淫らに躍る筆先 《 18

「スカートと椅子を濡らさないように――って、気にしてる?」

 上目遣いで問われ、和葉は「はい」と小さく答えた。

「……気にしなくていいよ」

 そのあとに続く言葉はなかった。なぜ気にしなくてもよいのか、彼の行動を見ていればわかる。

「や、やっぱり……それ、するんじゃないですか……!」

 先ほどはしらを切ったくせに、やはり足の付け根を舐めるつもりなのだ。

「しない、とは言ってない。……まだ、恥ずかしい?」

 そこを舐められるのは何度めだろう。いやだ、やめてと言っても龍生は絶対に実行するのだ。

「まだ、というか……いつだって恥ずかしい、です」

 蜜のあふれ口やその上の肉粒を舐められるのは気持ちいいのには違いないが、体中の水分が蒸発してしまうのではないかという勢いで恥ずかしいのにも違いない。

「回を重ねるたびに慣れていくものなんじゃない?」
「な……慣れませんっ。きっと、ずっと!」

 和葉が顔を真っ赤にして憤るのが面白いのか、龍生は「ははっ」と笑ったあとでべえっと赤い舌をのぞかせた。肉厚な舌を前にして、和葉は縮み上がる。

「だめです、ほんとに……っ!!」

 和葉は力いっぱい首を横に振るものの、聞き入れてはもらえない。

「じゃあ少しだけ」

 彼はいつだってそう言って、長々とそこを舌で愛撫するのだ。

「やっ、待っ――んぅ!」

 膣口と陰核を順番にべろりと舐め上げられる。

「だ、ゃ……っんん、やぅっ……!」

 じたばたと両脚をばたつかせてみても彼は舌でしつこく追いまわしてくる。逃げられた試しがない。
 彼の黒髪は触れると柔らかい。その柔らかな髪がふわふわと揺れて脚の内側をこする。龍生は顔の角度を変えながら和葉の花芯にちゅっと口づけて舌でつつき、そのあとは口に含んでじゅうっと吸い上げた。

「ひぁああっ!!」

 ――恥ずかしい、けれど気持ちがいい。
 彼の舌がそこを這うたび、吸い上げられるたびに甘く心地よいしびれが全身をひた走る。羞恥心は快感に押し負けそうになるものの、彼がぴちゃっと水音を立てることで恥じらいが再燃する。

「ふ……」

 たまに漏れ出る彼のなまめかしい吐息もまた官能的だった。長いまつげを伏せて愛おしそうに口づけ、舌を動かす龍生は卑猥なことをしているとはいえ神聖なもののように思えて、胸がきゅうっと締め付けられる。

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