「……姫様、手を」
「ご、ごめんなさい……」
平謝りしながら、フィースから差し伸べられた手を取り湖から出る。ルアンドは憤然としたようすで「馬車に着替えを取りに戻りますっ」と言って身をひるがえした。
湖から出たアリシアは湖畔の草むらにフィースと並んで座った。
「……ごめん。俺がついてるから安心して――って、言ったばっかりなのに」
「ううん、これは……私の不注意で……」
ああ、なんて情けないのだろう。こんな調子のやりとりを、あと何回してしまうことになるのやら。己の学習能力のなさに嫌気がさしてくる。
「そういえば……茶会のときのアリシア、面白かった」
思い出し笑いなのか、フィースがクスッと口もとをゆるめる。
「ど、どういう意味?」
「おてんばを隠してただろ」
「へ、へんだった?」
「いや……。でも、いまのほうが……」
湖に落ちてしまった自己嫌悪でうつむくアリシアの顔をフィースが下からのぞき込む。
「ありのままのアリシアが、俺は――」
そっと、触れるか触れないかの加減で頬を覆われた。
「……っ!」
ドクンッと心臓が跳ねた原因は、きっと――。
穏やかな表情でアリシアの顔をのぞき込んでいたフィースだが、一変する。
「アリシア!? きみ、瞳の色がまた……萌黄色になってる」
「……っん」
濡れたドレスの胸もとを押さえ「は、はぁっ」と息を荒げる。
また、あの感覚だ。体のなかが急激に熱を帯びていき、あのむずがゆい疼きが全身を駆け巡る。
アリシアはもじもじと内股をこすり合わせた。そんな彼女の動きに、機敏なフィースはすぐに気がつく。
『ふふっ♪ のぞきなんて無粋な真似はしないから安心して! ほら、みんなも! 散って~!』
アドニスの声を皮切りに、そこらじゅうを漂っていた妖精たちが次々と姿を消していった。
『じゃ、ごゆっくりどうぞ~!』
その言葉を最後に、あたりがしいんと静まり返る。
ふたりきりなのを、意識せずにはいられない。
「ドレス……脱いだら? 水を吸って重くなってるから、気持ち悪いだろ」
「う、ん……。あ、でも、ひとりじゃ脱げな――……」
すべて言い終わる前に、フィースは距離をつめてドレスに手をかけた。性急とも思える彼の動きに、少しひるんでしまう。
「あ、あの……っ。フィース……?」
いったいどこまで脱がせるつもりなのだろう。コルセットのひもまでゆるめられてしまい、あせる。
アリシアはぎゅうっと両腕を胸に押しつけ、ゆるみきったコルセットがずれないようにした。
「……手をどけて、アリシア」
やけに威圧的な口調だった。素直にしたがってしまいそうになり、しかし踏みとどまる。
「で、でも……」
「風が出てきたから、濡れた服は脱いでおかないと……体が冷える」
たしかに、風が強くなってきたような気はする。けれどそれは、言われてみればそうかもしれないという程度だ。
あいかわらず空はよく晴れていて、天気が崩れそうだというわけではない。
「アリシア」
有無を言わさぬ呼びかけだった。
アリシアは視線をさまよわせる。意を決してゆっくりと両手を草むらの上に置く。するとフィースはすぐに彼女のコルセットを拭い去った。
「……っぅ」
体を隠したいのだけれど、草むらの上に置いている両手はフィースの大きな手のひらに力強く覆われていて動かせない。
いまアリシアが身につけているのは、濡れたシュミーズとドロワーズだけだ。濡れているせいで生地は肌にピタリと張りつき、透けている。とくにふくらみの先端はそれが顕著だった。薄桃色が官能的に際立っている。
フィースはアリシアの両手を押さえつけたまま、彼女の全身をしげしげと見つめる。
「ここ……透けてる」
「ぁっ……」
ふにっ、と上半身のふくらみを人差し指で押された。アリシアの頬が羞恥の色に染まる。ふたたび腕で胸を隠すのよりも、その腕をつかまれて草の上に押し倒されるほうが早かった。
されるがまま、草の上に仰向けになる。若草の匂いがフワリと鼻先をかすめる。
「ッ、フィース……! あ、あの……っ」
彼の名前を呼んだものの、次になにを言えばよいのかわからない。銀色の髪を見おろす。フィースはアリシアの胸に顔を寄せ、その先端を注視している。
「尖ってる」
「……っ!!」
観察結果を率直に告げられ、かぁっと耳まで熱くなる。彼が指摘したそのことが、いいのか悪いのかすらわからなくて困惑する。ただ、とにかく恥ずかしい。
「やっ……。フィース、わたし……っ」
「うん?」
フィースは一応あいづちを打ったが、まるで聞いていないようすだった。
その瞳には、シュミーズごしでもわかるほど硬く尖った薄桃色しか映っていない。彼は熱心にそれを眺め、そして舌を伸ばす。
「……っ!?」
感触をたしかめるように、尖った薄桃色を下から上へとひと舐めされた。
とたんにむずがゆさが増し、よけいに脚をもじもじさせてしまう。
「……気持ちいいんだ?」
唇の端をペロリと舐めてそう言ったフィースが、ひどく意地の悪い男のように思えた。
「もっとしてもらいたい?」
フィースはつんっ、つんっと舌先でアリシアの乳首を生地ごしにくすぐる。
「ゃ、ぁ、あ……っ!」
舌で小突かれるたびにビリビリと肢体の先端が疼き、どうしようもなくなってくる。
「アリシア、どうなんだ?」
そんな状況で問いただされれば、つい願ってしまう。アリシアは小さくコクコクとうなずいた。
フィースの口もとが、嬉しそうに弧を描く。
「ひぁっ、ぁ……ッ!!」
右の乳首に、直接ではないが食らいつかれた。ふくらみのいただきをシュミーズごと根もとから口に含まれ、吸い上げられている。
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「ご、ごめんなさい……」
平謝りしながら、フィースから差し伸べられた手を取り湖から出る。ルアンドは憤然としたようすで「馬車に着替えを取りに戻りますっ」と言って身をひるがえした。
湖から出たアリシアは湖畔の草むらにフィースと並んで座った。
「……ごめん。俺がついてるから安心して――って、言ったばっかりなのに」
「ううん、これは……私の不注意で……」
ああ、なんて情けないのだろう。こんな調子のやりとりを、あと何回してしまうことになるのやら。己の学習能力のなさに嫌気がさしてくる。
「そういえば……茶会のときのアリシア、面白かった」
思い出し笑いなのか、フィースがクスッと口もとをゆるめる。
「ど、どういう意味?」
「おてんばを隠してただろ」
「へ、へんだった?」
「いや……。でも、いまのほうが……」
湖に落ちてしまった自己嫌悪でうつむくアリシアの顔をフィースが下からのぞき込む。
「ありのままのアリシアが、俺は――」
そっと、触れるか触れないかの加減で頬を覆われた。
「……っ!」
ドクンッと心臓が跳ねた原因は、きっと――。
穏やかな表情でアリシアの顔をのぞき込んでいたフィースだが、一変する。
「アリシア!? きみ、瞳の色がまた……萌黄色になってる」
「……っん」
濡れたドレスの胸もとを押さえ「は、はぁっ」と息を荒げる。
また、あの感覚だ。体のなかが急激に熱を帯びていき、あのむずがゆい疼きが全身を駆け巡る。
アリシアはもじもじと内股をこすり合わせた。そんな彼女の動きに、機敏なフィースはすぐに気がつく。
『ふふっ♪ のぞきなんて無粋な真似はしないから安心して! ほら、みんなも! 散って~!』
アドニスの声を皮切りに、そこらじゅうを漂っていた妖精たちが次々と姿を消していった。
『じゃ、ごゆっくりどうぞ~!』
その言葉を最後に、あたりがしいんと静まり返る。
ふたりきりなのを、意識せずにはいられない。
「ドレス……脱いだら? 水を吸って重くなってるから、気持ち悪いだろ」
「う、ん……。あ、でも、ひとりじゃ脱げな――……」
すべて言い終わる前に、フィースは距離をつめてドレスに手をかけた。性急とも思える彼の動きに、少しひるんでしまう。
「あ、あの……っ。フィース……?」
いったいどこまで脱がせるつもりなのだろう。コルセットのひもまでゆるめられてしまい、あせる。
アリシアはぎゅうっと両腕を胸に押しつけ、ゆるみきったコルセットがずれないようにした。
「……手をどけて、アリシア」
やけに威圧的な口調だった。素直にしたがってしまいそうになり、しかし踏みとどまる。
「で、でも……」
「風が出てきたから、濡れた服は脱いでおかないと……体が冷える」
たしかに、風が強くなってきたような気はする。けれどそれは、言われてみればそうかもしれないという程度だ。
あいかわらず空はよく晴れていて、天気が崩れそうだというわけではない。
「アリシア」
有無を言わさぬ呼びかけだった。
アリシアは視線をさまよわせる。意を決してゆっくりと両手を草むらの上に置く。するとフィースはすぐに彼女のコルセットを拭い去った。
「……っぅ」
体を隠したいのだけれど、草むらの上に置いている両手はフィースの大きな手のひらに力強く覆われていて動かせない。
いまアリシアが身につけているのは、濡れたシュミーズとドロワーズだけだ。濡れているせいで生地は肌にピタリと張りつき、透けている。とくにふくらみの先端はそれが顕著だった。薄桃色が官能的に際立っている。
フィースはアリシアの両手を押さえつけたまま、彼女の全身をしげしげと見つめる。
「ここ……透けてる」
「ぁっ……」
ふにっ、と上半身のふくらみを人差し指で押された。アリシアの頬が羞恥の色に染まる。ふたたび腕で胸を隠すのよりも、その腕をつかまれて草の上に押し倒されるほうが早かった。
されるがまま、草の上に仰向けになる。若草の匂いがフワリと鼻先をかすめる。
「ッ、フィース……! あ、あの……っ」
彼の名前を呼んだものの、次になにを言えばよいのかわからない。銀色の髪を見おろす。フィースはアリシアの胸に顔を寄せ、その先端を注視している。
「尖ってる」
「……っ!!」
観察結果を率直に告げられ、かぁっと耳まで熱くなる。彼が指摘したそのことが、いいのか悪いのかすらわからなくて困惑する。ただ、とにかく恥ずかしい。
「やっ……。フィース、わたし……っ」
「うん?」
フィースは一応あいづちを打ったが、まるで聞いていないようすだった。
その瞳には、シュミーズごしでもわかるほど硬く尖った薄桃色しか映っていない。彼は熱心にそれを眺め、そして舌を伸ばす。
「……っ!?」
感触をたしかめるように、尖った薄桃色を下から上へとひと舐めされた。
とたんにむずがゆさが増し、よけいに脚をもじもじさせてしまう。
「……気持ちいいんだ?」
唇の端をペロリと舐めてそう言ったフィースが、ひどく意地の悪い男のように思えた。
「もっとしてもらいたい?」
フィースはつんっ、つんっと舌先でアリシアの乳首を生地ごしにくすぐる。
「ゃ、ぁ、あ……っ!」
舌で小突かれるたびにビリビリと肢体の先端が疼き、どうしようもなくなってくる。
「アリシア、どうなんだ?」
そんな状況で問いただされれば、つい願ってしまう。アリシアは小さくコクコクとうなずいた。
フィースの口もとが、嬉しそうに弧を描く。
「ひぁっ、ぁ……ッ!!」
右の乳首に、直接ではないが食らいつかれた。ふくらみのいただきをシュミーズごと根もとから口に含まれ、吸い上げられている。