ひきこもり令嬢は囚われの貴公子に溺愛される 《 第二章 囚われの貴公子は自由奔放 15

「や……っ! なっ、やめて」
 ドレスのすそはみるみるうちに引き上げられ、すぐにドロワーズがあらわになった。
 めくり上がってしまったドレスのすそをもとに戻そうと両手を伸ばす。しかし彼の片手につかまってしまい、頭上でひとまとめにされた。
 乳房をさらしたまま両手をうえに上げさせられているこの格好はとても屈辱的だ。
 それなのに、憤りとはべつの感情がリルのなかに湧き起こる。
(私、どうしちゃったの)
 どんどん淫乱になっていくような気がして怖くなった。リルはか細い声でオーガスタスに乞う。
「お願い、もうやめて……」
「いやだ。……でも、そうだな。少しも濡れていなかったら、やめる。これ以上はなにもしない。だから確かめさせて」
 リルは短く息を吸い込み、瞬間的に止めた。止まってしまった。
 オーガスタスの右手が秘部へ伸びていく。
「い、いや……!」
 触れられてはいけない。
(なぜ、いけないの)
 頭のなかに響く声に自分自身が戸惑う。ぐじぐじと抵抗しているのを馬鹿にするかのように、みだらなほうに思考が流れてしまう。
 オーガスタスは初めから確信している。リルのそこが蜜をあふれさせていることを。
「……湿っているね。それも、ものすごく。これって、きみの体が僕のしたことに反応してるって証拠だよね?」
 指摘され、かあっと頬が熱くなった。
 わかりきったことだから覚悟していたのに、それでも羞恥心が暗雲のようにリルを覆い尽くす。
 瞳を潤ませるリルを愉しそうに見おろし、オーガスタスはドロワーズのクロッチ部分を右の中指でさすった。
 先ほど彼からほどこされた愛撫であふれた蜜はドロワーズの薄布をたやすく通り越していた。生地のうえからゆっくりと指で秘所をなぞられることでいっそう危うくなる。
「ひぁ……っ!!」
「ああ……。『湿る』どころじゃない。ずぶ濡れだ」
 恍惚とした表情を浮かべ、オーガスタスはなおもリルの秘裂を生地ごしにこすって刺激する。
「あぅっ、ん……。ふっ、くぅっ」
 ドロワーズごしに緩慢に裂け目を這う指だけでもおかしくなってしまいそうなのに、オーガスタスはふたたび乳頭に唇を寄せている。先ほどとは違う、もう片方のいただきだ。
「ああ、ぁ」
 舌がそこに触れることを期待して下半身がどくっと跳ねる。しかし彼の舌は乳首に触れる寸前で止まってしまった。
「………っ?」
 リルは眉根を寄せてオーガスタスを見つめる。
「……舐めてほしい?」
 赤い舌が引っ込んで、代わりに尋ねられた。すぐに首を縦に振ってしまいそうになり、しかしわずかばかりの自制心が歯止めをかける。
「わ、私は、そんなこと……」
 もごもごと言い淀んでいると、割れ目の奥に眠る秘玉をくんっ、と押された。
「んぁっ、う……!」
「リルは素直じゃないよね。でも、そういうところも好き。人間らしくていい」
「ふっ、ぅぁっ、ん……っ」
 濡れそぼったドロワーズが秘所に張り付き、それを彼が押しなぶってよけいに湿らせる。
 オーガスタスはリルの手首をつかむのをやめて乳房に添えた。彼女の腕を押さえる必要はもうないと思ったのだろう。
「はぅっ、う……!」
 少しだけじらされたせいか、乾いた乳首を舌先でちょこんと突つかれただけだで過剰に反応して秘部がじゅんっと潤みを増す。
 両手は自由になっている。彼の背をつかむものの、引きはがすでもなく服のうえに添えているだけだ。少しも力が入らない。
(……じれったい)
 乳首を舐めまわされることの快感を知ってしまったいま、舌先でつんつんと突つかれるくらいでは物足りない。
 リルは無意識のうちにオーガスタスの背中を両手で抱き寄せていた。
「……大胆だね?」
「な、にが……」
 なんのことかわからず首を傾げる。
「僕のこと、抱きしめてる」
「………っ!」
 あわてて両手を放すが、オーガスタスはそれでもまだ嬉しそうな表情のままだった。
「受け入れてくれるんだ?」

前 へ    目 次    次 へ