涙ぐんでいるのを気取られないためか、オーガスタスは目を閉ざした。
「きみは僕を否定してくれるから好きだ。もちろん、いい意味で」
ふたたびその瞳がまみえたとき、雨粒は影も形もなかった。透き通った強い光を取り戻して、いっそう輝いている。
蔦が絡みついている脚をゆっくりとひらかされる。いつの間に彼はつながる準備をしていたのだろう。さらけ出された雄棒はすぐに女陰におさまることができる形をしていた。ふくらみきっている。
「っふ、ぅ……っ」
ぬちゅっ、と石がぬかるみに落ちたときのような音を立てて硬い切っ先が沈み込んだ。痛みは少しもなく、内壁は伸びやかに蠕動して陽根を迎え入れる。
熱い息が赤い頬に吹きかかる。オーガスタスはせつなそうな表情を浮かべてリルに顔を寄せている。
ペロリ、と唇の割れ目を舐めさぐり、そこを割るのと同時に肉杭をぐんっ、と押し進めた。
「ンン……ッ!」
ぴくぴくと足先を震わせながら彼の欲望をのみ込む。なぜこうしてつながっているのか、これが背徳的なことなのか、もはやわからないし考えたくない。立場をかえりみず、ただ求め合っている。ふたりは情欲にまみれた一対の雄雌だ。
肉楔が奥へ奥へと進むことで快感がほとばしる。しかし同時に空虚感にも襲われた。
(オーガスタスは、私のこと……)
行きずりの、飽きれば捨て置くていどの気持ちでつながっているのだろうかと不安になる。
そう思うと、ひどくあいまいで不安定な関係だ。体はこれほどまでに深くつながりあっているのに――。
「……んっ!!」
じゅうっ、と勢いよく舌を吸われた。リルの気が逸れているのを知ってか、意地悪く荒っぽく吸い上げて口腔をべろべろと舐めまわす。下半身に沈んでいる陰茎も容赦がなく、ガツンガツンと壁のなかを四方にのたうちまわっている。
息苦しさを感じ始めたころに唇を解放された。しかし次は開いた口でおおいに喘がされることになる。
オーガスタスは蔦の這った両脚を下から押し上げて自身の両肩に乗せ、蜜奥を穿った。
「ひぁぁっ! っは、あ、んんっ……!!」
挿入が深くなったことでいっそう快感が強くなり、くわえて律動も激しくなってきた。
いまだにところどころ体を覆っている蔦の葉が小刻みに揺れる。乳房を覆っていた葉は、ふくらみに押されてゆらゆらと大きく揺れていた。オーガスタスはそれを愉しげに見つめてほほえむ。
「……森の魔女を凌辱している気分になる」
ぽつりと、ひとりごとのようにつぶやくオーガスタス。それに対してリルは喘ぎながら答えた。
「囚われ、王子の……くせ、に……っ! あっ、ぁ……ッ! やっ、うぅっ」
たわいのない言い合いだというのに、どうしてか涙腺が熱くなった。涙があふれてしまうのを止めるために、リルは嬌声を漏らしながら目もとを両手で覆い隠した。
――溺れている。
全身に蔦を巻き付けられて喘がされた日からまだ数日も経っていない、ある昼下がり。
リルは心もとない格好で皿洗いをしていた。
「オーガス、タス……ッ! やっ、やめて」
「えー? どうしようかな」
嬉々としたようすで、声を弾ませてオーガスタスは手と口を動かす。
「だってすごく素敵だよ? リルのこの格好」
「すっ、素敵なわけ……なっ……っ、ん、ぅぅ……!」
リルが身につけているものはただひとつ。フリルがついたピンク色のエプロンだけだ。
この薄布はいちおう大切なところを隠しているが、背後に立つオーガスタスにはお尻が丸見えだし、生地が乗っかっているだけの秘部はとても無防備だ。
オーガスタスはそんなリルの体をエプロンごしに手探りしている。ふくらんだところの尖った部分を、生地のうえからこちょこちょとくすぐっているのだ。
「ピンク色が透けて濃くなってるね。色っぽくて、たまらない。ねえ、舐めてもいい?」
「だ、だめ……! まだ、洗い物が……」
「そんなの、あとで僕がしておくから」
「なっ……。あなたが私に『皿洗いをして』って言うから……!」
このピンク色のエプロンを身につけて皿洗いを始めたところ、オーガスタスになかのドレスだけを奪い取られてしまっていまに至る。
「まあまあ、細かいことは気にしないで。ほら、こっちを向いて」
強引にくるりと体を回転させられた。濡れた手からポタポタと雫が床に落ちる。
オーガスタスは身をかがめ、ふくらみを両手におさめた。エプロン生地がいただきにこすれて、それだけで感じてしまい、恥ずかしくなる。
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「きみは僕を否定してくれるから好きだ。もちろん、いい意味で」
ふたたびその瞳がまみえたとき、雨粒は影も形もなかった。透き通った強い光を取り戻して、いっそう輝いている。
蔦が絡みついている脚をゆっくりとひらかされる。いつの間に彼はつながる準備をしていたのだろう。さらけ出された雄棒はすぐに女陰におさまることができる形をしていた。ふくらみきっている。
「っふ、ぅ……っ」
ぬちゅっ、と石がぬかるみに落ちたときのような音を立てて硬い切っ先が沈み込んだ。痛みは少しもなく、内壁は伸びやかに蠕動して陽根を迎え入れる。
熱い息が赤い頬に吹きかかる。オーガスタスはせつなそうな表情を浮かべてリルに顔を寄せている。
ペロリ、と唇の割れ目を舐めさぐり、そこを割るのと同時に肉杭をぐんっ、と押し進めた。
「ンン……ッ!」
ぴくぴくと足先を震わせながら彼の欲望をのみ込む。なぜこうしてつながっているのか、これが背徳的なことなのか、もはやわからないし考えたくない。立場をかえりみず、ただ求め合っている。ふたりは情欲にまみれた一対の雄雌だ。
肉楔が奥へ奥へと進むことで快感がほとばしる。しかし同時に空虚感にも襲われた。
(オーガスタスは、私のこと……)
行きずりの、飽きれば捨て置くていどの気持ちでつながっているのだろうかと不安になる。
そう思うと、ひどくあいまいで不安定な関係だ。体はこれほどまでに深くつながりあっているのに――。
「……んっ!!」
じゅうっ、と勢いよく舌を吸われた。リルの気が逸れているのを知ってか、意地悪く荒っぽく吸い上げて口腔をべろべろと舐めまわす。下半身に沈んでいる陰茎も容赦がなく、ガツンガツンと壁のなかを四方にのたうちまわっている。
息苦しさを感じ始めたころに唇を解放された。しかし次は開いた口でおおいに喘がされることになる。
オーガスタスは蔦の這った両脚を下から押し上げて自身の両肩に乗せ、蜜奥を穿った。
「ひぁぁっ! っは、あ、んんっ……!!」
挿入が深くなったことでいっそう快感が強くなり、くわえて律動も激しくなってきた。
いまだにところどころ体を覆っている蔦の葉が小刻みに揺れる。乳房を覆っていた葉は、ふくらみに押されてゆらゆらと大きく揺れていた。オーガスタスはそれを愉しげに見つめてほほえむ。
「……森の魔女を凌辱している気分になる」
ぽつりと、ひとりごとのようにつぶやくオーガスタス。それに対してリルは喘ぎながら答えた。
「囚われ、王子の……くせ、に……っ! あっ、ぁ……ッ! やっ、うぅっ」
たわいのない言い合いだというのに、どうしてか涙腺が熱くなった。涙があふれてしまうのを止めるために、リルは嬌声を漏らしながら目もとを両手で覆い隠した。
――溺れている。
全身に蔦を巻き付けられて喘がされた日からまだ数日も経っていない、ある昼下がり。
リルは心もとない格好で皿洗いをしていた。
「オーガス、タス……ッ! やっ、やめて」
「えー? どうしようかな」
嬉々としたようすで、声を弾ませてオーガスタスは手と口を動かす。
「だってすごく素敵だよ? リルのこの格好」
「すっ、素敵なわけ……なっ……っ、ん、ぅぅ……!」
リルが身につけているものはただひとつ。フリルがついたピンク色のエプロンだけだ。
この薄布はいちおう大切なところを隠しているが、背後に立つオーガスタスにはお尻が丸見えだし、生地が乗っかっているだけの秘部はとても無防備だ。
オーガスタスはそんなリルの体をエプロンごしに手探りしている。ふくらんだところの尖った部分を、生地のうえからこちょこちょとくすぐっているのだ。
「ピンク色が透けて濃くなってるね。色っぽくて、たまらない。ねえ、舐めてもいい?」
「だ、だめ……! まだ、洗い物が……」
「そんなの、あとで僕がしておくから」
「なっ……。あなたが私に『皿洗いをして』って言うから……!」
このピンク色のエプロンを身につけて皿洗いを始めたところ、オーガスタスになかのドレスだけを奪い取られてしまっていまに至る。
「まあまあ、細かいことは気にしないで。ほら、こっちを向いて」
強引にくるりと体を回転させられた。濡れた手からポタポタと雫が床に落ちる。
オーガスタスは身をかがめ、ふくらみを両手におさめた。エプロン生地がいただきにこすれて、それだけで感じてしまい、恥ずかしくなる。