
 彼が笑う。その笑みで、自分のそこがどうなっているのかよくわかった。

「いつもよりも感じてる?」
「そっ……え、と……」

 いつだって彼にはこんなふうにされてしまうから、いまがよりいっそう感じているのかと問われても、自分のことながらよくわからない。

「わかりま、せ……ん」

 龍生は和葉の丸い染みめがけて右手を伸ばす。湿っている部分を指でたどり、これみよがしに際立たせる。

「ぁっ……ん、んっ」

 彼の指にショーツの生地が押されて蜜口とその上の花芽に張り付く。濡れた生地を肌に押し付けられればふつうは不快なはずなのに、正反対に――快く感じてしまうのはそこが秘められた箇所だからだ。

「やっ……ん、ふ……んぁっ」

 生地ごしに触れられるのでは物足りない。声を大にしてそう言いたいけれど、羞恥心が邪魔をする。

「ますます湿ってきたみたいだ」

 感心しているような口ぶりだった。いったいどれだけ濡れるんだ、と咎められているような気がした。和葉の表情が自然と険しくなる。

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