ゴォーと、窓を打つ雨とビル風の音はけたたましさを増していた。
台風は夜に上陸するらしく、今日はほとんどの社員が定時で帰る。
管理職の部長も今日ばかりは残業せずに帰宅するらしい。
エレベーターのところで部長に鉢合わせした理沙は、上司と部下の関係性を保ちつつエレベーターに乗った。
「帰りが一緒になるなんて、ホント嵐でもこないかぎりないですよね」
「そうだな。ところで今日の晩飯は何だ」
「もう! ふたりきりになったとたんにそういう話をするのやめてよ。色気がないんだからっ」
「いつも腹を鳴らしてるやつのセリフじゃないな。ではしかたがない、色気のあることをするか」
「あっ、やだっ、近寄らな……っえ!?」
ガタン、という音だっただろうか、とにかく日常ではあまり聞かないような機械音と揺れを感じて、あたりは真っ暗になった。部長に唇を塞がれているわけではない。
「え、えっ……停電!?」
エレベーターは止まっている。
「どうしましょう、部長!」
「名前で呼べと言ってるだろ」
「いまはそんなことを言ってる場合じゃ……ふっ!?」
ようやく目が暗がりに慣れてきたころ、理沙はうしろから拘束されて身動きが取れなくなった。
「んっ、部長、なに考えてるんですかっ、こんなときに……っ」
「俺はいつもおまえにさわることしか考えていない」
(……嘘ばっかり。仕事のときは怖いくらいの顔をしてるくせに) 部長お好みの地味なスーツのボタンがはずされ、なかのシャツまではだけさせられていく。
非常時だというのに身体が、特に下半身が次の行為を待ち望んでしまっている。
「んっ、ふぅ……っあ、あん……! ぶ、ちょう、やめ……ッア!」
「な、ま、え」
さとすような柔らかな口調に反して、彼の手は水を得た魚のように艶めかしく双乳をじかに揺さぶっていた。
下着はとうにまくり上げられていて、停電中のエレベーターと同じでまったく機能していない。
密室の暗闇でふくらみの敏感な部分をさわられると、快感がうねるように全身を駆け巡った。
(名前、呼ばなくちゃ……)
そうしなくては、きっとまた焦らされるだけだ。もたもたしていたら電気が復旧してこの行為が終わるかもしれない。いや、復旧せずにこのままでも、困るのだが。
「頼智、さん……っあ、もっと、触って……」
「よくできました。理沙は俺を煽るのがうまくなった」
部長は書庫でしたときと同じように、いや、そのときよりも荒っぽく理沙の下半身に触れた。
「あっ、ああ……ッ、やっ、もう、イッちゃいそう……!」
「いくらなんでも早すぎるだろう。もう少したのしんだらどうだ」
グチュッ、と激しい水音がして、彼の中指が肉襞の奥深くに突き進む。親指は濡れた花芽をえぐるように押し潰している。
「あ、あ……っ、も、だ、め……んん!」
身体が収縮して、あたりが明るくなったように感じた。
「……復旧したみたいだな」
部長の手は蜜であふれた陰唇を撫でて名残り惜しそうに遠ざかった。
達してしまった余韻に浸る間もなくエレベーターは動き始めて、部長は理沙の身体をうしろから抱いたまま服を整えていた。
「今日の晩飯は理沙にするか」
「またそんなこと言って……ぶちょ……頼智さんの、エッチ」
理沙は小さな声でそう言った。
身体はまだ疼いている。帰宅後の甘い夜をねだるように、理沙は背伸びをして彼に口付けた。
台風は夜に上陸するらしく、今日はほとんどの社員が定時で帰る。
管理職の部長も今日ばかりは残業せずに帰宅するらしい。
エレベーターのところで部長に鉢合わせした理沙は、上司と部下の関係性を保ちつつエレベーターに乗った。
「帰りが一緒になるなんて、ホント嵐でもこないかぎりないですよね」
「そうだな。ところで今日の晩飯は何だ」
「もう! ふたりきりになったとたんにそういう話をするのやめてよ。色気がないんだからっ」
「いつも腹を鳴らしてるやつのセリフじゃないな。ではしかたがない、色気のあることをするか」
「あっ、やだっ、近寄らな……っえ!?」
ガタン、という音だっただろうか、とにかく日常ではあまり聞かないような機械音と揺れを感じて、あたりは真っ暗になった。部長に唇を塞がれているわけではない。
「え、えっ……停電!?」
エレベーターは止まっている。
「どうしましょう、部長!」
「名前で呼べと言ってるだろ」
「いまはそんなことを言ってる場合じゃ……ふっ!?」
ようやく目が暗がりに慣れてきたころ、理沙はうしろから拘束されて身動きが取れなくなった。
「んっ、部長、なに考えてるんですかっ、こんなときに……っ」
「俺はいつもおまえにさわることしか考えていない」
(……嘘ばっかり。仕事のときは怖いくらいの顔をしてるくせに) 部長お好みの地味なスーツのボタンがはずされ、なかのシャツまではだけさせられていく。
非常時だというのに身体が、特に下半身が次の行為を待ち望んでしまっている。
「んっ、ふぅ……っあ、あん……! ぶ、ちょう、やめ……ッア!」
「な、ま、え」
さとすような柔らかな口調に反して、彼の手は水を得た魚のように艶めかしく双乳をじかに揺さぶっていた。
下着はとうにまくり上げられていて、停電中のエレベーターと同じでまったく機能していない。
密室の暗闇でふくらみの敏感な部分をさわられると、快感がうねるように全身を駆け巡った。
(名前、呼ばなくちゃ……)
そうしなくては、きっとまた焦らされるだけだ。もたもたしていたら電気が復旧してこの行為が終わるかもしれない。いや、復旧せずにこのままでも、困るのだが。
「頼智、さん……っあ、もっと、触って……」
「よくできました。理沙は俺を煽るのがうまくなった」
部長は書庫でしたときと同じように、いや、そのときよりも荒っぽく理沙の下半身に触れた。
「あっ、ああ……ッ、やっ、もう、イッちゃいそう……!」
「いくらなんでも早すぎるだろう。もう少したのしんだらどうだ」
グチュッ、と激しい水音がして、彼の中指が肉襞の奥深くに突き進む。親指は濡れた花芽をえぐるように押し潰している。
「あ、あ……っ、も、だ、め……んん!」
身体が収縮して、あたりが明るくなったように感じた。
「……復旧したみたいだな」
部長の手は蜜であふれた陰唇を撫でて名残り惜しそうに遠ざかった。
達してしまった余韻に浸る間もなくエレベーターは動き始めて、部長は理沙の身体をうしろから抱いたまま服を整えていた。
「今日の晩飯は理沙にするか」
「またそんなこと言って……ぶちょ……頼智さんの、エッチ」
理沙は小さな声でそう言った。
身体はまだ疼いている。帰宅後の甘い夜をねだるように、理沙は背伸びをして彼に口付けた。