「ひゃ、あぁッ……！」

　バクバクと胸が高鳴り、手足の先が甘さを伴ってしびれる。足の指先を丸め込んで、体を強張らせると、拓人は「じゅうっ」と音が立ちそうな勢いでさらに強く花芽を吸った。

「や、やぁあっ、だめ……!!」

　あまりの快感で体が震えてくる。両脚が小刻みに揺れるのを止められない。
　拓人は美樹の言葉に耳を貸さず、両手を上へ伸ばした。あらわになったままだった両の乳房の先をそれぞれ人差し指で押し上げ、上下左右になぶり倒す。

「やっ！　あ、あぁ、あっ」

　ときおりつん、つんっと乳頭を弾かれるのもまた気持ちがよい。体はいまだかつてない悦びを得ていた。
　とどめのように、薄布越しに蜜源を舌でこづかれれば、快感は瞬く間に昇りつめて爆ぜる。

「あ、ぁ――……っ！」

　びくっ、びくっと何度も下半身を脈打たせる美樹を静かに見つめ、拓人は手の甲で口もとをぬぐう。
　愉しそうな彼とは相反して、眉根を寄せて恥ずかしそうに口を押さえる美樹を拓人はかき抱いた。それから彼女の頬を両手で多い、潤んだ瞳を見つめる。

「あぁ、かわいい……。大好きだ」

　拓人は「たまらない」と言わんばかりに大きく息をつき、美樹の唇を塞ぐ。

「ふっ……」

　呼吸が整わぬうちに唇を塞がれ、ますます息が上がる。やや息苦しそうに上下する胸を拓人は片手でまさぐり、そのいただきをつまんだ。

「……！　ンンッ」

　絶頂したばかりでどこもかしこも過敏になっているから、そうして乳首をつままれただけでも鋭い快感が脳天を突き抜ける。
　想いが通じ合って、恥ずかしいところをまさぐられて。
　嬉しいけれど恥ずかしい。恥ずかしいけれど気持ちがいい。
　絶頂した余韻のせいか頭のなかがぼんやりとしている。眠いわけでもないのにまどろんでいるような心地になる。
　長いこと唇に唇でふたをされて、ほんの少し離れたすきに口を開けて息を吸い込むと、そのすきに彼の舌が割り入ってきた。

「ふぁっ」

　またしてもはしたない声が出てしまった。どうしてこう、自分でも聞くにたえないような声が出てしまうのだろう。
　熱い舌は歯列をたどり、上顎《うわあご》をくすぐる。右端から蛇行しながら左端へ向かい、また戻る。その繰り返しだ。単純な動きだが、それがどうしてか気持ちいいと思える。

「舌……絡ませて」
「ん――」

　返事をする前にふたたび唇を押し当てられ、灼熱の舌が我が物顔で入ってくる。

（か、絡ませる――？）

　こんなキスは初めてなので要領を得ないが、言われたとおりに彼の舌に自身のそれを絡ませると、拓人はわずかに肩を揺らしたあと、美樹の胸のいただきを指でもてあそびながらより深い口づけをほどこしていった。