般若部長の飼い猫 《 番外編  生温かなチョコレート

とある休日、いつものように家で夕食を取りながら、理沙は向かいに座る彼に話しかけていた。

「部長! 14日はぜっったい空けといてくださいね!」

「ああもちろんだ。おまえにはしてもらいたいことがあるからな。……なんだ、その間抜け面は」

空けておくなんて忙しいから無理だと言われるに違いないと思っていた理沙は拍子抜けしてしまった。

「それならいいんです。で、私にしてもらいたいことって何ですか? なんでも作りますよ」

「それは話が早い。何でもしてくれるんだな?」

部長はひざのうえのきららを撫でながら鋭くこちらを見つめている。

「部長はフワトロ系が好きでしたよね。フォンダンショコラとかどうですか?」

「ああ、それでいい。楽しみにしてるぞ」

このときは、部長がバレンタイン当日に悪だくみをしているなんて予想もしてなくて、会話が噛み合っていないことに気づきもせず、彼のほほえみ顔をただ穏やかに眺めていた。

***

そしてフォンダンショコラの試作を繰り返すこと数日。すぐに週末となり、バレンタインはやってきた。

「んなっ、なにを言ってるんですか……っ!?」

「だから……おまえの身体にコレを乗せて食べるんだ」

「や、ちょっと……っ! ふ、普通に食べてくださいっ」

「なんでもすると言ったじゃないか。ほら早く服を脱げ」

「待って……ち、ちょっと……!」

エプロンと部屋着は下着とともに瞬く間に剥ぎ取られてしまい、あろうことかダイニングテーブルに寝かされてしまった。

(私の身体にチョコレートを乗せて食べるだなんて、聞いてない……!)

部長はフォンダンショコラをスプーンですくい、理沙のお腹に乗せた。

「やっ、ん……っ、つめたい……」

そしてパクリとかぶりつく。

「ん、うまい」

短いつぶやいて、ふたたびショコラをスプーンで取っている。

「……こんなことして楽しいですか?」

「ああ、楽しい」

ニイッと口角を上げ、部長は理沙の両腕を片手でつかみ、彼女の頭のうえでまとめ上げた。

「あ……っ!」

腕で隠していた乳房が突如あらわになってしまいあわてていると、部長はふくらみの先端にショコラの溶けている部分をそっと垂らした。

「っん、ぅ……ッ」

ツツツ、と乳輪をとおって流れていく生温かいチョコレートはなんともじれったい快感をもたらす。
それが完全に滑り落ちてしまいそうになったとき、部長はチョコレートの軌跡を舌でたどり始めた。

「ふぁぁ……っ!」

チョコレート色に染まってしまっている上半身のつぼみを、ちゅぷっ、ちゅううっといつもよりきつく吸い上げられた。
理沙は過剰に反応してつい大きな嬌声を上げてしまう。

「おまえの料理はいつもうまいが、こうして食べると格別だな……。これからはいつもこうしようか」

真顔でそんなことを言われてはたまらない。理沙はますます身体を火照らせながら反論した。

「部長のエッチ! 鬼畜っ、変態……っん、んん……!」

重なった唇から伝わってきたチョコレートは、味見したときよりも甘く感じた。

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