ひきこもり令嬢は囚われの貴公子に溺愛される 《 第三章 勘違い 06

 もとより、くすぐったいところを舐められているから足には力が入らない。足蹴にして払いのけるという選択肢は存在しない。
「リル……」
 ぽつりと名を呼び、すぐにまた舌と手を肌に添わせてオーガスタスはリルのふくらみを目指す。
 リルと向かい合って横たわり、ほほえむオーガスタス。なんだかとても楽しそうだ。
「そろそろココに、欲しくなってきたでしょ? 僕の舌が」
「うぅ……っ」
 横向きに寝転がった状態で両手首をひとまとめにされ、頭のうえでベッドに押さえ付けられている。ふくらみを隠すものがなにもない。
 自身の腕の隙間から見えていた彼の片手が胸もとへ動く。リルの腕を押さえていないほうの手だ。その手がふくらみの尖った先端をつん、つんっと上下になぶる。
「ぁ、あっ……!」
「ん、硬いね……。舐めごたえがありそう。ああ、噛んでみるのもいい」
「っ、か……む!? んんっ、ぁ」
 指先でひっきりなしに薄桃色のつぼみをなぶりながらオーガスタスは嗤う。
「やだな、そんなにおびえないでよ。血は出ない程度にするから」
 リルの顔面からサアッと血の気が引いていく。
(噛まれるだなんて……!)
 血は出ない程度といっても、痛いに違いない。
「や、だ、やだっ……!」
 彼から離れようと、足先でベッドを蹴った。しかしすぐに腰に腕をまわされ、横向きのまま体を固定されてしまった。
「逃がさないよ、リル」
 オーガスタスは瞳をあやしくきらめかせて、リルの胸もとに顔を寄せた。
 いきなり噛みつかれるのかと思ったが、そうではなかった。
「ふぅぅっ……」
 熱い舌が、乳輪の端からいただきのてっぺんまでをじっくりと舐め上げる。リルはぴくぴくと体を震わせた。いつ噛みつかれるのかと、怖くてたまらない。
「おびえているあなたもかわいい……。縛って目隠しするのもいいかも」
 物騒な発言に「ひっ」と息をのむと、オーガスタスは穏やかに目を細めた。
「今日はしないよ。縛るのはまた今度、ね」
 彼はそう言ったが、ほっとしてよいのかわからない。遠からず縛り上げられてしまうのかと思うと恐ろしい。そして恐怖以外の感情もたしかにあるのが恥ずかしい。リルの頬はますます紅潮した。
「話が逸れちゃったね。さて、このかわいらしい果肉をどんなふうに噛み締めようかな……」
 舌先を左右に素早く動かして乳首を揺らしながらオーガスタスは吐息を吹きかけた。湿ったそこを官能的に撫でて過ぎ去る息を感じて、リルは小さく嬌声を上げた。
 先ほどから下半身の秘めたところがひとりでにひくひくとうごめいている。体は意に反して、臆することなくさらなる刺激をいまかいまかと待ち望んでいるのだ。
 官能に溺れ始めたリルに追い打ちをかけるようにオーガスタスは大きく口を開け、薄桃色の先端を唇ではさんだ。
「あぁっ……!」
 上下の唇ですりつぶすようにして乳首をいじめられている。指でされるのとも、舌でされるのとも違う。やわらかな快感がいっそうリルの乳頭を硬くしこらせる。
「……――っ!!」
 突如として、するどい痛みが走った。あらかじめ宣言されていたとおり、歯を突き立てられたのだと気づくまでに少し時間がかかった。
 一転して強い刺激がふくらみのいただきを見舞う。オーガスタスはリルの乳首を上下の歯ではさみ込み、ぎりぎりと左右に動かしていたぶった。
「んぁっ、あ、アッ」
 考えていたよりも――むしろ、痛みはほとんどなかった。オーガスタスはだいぶん遠慮をしている。もしくは、血が出ない程度にするというのはかなり誇張された表現で、リルをおどしておもしろがっていただけなのかもしれない。
 彼の歯はたしかに硬いけれど、あごにはまったく力が入っておらず、甘噛みされているだけだ。
 オーガスタスはリルの腰に巻き付けていた手をゆっくりと動かして、秘所へ忍ばせた。乳首にもたらされる快感に夢中なのか、彼女はまだそれに気がついていない。
「ひぁっ!? ……あ、んっ……!」
 いきなり下半身の小さな豆粒を指でとらえられ、驚きとともに嬌声を上げた。二本の指でぎゅうっとつままれ、強弱をつけてしごかれる。秘玉はすぐにでも弾けてしまいそうになった。しかしすんでのところでひとやすみされる。
 オーガスタスの指はいま花芽のまわりをぐるぐると巡回している。
「あぁ、ぅ……っ。ん、ふぁぅっ……!」
 淫核に触れそうで触れない指がもどかしくて、脚をこすり合わせてよがる。
 カリカリと甘噛みされていた乳首はいまは彼の熱い口腔に包まれ、舌先でくすぐられている。

前 へ    目 次    次 へ