たなぼた王子の恋わずらい 《 11

 叫び出してしまいたい衝動に駆られた。身の内から何かがあふれてきている気がしてならない。そしてそれは勘違いではなかった。

「――っ!?」

 いつの間にかアーウェルの顔が胸のあたりまできていた。彼の片手も体を下降して、脚の付け根を這いまわる。

「……綺麗だ」

 いったい何が、と聞き返す余裕などない。アーウェルの指が下肢の陰なるところを撫でたどっている。そこを指でなぞられると焦りに似たむずがゆい心地が体の端々へ広がった。

「はっ、ぁ……!」
「それによく濡れている。きみは俺が思っていた以上に――」

 そんなところで言葉を切らないで欲しい。まして最後まで聞けないとなると、彼の真意がわからずじまいでモヤモヤしてしまう。

「私……っぁ! へ、変……ですか?」

 やっとの思いで尋ねる。アーウェルが息を漏らして微笑したのがわかった。

「とても魅惑的だよ。ずっと裸でいて欲しいくらい」

 言いながらアーウェルは指と顔を動かす。陰唇を撫でまわしていた指は蜜口へちゅぷりとわずかに沈み、しかしすぐにそこを去って花芽へ向かう。

「あ、ぁっ!」

 赤い髪の王子様が胸の先端を舐めしゃぶっている。いけないことのような背徳感を覚えたけれど、下半身のある一点をこすり立てる指の動きが激しさを増していくせいでうやむやになった。
 そこはきっと快楽の源だ。押しまわされると腰がひとりでに揺れてその気持ちよさに悶え踊る。こんな反応をしてよいものかと悩む。とてもはしたないことのように思える。声だけでも抑えようと口に手を当てた。

「ンッ、ふ……んぅっ」

 それでもなまめかしい声がとめどなくあふれ出す。自分で自分が制御できないことが口惜しい。

「……はぅっ、あぁ!」

 ジュルッとひときわ大きな水音が響いた。乳頭を強く吸い立てられ、もう片方の薄桃色は指でなぶり倒される。下肢の肉粒をまさぐる指も上半身に負けず劣らず激しい。
 なにかがせり上がってくる。耳に入るのは喘ぎ声と水音。その両方ともが他人事のようだった。現実味がない。夢を見ているのではないかと思う。

「……――っ!!」

 その瞬間は不意に、突然やってきた。下半身がドクンドクンと脈を打っている。達成感のようなものが湧き起こり、体はさも疲れたと言わんばかりに弛緩する。力が入らない。
 カトリオーナは呆然と天蓋を眺めていた。自身になにが起こったのさっぱりわからず、戸惑いしかない。

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