俺さま幼なじみとの溺愛同居 《 11

 未来はたまらず、掛け布団を目の下まで引き上げた。そのようすを弘幸は不思議そうに眺める。

「なんだ、どうしたんだよ」
「べつに……何でもない」
「何でもないってことないだろ」

 いましがた未来が引き上げたばかりの掛け布団を弘幸は無理に下ろして彼女の顔をあらわにする。

「ちょっ、なにするの」
「なにって……おまえが顔を隠すから」
「隠しちゃいけない?」

 依然として赤い未来の顔を弘幸はじいっと見つめる。ギシッ、とベッドがきしむ。弘幸が未来の顔の両側に手をついたからだ。
 彼の顔が近づいてくる。未来はわけがわからず何度もまばたきをした。

「昨夜のこと……はっきり覚えてる」

 思わぬ告白を受け、未来は縮み上がった。

(それって……キスのことよね!?)

 彼は酔っていたし、寝ぼけてもいたようだからキスのことは記憶にないだろうと思っていた。それなのに、はっきり覚えているだなんて。昨夜の彼の唇の感触がありありとよみがえってくる。

「正直に言う。俺の家に来るか、っておまえに訊いたとき……下心があった」

 コツン、と額がぶつかる。弘幸の顔は真剣そのものだ。

「俺はおまえとあんなことやこんなことをしたい」

 真剣な顔つきでそんなことを言われ、未来はツッコミを入れずにはいられない。

「――っ、あんなことやこんなことって、なに!?」
「んー……実践しながら教える」

 すり、と上唇を指でたどられた。それから頬と顎をつかまれる。

「あ……ま、待って……! そんな……したら、風邪がうつっちゃうから……だめ」

 未来はあわてて顔をそむける。

「平気だって。さっきも言ったろ、俺は頑丈だ。……だめな理由って、それだけ?」

 問われ、未来はあいまいに「んん」とうなる。すると弘幸は幾分か上機嫌になったようだった。

「じゃ、口以外ならいいか?」
「えっ!?」

 未来はどう答えればよいものかと悩んでうろたえる。口以外といってもいっぱいある。彼はいったいどこになにをする気なのだろう。

「どうなんだ」

 急かされても、はっきり「いいよ」とは言えない。それを言ってしまったらとんでもないことになるのではないかと、漠然と思った。
 しびれを切らしたのか、弘幸は未来の返事を待つのをやめて顔を動かす。彼女の首すじに唇を寄せて舌を出した。

「……っひゃ!」

 生温かい舌が首すじをれろりと大胆に舐め上げる。

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