内側から鍵をかけたものと思われる。
「……ベッドへ行って」
「え、えと……。だから……」
具合が悪いところなどひとつもない。体調は極めてよい。それなのになぜ――。フィースはアリシアをベッドへと向かわせるのだろう。
彼が近づいてくる。よたよたと後ろ歩きをしていると、ベッド端に足がぶつかった。
「……っ!」
ひとりでに転んだのか、それとも押し倒されたのか、わからなかった。
とにかくいま言えるのは、視界をふさぐようにしてフィースが覆いかぶさっているということだ。
「ッ、フィース……? わ、わたし、いまは……」
アドニスにイタズラはされていない。彼は眠っているのか、姿も見えない。リリアンにしても同じだ。
部屋のなかは薄暗い。壁掛けランプには火が灯されているが、部屋全体を照らすほどではなかった。
「アリシア……」
フィースはアリシアの顔の両側に手をつき、彼女に迫る。
トクン、トクンという心音がいっそう顕著になっていく。
翡翠色の瞳に自分自身が映り込んでいる。
「……私の瞳はいま、何色?」
アリシアの声はかすれていた。
ごく近い距離で、彼と見つめ合う。
「――萌黄色」
そう言うなり、フィースはすぐにアリシアの肩口に顔をうずめた。
顔をそっと傾けて、窓のほうを見やる。
窓ガラスに映る自分の瞳はどう見ても青い。フィースは嘘をついている。
でも、指摘なんかしない。
(さわってもらいたい。フィースと触れ合いたい)
アリシアは瞳を閉じた。
真実を覆い隠す。
彼の嘘に目をつぶる。
窓ガラスから顔をそむけ、ゆっくりとまぶたを開けた。
「……フィース。おねが、い」
ピクンッと彼の体が震える。耳に吹きかかるのは熱い吐息だ。フィースはアリシアの首すじに顔を押しつけ、小刻みに左右に動かした。
「ん……っ。くすぐったい」
「……うん」
ちゅっ、と首すじに口付けを落とされた。フィースは首すじ以外にも、耳たぶや鎖骨にもキスをほどこしていった。それと並行して、アリシアのドレスを乱し始める。編み上げになっている胸もとの紐を一本一本ていねいに解き、その下方にあるくるみボタンをプチプチと素早くはずした。
ドレスはどんどん脱がされていく。体が、無防備になっていく。
「あっ……」
コルセットとドレスを引きおろされたところで、アリシアはとっさに胸もとを押さえた。彼の両手がシュミーズごしにふくらみのいただきへ伸びてきたからだ。
「……そこに触れられるのは、いや?」
「え……っと、その……」
胸を腕で隠したのは羞恥心からくる反射だ。頭で考えてしたことではない。むしろ、つい先ほどはさわってもらいたいと思ったのに――矛盾している。
「ああ、もしかして……なにもしていないのに勃ち上がってるのが恥ずかしいのかな」
「……っ!!」
フィースがアリシアの両腕をつかんで左右に割る。薄手のシュミーズの、ふくらんだところの先端はたしかに彼の言うとおりになっていた。
アリシアの乳首は硬くしこり、ツンッと尖ってシュミーズごしにその存在を主張している。
かぁぁっ、と瞬時に頬に熱がこもる。
どうしてそこがひとりでにそんなふうになっているのかわからず、またそれを指摘されたことにも戸惑う。
「い、いけない、こと……なの?」
なにがよくてなにが悪いのか、なぜ彼は愉しそうに嗤っているのか――。わからないことが多すぎて、混乱した。
「………」
フィースはなにも答えない。答えをくれない。無言のまま彼はシュミーズの前ボタンをやや強引にはずしていった。
「……っ、ぁ」
あらわになってしまった乳房を隠すことはできなかった。隠す前に、ふくらみを大きな手のひらでわしづかみにされた。
フィースは手にあまる乳房を脇から中央に寄せ、ふたつ並んだ薄桃色の先端を間近で凝視する。
そこを見られるのは初めてではないのに、彼があまりにも熱心に見つめるものだから、羞恥心が際限なくふくらむ。
「そ、んな……見ちゃ……だ、め」
やっとの思いで告げた。虫の鳴くような声だった。
「……見るのがだめなら、こうするしかない」
アリシアの乳房をつかんだまま翡翠色の瞳を閉ざし、大きく口を開けるフィース。
「ひゃっ……!? ゃっ、そんな……んっ、ンンッ……!!」
乳頭をふたつとも一緒くたに口に含まれ、ベロベロと舐めしゃぶられている。
きゅううっ、と下半身がすぼまっていくのがよくわかった。そして、秘めたところが潤みを増すのも。
「あぁっ、ぅ、んぅ……っ! は、ぁぅっ」
彼の舌はいま、ふたつのつぼみを交互に這っている。根もとから、そしてその先端へと蛇行しながらのぼりつめてはまた下降してを繰り返す。
「ぁ、あ、ひあっ……!!」
喘ぎ声が止まらない。恥ずかしい声があふれてくる。そうして漏れ出てしまうのは声だけではなく、秘唇から蜜のようなものがトロトロと流れ出ているのも自覚していた。
(このままじゃ、下着とドレスを汚してしまう)
内股をぎゅうっと閉じて、なんとか蜜を身の内に留めようと試みるが、次々とあふれてしまうそれはもはやどうしようもない。制御などできなかった。
「……どうしたんだ? アリシア」
ちゅぷんっと水音を立ててふくらみのいただきを吸いきり、フィースは唇を離した。唾液でぐちゃぐちゃになった乳頭を今度は指で転がした。
「あっ、だ、だめ……! そんなふうにされたら、ますます……っ」
「ん……。ますます、なに?」
クンッ、と両方の乳首を人差し指で押し上げられる。
「んぁっ! ……あ、あふれ、てるの。下の、ほうが……。汚しちゃう……から、私――」
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「……ベッドへ行って」
「え、えと……。だから……」
具合が悪いところなどひとつもない。体調は極めてよい。それなのになぜ――。フィースはアリシアをベッドへと向かわせるのだろう。
彼が近づいてくる。よたよたと後ろ歩きをしていると、ベッド端に足がぶつかった。
「……っ!」
ひとりでに転んだのか、それとも押し倒されたのか、わからなかった。
とにかくいま言えるのは、視界をふさぐようにしてフィースが覆いかぶさっているということだ。
「ッ、フィース……? わ、わたし、いまは……」
アドニスにイタズラはされていない。彼は眠っているのか、姿も見えない。リリアンにしても同じだ。
部屋のなかは薄暗い。壁掛けランプには火が灯されているが、部屋全体を照らすほどではなかった。
「アリシア……」
フィースはアリシアの顔の両側に手をつき、彼女に迫る。
トクン、トクンという心音がいっそう顕著になっていく。
翡翠色の瞳に自分自身が映り込んでいる。
「……私の瞳はいま、何色?」
アリシアの声はかすれていた。
ごく近い距離で、彼と見つめ合う。
「――萌黄色」
そう言うなり、フィースはすぐにアリシアの肩口に顔をうずめた。
顔をそっと傾けて、窓のほうを見やる。
窓ガラスに映る自分の瞳はどう見ても青い。フィースは嘘をついている。
でも、指摘なんかしない。
(さわってもらいたい。フィースと触れ合いたい)
アリシアは瞳を閉じた。
真実を覆い隠す。
彼の嘘に目をつぶる。
窓ガラスから顔をそむけ、ゆっくりとまぶたを開けた。
「……フィース。おねが、い」
ピクンッと彼の体が震える。耳に吹きかかるのは熱い吐息だ。フィースはアリシアの首すじに顔を押しつけ、小刻みに左右に動かした。
「ん……っ。くすぐったい」
「……うん」
ちゅっ、と首すじに口付けを落とされた。フィースは首すじ以外にも、耳たぶや鎖骨にもキスをほどこしていった。それと並行して、アリシアのドレスを乱し始める。編み上げになっている胸もとの紐を一本一本ていねいに解き、その下方にあるくるみボタンをプチプチと素早くはずした。
ドレスはどんどん脱がされていく。体が、無防備になっていく。
「あっ……」
コルセットとドレスを引きおろされたところで、アリシアはとっさに胸もとを押さえた。彼の両手がシュミーズごしにふくらみのいただきへ伸びてきたからだ。
「……そこに触れられるのは、いや?」
「え……っと、その……」
胸を腕で隠したのは羞恥心からくる反射だ。頭で考えてしたことではない。むしろ、つい先ほどはさわってもらいたいと思ったのに――矛盾している。
「ああ、もしかして……なにもしていないのに勃ち上がってるのが恥ずかしいのかな」
「……っ!!」
フィースがアリシアの両腕をつかんで左右に割る。薄手のシュミーズの、ふくらんだところの先端はたしかに彼の言うとおりになっていた。
アリシアの乳首は硬くしこり、ツンッと尖ってシュミーズごしにその存在を主張している。
かぁぁっ、と瞬時に頬に熱がこもる。
どうしてそこがひとりでにそんなふうになっているのかわからず、またそれを指摘されたことにも戸惑う。
「い、いけない、こと……なの?」
なにがよくてなにが悪いのか、なぜ彼は愉しそうに嗤っているのか――。わからないことが多すぎて、混乱した。
「………」
フィースはなにも答えない。答えをくれない。無言のまま彼はシュミーズの前ボタンをやや強引にはずしていった。
「……っ、ぁ」
あらわになってしまった乳房を隠すことはできなかった。隠す前に、ふくらみを大きな手のひらでわしづかみにされた。
フィースは手にあまる乳房を脇から中央に寄せ、ふたつ並んだ薄桃色の先端を間近で凝視する。
そこを見られるのは初めてではないのに、彼があまりにも熱心に見つめるものだから、羞恥心が際限なくふくらむ。
「そ、んな……見ちゃ……だ、め」
やっとの思いで告げた。虫の鳴くような声だった。
「……見るのがだめなら、こうするしかない」
アリシアの乳房をつかんだまま翡翠色の瞳を閉ざし、大きく口を開けるフィース。
「ひゃっ……!? ゃっ、そんな……んっ、ンンッ……!!」
乳頭をふたつとも一緒くたに口に含まれ、ベロベロと舐めしゃぶられている。
きゅううっ、と下半身がすぼまっていくのがよくわかった。そして、秘めたところが潤みを増すのも。
「あぁっ、ぅ、んぅ……っ! は、ぁぅっ」
彼の舌はいま、ふたつのつぼみを交互に這っている。根もとから、そしてその先端へと蛇行しながらのぼりつめてはまた下降してを繰り返す。
「ぁ、あ、ひあっ……!!」
喘ぎ声が止まらない。恥ずかしい声があふれてくる。そうして漏れ出てしまうのは声だけではなく、秘唇から蜜のようなものがトロトロと流れ出ているのも自覚していた。
(このままじゃ、下着とドレスを汚してしまう)
内股をぎゅうっと閉じて、なんとか蜜を身の内に留めようと試みるが、次々とあふれてしまうそれはもはやどうしようもない。制御などできなかった。
「……どうしたんだ? アリシア」
ちゅぷんっと水音を立ててふくらみのいただきを吸いきり、フィースは唇を離した。唾液でぐちゃぐちゃになった乳頭を今度は指で転がした。
「あっ、だ、だめ……! そんなふうにされたら、ますます……っ」
「ん……。ますます、なに?」
クンッ、と両方の乳首を人差し指で押し上げられる。
「んぁっ! ……あ、あふれ、てるの。下の、ほうが……。汚しちゃう……から、私――」