俺さま幼なじみとの溺愛同居 《 12

 弘幸はくすぐったそうにしている未来の顔をまじまじと見つめたあと、

「汗ばんでるな。ちょっと待ってろ」

 そう言って部屋を出て行ってしまった。

(ちょ、ちょっと……!)

 彼に舐められたところだけよけいに熱が上がってしまったのではないかと思う。首すじは焼け焦げたように熱く、甘いしびれを伴っている。

(何だか……ヒロくんには振りまわされてばっかり)

 いや、いろいろと世話にはなっている。しかしいつだって彼のペースだから、こちらとしては少し疲れてしまう。いまだって、突然部屋を出て行ってしまった彼が戻ってくるのを待ち焦がれている自分がいて、戸惑う。
 間もなくして弘幸は真っ白なタオルを片手に戻ってきた。

「体、拭いてやるよ」
「は――えっ!?」
「ハエなんていない」

 クスッと笑ってそう言いながら弘幸は未来の掛け布団を彼女の体から引き剥がす。

「おまえ、昔からクマ柄のパジャマだよな」

 ああ、また子どもっぽいと思われている。

「ほ、ほっといて……!」

 パジャマのことも、汗ばんだ体のことも放っておいて欲しかった。

(だって恥ずかしすぎる……っ)

 布団の中に隠れてしまいたいけれど、きっと弘幸がそうさせてくれないだろう。そもそも掛け布団は彼に剥ぎ取られて、いまや手の届かないベッド端に追いやられている。

「ほら、脱げ」
「ゃっ、やだ……本当にいいってば」
「いいんだな? じゃ遠慮なく」
「なっ、ちがうーっ!」

 バタバタと暴れる未来のパジャマの上着を弘幸がつかむ。

「あんまり暴れてると熱が上がるぞ。大人しくしてろ」
「うっ」

 弘幸に膝の上に馬乗りされ、未来は否が応でも暴れられなくなる。
 プチン、プチン。パジャマのボタンは上から順番に一つずつ外されていく。

「ちょっ、ほんとに、あの……ッ!」

 すぐにはボタンを留めなおすことができないから、せめてもの抵抗として上着の襟を押さえた。しかしそれもむなしく終わる。弘幸はパジャマの襟をひっつかんで無理やり左右に開いた。そうしてあらわになった未来の下着を見て、弘幸はしばし固まった。

「クマ柄パジャマのくせに……なんだ、この下着」
「……っ!!」

 未来が身につけているのは紫色のレースの下着だ。上下そろいのもので、ショーツに至ってはお尻の部分が透けている。そのショーツだけは何としても見られたくなくてズボンの腰もとをつかんでいたが、いぶかしげな顔の弘幸にズボンまでも引き下ろされてしまう。
 弘幸は今度は無言で未来の下着姿をまじまじと見ている。口を開けば憎まれ口ばかりの彼だが、無言だとよけいに恐ろしい。
 未来はあまり意味はないとわかっていても自分自身の体を腕で隠す。

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