「んんっ、美味しいーっ!」
ショコラ・デ・マノークが閉店したあと、拓人が試作した低カロリーケーキを食べた美樹は厨房で満面の笑みになっていた。
(最近はずっと甘いものを控えてたから……)
それでよけいに美味しく感じるのかもしれないが、そうでなくても絶品だと思う。
美樹はぺろりと舌なめずりをしてケーキを食べ進める。そんな彼女の口もとを、拓人はじいっと見つめる。
「俺も味見していい?」
そう尋ねられた美樹はおかしいな、と思いながらも「はい」と返事をした。
(たしか、作ってるときに味見してたと思うけど……)
拓人は昼過ぎから厨房にいた。味見をしながらケーキを作っていた。
(もう一度、味を確認したいのかな)
拓人のぶんをフォークで切り分けていると、コックコートを腕まくりした彼にその手をつかまれた。筋ばった腕を見て、トクッと胸が鳴る。
「ん――!?」
腰を抱かれ、唇を塞がれる。すぐに生温かい舌が口のなかに入り込んできて、上あごと歯列をべろべろと舐めまわし始めた。
「ふ、ぅ……んん……ッ」
舌の動きは緩慢だった。なにかを確かめるかのようにのろのろと這いまわる。
美樹が大きく息をつくのと同時に、銀糸を引いて唇が離れた。
「……美樹ちゃんのなか、甘い」
美樹の頬が瞬く間にカァッと火照る。そうして赤くなった頬を、拓人は両手ですりすりとさすった。
「もう少しだけクリームの味見をさせて」
「ど、どうぞ……?」
――どうして私に許可を取るの?
拓人はニッと笑い、「じゃあ遠慮なく」と言って手を伸ばしてくる。彼の手は制服のベストと丸襟のシャツのボタンを順序よく外していく。
「え、えっ!?」
クリームの味見をするのになぜ服のボタンを外す必要があるのだろう。
拓人はほほえむばかりでなにも言わない。黙々と美樹の制服を乱す。
(どうして!?)
慌てているあいだにブラジャーが顔を出した。拓人は美樹の下着の端を指でつまんで持ち上げる。白いレースのブラジャーは胸の上までめくられてしまった。
「あ、ああ、あのっ」
おろおろしながら両手で胸を隠す。拓人はというと、食べかけのケーキのホイップクリームを指で掬っていた。
拓人は片手で美樹の両腕を払う。そこに荒々しさはなく、両手は撫でるようにしてゆっくりと退かされた。
あらわになった乳房の先端に、拓人はホイップクリームをそっと塗りつける。それはデコレーションの仕上げをするときのように丁寧で慎重な手つきだった。
「ンン……!」