あいまいな恋の自覚 ~鬼畜な御曹司と淫らな遊び~ 《 17

「ん……」

ぼんやりと天井を見つめる。セックスの最中に意識を失ってしまった愛莉は目をこすりながら上半身を起こした。身体にはしっかりと布団がかけてあった。碓氷の姿は見当たらない。
(碓氷さん、どこに行ったんだろ)

裸のまま彼を探す。バスルームから水音が聞こえる。愛莉は寝ぼけまなこのまま浴室へ向かった。そっと扉を開ける。

バスルームは碓氷の自宅ほどではないが広い。大きな四角い浴槽がひとつと、外国製と思われる小さなバスタブがあった。小さなほうの浴槽に彼を見つける。

「一緒に入るか? 気持ちいいぞ」

碓氷は愛莉を見つめながら浴槽の泡を片手ですくった。泡のお風呂なんて入ったことがない。
愛莉はコクリとうなずいて、胸もとを押さえながらバスタブに近づいた。

「失礼します……っ、ひゃ」

正面から入るのは恥ずかしいから、背を向けて浸かる。するとすぐに腰を引かれ、彼にうしろから抱き込まれる格好になった。

「さっきはマッサージが中途半端になっていたな。続きをしてやる」

「ぁ、ふあ……っ!」

「なんだ、肩を触っただけなのに妙な声を出して……。きみの身体はどこもかしこも性感帯なのか?」

「ちっ、ちが……っ、碓氷さんの触りかたがヤらしいんです」

「なかなか言うようになったな」

「ンン……ッ!」

両肩からヌルヌルと滑り落ちてきた彼の手がフニッとふくらみをつかむ。
敏感ないただきは指のあいだにはさまれ、全体はゆるゆると揉みまわされている。

「んぁ、ぅ……っぁ」

男らしくゴツゴツした彼の手は泡のおかげでやわらいで滑らかだ。大きな両手は官能的に双乳を揉み込み、いただきのつぼみをこれでもかと焦らす。

「碓氷さ……ん、意地悪しないで……っぁ、ふ」

「そんなつもりはないが……参ったな、そういう言いまわしをされるとたまらない」

お尻に当たる肉塊の存在が顕著になってきた。肉棒はふくらみを増して愛莉の股のあいだから顔を出す。泡が目隠しになっていて見えないけれど、感覚でそれがわかる。

「あ……っ、だめ、こすっちゃ……。また、イッちゃう……んぅっ」

「イけばいい、何度でも。きみが達するときの顔はいくら見ても飽きない」

「あっ、アア……ッ! ん、んくぅ……!」

碓氷は愛莉の割れ目に硬い竿をこすりつけながら、同じく硬く尖った上半身の棘を指できつくつまみ上げた。

「ああっ、ぅ……んっ、ひぁっ……!」

肉棒にこすり立てられている花びらはぬめりを増している。それが泡のせいなのか、それとも愛莉の身の内からあふれ出る淫液によるものなのか、あるいは両方なのか。
ヌルヌルとした刺激は柔らかいけれど、彼が強く素早く雄棒を上下させるせいで花芽はすぐに音(ね)を上げて打ち震える。

「ふはっ……ぁ……」

厚い胸板に身体をあずける。こうしていると、とても落ち着く。彼の胸は大きくて、包まれていると安心するのだ。

「もうイッたのか? 顔を見損ねた」

「ンン……」

乳首を摘まんでいた両手のうちのひとつがあごをつかむ。やんわりと彼のほうを向かされ、どちらからともなく唇が合わさる。

(好き……。私、このひとが好き)

まぶたを閉じて舌を絡め合わせながら愛莉は明確にそう思った。口づけでこの想いが伝わればいい。そう感じ取ってもらえるように、と愛莉は積極的に彼の舌を追った。

「どうした、欲情してるのか?」

「っ、そうじゃなくて……その」

あなたのことが好き、伝えたいのは それだけだ。なのにその一言を口にできず、愛莉は黙り込む。

「……シャワーを浴びよう。泡が邪魔で、きみの身体を愉しめない」

碓氷はそう言って愛莉の額にキスを落とし、バスタブを出た。
愛莉も立ち上がって後に続く。真っ白な泡が浴室のタイルに滑り落ちる。

「ここに手を突け」

大きな鏡の前で碓氷は待ちかまえている。
愛莉は言われるまま両手を鏡に張りつけた。碓氷がシャワーハンドルを捻る。泡の鎧はお湯に流されて、愛莉の身体は無防備にさらけ出される。

「そんなにガッチリと脚を閉じていてはココの泡を落としきれない。もっと楽にしてろ」

「は、い……っん、あぁ……っ!」

おずおずとひらいた股間にシャワーの湯が勢いよく当たる。碓氷はお尻側から片手を秘部へと忍ばせ、指で陰唇をかきひらいてさらになかの肉芽に湯を浴びせた。

「ふぁっ、あ……んっ、んくぅ」

「おかしいな、どれだけ洗ってもぬめりが落ちない」

当たり前だ。彼の指は蜜口と花芽を交互に行きかっている。愛蜜は絶え間なくあふれ出ているから、どれだけ湯で流してもすぐにまた淫液で濡れてしまうのだ。

「次から次にあふれさせて、いやらしい身体だ……。そろそろ物足りなくなってきたんじゃないか」

「アアッ、や……んっ、っぁ……あうっ」

碓氷はシャワーを止めてヘッドをもとの場所へ戻し、そのまま愛莉の乳房をつかんだ。そちらに気を取られているあいだに膣口から指が侵入してきた。

「っや、だめ……そこ、あぁ……ッ!」

恥骨の裏側あたりをすさまじい勢いで無骨な指が往復している。
愛莉はガクガクと脚を震わせながら大きく喘いだ。鏡についたままの両手を思わず握り締める。

「んぁっ、あふ……っ、やぁぁ……っ! ひ、ぁ……ンッ!?」

まさにいま身体は絶頂してビクビクと痙攣している。それなのに彼はその余韻を楽しむ間を与えずうしろから大きな肉塊を突き刺してきた。
崩れ落ちそうになっていた身体は彼の肉棒でかろうじて支えられている状態だ。

「ひぁっ、あ……っや、あぁんッ!」

男根はすぐに最奥を穿ち、執拗に突き込んでくる。愛莉はその衝撃に耐え切れず、鏡に身体を張りつけて嬌声を上げた。

「鏡の前でするのはとてもいいな。うしろからでもきみの顔がよく見える」

そう言われて、愛莉はハッとしてすぐ目の前にある鏡を見すえた。
紅潮した頬に潤んだ瞳、湯気で濡れた髪の毛。艶かしい表情をしているその女が自分だなんて思えない。

「やっ、見ないで……くださ……っぃ」

自分の顔から目を逸らして視線を上向けると、鏡越しに彼と目があった。
とっさにうつむくと、ふたつの乳頭をつままれて鏡にこすりつけられているところだった。
その冷たい刺激が身体中に伝搬してゾクリと震える。

「あっ、ふぁぁ……ん、ンッ……ひあぁぁ……ッ!」

ふくらみの頂点は強くつままれて次から次に形を変える。
下半身に突き刺さっている肉棒も、ゆるむことなく責め立ててくる。もう何度イッたのかわからない。絶頂したかと思うとさらに大きくかきまわされ、またすぐに達してしまうのだ。

「……っ、出すぞ」

「んっ、あふ……っ」

愛莉はふと気がついた。彼は今まで一度も避妊をしていない。安全日かどうか尋ねられたこともない。もうすでに何回か彼の精液を体内で受けている。

(……もし子どもができたら、碓氷さんはどうするんだろう)

既成事実は武器だ。碓氷の子を宿してしまえば、例え彼が愛莉に本気でなくても、彼とのつながりができる。

(やだ、何を考えてるの、私ったら……)

ひどく卑怯で不道徳な考えをすぐに恥じた。そうしているあいだに、下半身に打ち込まれていた楔は大きく脈打ち、果てた。

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