伯爵ときどき野獣 《 番外編 03

 クレアの手首に巻きついている紐の先をたぐり寄せるフレデリック。背中から肩を通して前へと紐を垂らす。まだまだ先は長く、そこここをいくらでも縛ることができそうだ。
 いや、縛られることを期待しているわけではない。もしかしたら、心の奥底にはそういう気持ちもあるのかもしれないが。
「そう怖がらなくていい。痛くはしないから」
 なだめるような声が頭上から降ってきた。クレアがわなないているのを彼はきちんとわかっている。そのうえで、ふくらみのいただきを紐でなぶる。
「んぁっ……」
 紐を下方へ引っ張られると、背中で縛られている手首が連動して持ち上がる。縦方向に張り詰めた紐が薄桃色を左右に弾く。その刺激で下半身が色気づいてくる。われながらあきれる。
「その気になってきたみたいだな?」
「ふっ、は……ぅ」
 紐がつぼみをこする感触がたまらない。ぴんっ、ぴんっと柔らかい紐でじれったくなぶられるたびにどく、どくんと下半身が鳴り、奥底から蜜を噴き出す。入り口にまでしたたるのに、そう時間はかからないだろう。
 フレデリックは嘲笑し、クレアの身体を縛っていく。乳房を挟み込むように上下にぐるぐると紐を巻き付けられ、それから太ももと足首をそれぞれひとまとめにされた。
(いやだ、こんな格好……)
 乳房の上下に這う紐のせいでふくらみが誇張されている。両足は折り曲げたまま拘束され、紐の終点はふたたびテラスの柵だ。クレアは脚を大きくひらいた状態で柵に縛り付けられている。
 ひどく淫猥な格好をさせられて恥ずかしいのに、彼の射るような視線を感じて蜜奥はさらにひくひくと震える。羞恥心という理性では蜜をせき止めることができない。
「ああ、興奮しているな、クレア。蜜があふれてきた」
「っ……!」
 開け広げの蜜口に無骨な指がちゅぷっ、と沈み込んだ。あわいの浅いところに指を突き立てられ、なかの蜜を外へとかき出される。
「はっ、んぅっ! あ、ぅ……っ」
 ぐちゅっ、ぴちゃっと水音が夜の静寂に響く。誰かに喘ぎ声を聞かれるかもしれない。口もとを押さえたいけれど、手首に巻き付いている紐はいくら力を込めてもほどけなかった。
「縛っただけでこんなに濡らすなんてな。少し驚いた」
 蜜に濡れた中指をぺろりとひと舐めしてフレデリックは立ち上がった。クレアから離れて、テラスのテーブルへ向かっている。テーブルのうえには、ワイングラス。なかにはワインがまだ残っている。クレアはそれを見て初めて、フレデリックがテラスで酒をあおっていたのだと知った。
 グラスを手にしたフレデリックはふたたびクレアの目の前に立ち、タイルの床にひざをつく。
「な、なにをするつもり?」
「のどが渇いたし腹も減った。きみの身体ごとワインをたしなむことにする」
「ひゃ……っ!」
 ワイングラスがゆるやかに傾く。なかの液体がクレアの裸体にぽたぽたとゆっくり落ちていく。ワインの赤が薄桃色に垂れ、つぼみが濃くなる。
「やっ、つめた、い……!」
「そこのテーブルに置きっぱなしにしていたから、夜風で冷えたんだろうな。さて、いただくとしよう」
 フレデリックは片手にグラスを持ったまま、もう片方の手でクレアの乳房を下から持ち上げるようにしてつかんだ。赤く濡れたふくらみの先端を根もとからじれったく舐め上げる。

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