俺さま幼なじみとの溺愛同居 《 17


「わ、私も……好き。たぶん、ずっと前から」

 思ったよりも小さな声しか出せなかった。でもちょうど風が凪いだ。彼の耳には届いたと思う。

「……たぶんって何だよ」

 よかった、ちゃんと伝わっていた。弘幸はいまだに恥ずかしそうな面持ちのまま唇を尖らせている。

「自分でもよくわからないの! でも……好き」

 そのあとは何ともいえない沈黙があった。恥ずかしくて顔を上げられない。どこかの家の気がサワサワと揺れる音がする。

「……っ、ヒロくん」

 急に手をつかまれ、強引に歩かされる。うしろから見る彼は耳まで真っ赤になっていた。だからこれは照れ隠しなのだろう。触れ合っている手だって、すごく熱い。

(私にまで熱が移っちゃったよ)

 そうでなくても、もともと体じゅうが火照っていた。好きだと言われ、私も好きだと返して。ずっと前から――生まれたときからの知り合いなのに、いまさら想いを伝え合うのがとてつもなく照れくさい。
 自宅に着くと有無を言わさず脱衣所に連れ込まれた。

「え、あの……な、なにっ?」
「社長が言ってただろ。佐伯はずいぶんと我慢してきたんだ、って」

 他人事のようにそう言って、弘幸は未来の真新しいスーツをどんどん脱がせていく。丸裸にされるまではあっという間だった。
 未来は両腕で胸を覆い隠し、彼に背を向ける。弘幸もまたスーツを脱いでいった。互い生まれたままの姿になると、弘幸は未来の背を押して強引に浴室の中へと進む。

「体、洗ってやる」
「いっ、いいい、いい!」
「何回『い』って言ってんだよ。まあいいや、いいんだろ?」

 クスクスと笑いながら弘幸は未来を風呂椅子に座らせて、手のひらにボディソープを泡立てる。

(もうーっ、何でこうなるの!?)

 お互いに想いを伝え合って、それからなぜすぐにこんなことになっているのだろう。

(我慢してた、って言ってたけど……)

 それにしたって急展開すぎる。こちらとしては想いを自覚したばかりなので、正直なところまだついていけない。

「そんな身構えなくても。体を洗うだけだって」
「だ、って……! ……本当にそれだけ?」

 いや、素肌に触れられるだけでも大層なことだが。

「手のひらで丁寧に洗うだけ。それだけだ」

 ――手のひらで!
 それはどう考えても怪しさ満点だ。未来は「だめだめっ」と連呼して立ち上がろうとしたが、弘幸に両肩をつかまれ押さえ込まれる。

「……っ、ぁ」

 肩にあった彼の手がぬるりと下へ滑る。ふくらんでいるところを撫でて、しかしいただきは避けて脇腹のほうへ下りていく。

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