名残惜しそうにアーウェルの唇が遠のく。
「カトリオーナ」
「は……っ、い」
面と向かって名前を呼ばれなくてよかったと思った。彼の顔はいま首のあたりにある。甘さを帯びたかすれ声で名を呼ばれ、ありえないくらい顔が熱い。きっと真っ赤になっている。そんな顔を真正面から見られていたら、もう本当に見るも無残な顔色になったに違いない。
「……きみのことが知りたい」
ポツリと言葉をつむぎ、アーウェルはカトリオーナの首すじにキスを落とす。
カトリオーナは小さく「んっ」と声を漏らした。
(私のことを……? なにから話せばいいのかしら)
手始めに趣味でも語るべきか。いや、自分のことよりもまず彼のことを知りたい。その気持ちを素直に言葉にする。
「私も、殿下のことが知りたいです」
アーウェルの体が小刻みに一回だけ揺れた。なにかに驚いたような、そんな反応だった。
「……っ、ぇ?」
会話が始まるかと思いきやそうではなく、アーウェルはカトリオーナのドレスを乱し始めた。
「ひゃ、ぁ……っ! で、殿下っ?」
「そんな他人行儀な呼び方はいやだ。……名前で呼んで」
「……っ! アーウェル、さま……ぁっ!」
カトリオーナはふと思い至る。互いのことを知るというのは、もしや――。
「ぁ、アーウェルさま、私……」
なにをどう伝えればよいのだろう。あれこれと考えているうちに藍色のナイトドレスと体のあいだにはどんどん隙間が生まれていく。無防備になっていく。
どうしようもない焦燥感ばかりが募る。メイド以外に肌を見られたことなんてない。異性になど晒したことがない。
アーウェルは緩慢に、しかし迷いなくカトリオーナからドレスを剥ぎ取り、コルセットをゆるめた。
「ぁ……」
残すところはとうとうシュミーズとドロワーズだけになった。アーウェルは無垢な乙女の双丘をシュミーズごとわしづかみにする。
「……っ!!」
カトリオーナはスッと短く息を吸い目を見開いた。アーウェルはカトリオーナのふくらみを時計回りにグルグルと揉んでいる。
(なんだか変な感じ……)
恥ずかしいほうが先に立つからか、不思議な心地だった。アーウェルは胸を揉むことで何を思うのだろう、とそんなことばかりを考えていた。
「柔らかくて、温かい」
そんなとき、ちょうど感想のような言葉をつむがれて妙に納得してしまう。
(これ……楽しいのかしら)
ふとアーウェルがいるほうに顔を向けた。すると彼と至近距離で目が合った。
「……!」
間近で見る、恍惚としたアーウェルの顔は艶っぽい。下半身のよくわからないところがドクンと跳ね上がる。それを皮切りに、胸を揉む彼の手が急に存在感を増した。
「ん、ぅ」
アーウェルの指がふくらみのいただきをかすめると、いままでに経験したことのない甘い疼きが全身をひた走った。
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「カトリオーナ」
「は……っ、い」
面と向かって名前を呼ばれなくてよかったと思った。彼の顔はいま首のあたりにある。甘さを帯びたかすれ声で名を呼ばれ、ありえないくらい顔が熱い。きっと真っ赤になっている。そんな顔を真正面から見られていたら、もう本当に見るも無残な顔色になったに違いない。
「……きみのことが知りたい」
ポツリと言葉をつむぎ、アーウェルはカトリオーナの首すじにキスを落とす。
カトリオーナは小さく「んっ」と声を漏らした。
(私のことを……? なにから話せばいいのかしら)
手始めに趣味でも語るべきか。いや、自分のことよりもまず彼のことを知りたい。その気持ちを素直に言葉にする。
「私も、殿下のことが知りたいです」
アーウェルの体が小刻みに一回だけ揺れた。なにかに驚いたような、そんな反応だった。
「……っ、ぇ?」
会話が始まるかと思いきやそうではなく、アーウェルはカトリオーナのドレスを乱し始めた。
「ひゃ、ぁ……っ! で、殿下っ?」
「そんな他人行儀な呼び方はいやだ。……名前で呼んで」
「……っ! アーウェル、さま……ぁっ!」
カトリオーナはふと思い至る。互いのことを知るというのは、もしや――。
「ぁ、アーウェルさま、私……」
なにをどう伝えればよいのだろう。あれこれと考えているうちに藍色のナイトドレスと体のあいだにはどんどん隙間が生まれていく。無防備になっていく。
どうしようもない焦燥感ばかりが募る。メイド以外に肌を見られたことなんてない。異性になど晒したことがない。
アーウェルは緩慢に、しかし迷いなくカトリオーナからドレスを剥ぎ取り、コルセットをゆるめた。
「ぁ……」
残すところはとうとうシュミーズとドロワーズだけになった。アーウェルは無垢な乙女の双丘をシュミーズごとわしづかみにする。
「……っ!!」
カトリオーナはスッと短く息を吸い目を見開いた。アーウェルはカトリオーナのふくらみを時計回りにグルグルと揉んでいる。
(なんだか変な感じ……)
恥ずかしいほうが先に立つからか、不思議な心地だった。アーウェルは胸を揉むことで何を思うのだろう、とそんなことばかりを考えていた。
「柔らかくて、温かい」
そんなとき、ちょうど感想のような言葉をつむがれて妙に納得してしまう。
(これ……楽しいのかしら)
ふとアーウェルがいるほうに顔を向けた。すると彼と至近距離で目が合った。
「……!」
間近で見る、恍惚としたアーウェルの顔は艶っぽい。下半身のよくわからないところがドクンと跳ね上がる。それを皮切りに、胸を揉む彼の手が急に存在感を増した。
「ん、ぅ」
アーウェルの指がふくらみのいただきをかすめると、いままでに経験したことのない甘い疼きが全身をひた走った。