まぶたを開けているのがやっとという状況だった。
いま目の前には滑らかで厚い胸板がある。森で初めて出会ったときのことを思い出した。まだそう昔のことではない。
「……これでようやく仕事が手につく」
小さなつぶやきは穏やかで、安堵しきったようすだった。カトリオーナは「え?」と尋ね返す。
「きみに出会った日から俺はきみのことばかり考えていて、仕事がまったく手につかなかったんだ。それで、侍従に言われた」
アーウェルの発言を待つ。何を言われたのだろう。
「俺は恋わずらいをしているらしい。だから早く想い人を手に入れろ、と」
頬に添う手は熱い。極上とも思える微笑を浮かべて顔をのぞき込まれ、頬が急激に熱を帯びた。赤くなっているであろう顔を隠したいけれど、両頬を大きな手のひらに挟まれているのでかなわない。
「ああ……きみの顔を見ていたらまたしたくなってきた」
「そ、れは……先ほどのことを、また……?」
「うん。いいかな」
「……っ!!」
カトリオーナの胸の先端を指でこね、さらには下半身の割れ目を人差し指でなぞりながらアーウェルは彼女の出方を待つ。
(こ、こんな……)
こんなふうに体をまさぐられては「いやだ」と言えない。いまになって気がついたが、アーウェルは一貫して有無を言わさぬ聞き方をしてきている。
「カトリオーナ」
彼は意思が強い。それに引き換え自分はどうだろう。アーウェルの気持ちに応えねばと思ういっぽうで、自分がどうしたいのかもよく考えた。
「私も……したい、です」
カトリオーナの声はとても小さかった。震え声になってしまったのは羞恥心からだ。
アーウェルが破顔する。嬉々とした表情のまま、カトリオーナの乳頭を指で丹念にこねながらアーウェルは言葉を継ぐ。
「挙式はいつにしようか」
「……えっ!?」
きつねにつままれたような顔をしているカトリオーナをアーウェルは不満気に見下ろす。
「なぜそんなに驚くんだ。……まさかカトリオーナ。ほかに将来を誓った相手でも?」
「い、いいえ! そんなかたはおりません」
しかしアーウェルとも誓った覚えはない。
(もしかして……契って欲しいっていうのがそうだったのかしら)
だとしたら、あまりに安易にうなずいてしまった。
(王太子妃が私なんかでいいの?)
隣国の伯爵令嬢などで果たしてよいのだろうか。
「……っ、あ」
アーウェルは哀しそうに眉根を寄せた。カトリオーナの秘玉を指でつつく。
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いま目の前には滑らかで厚い胸板がある。森で初めて出会ったときのことを思い出した。まだそう昔のことではない。
「……これでようやく仕事が手につく」
小さなつぶやきは穏やかで、安堵しきったようすだった。カトリオーナは「え?」と尋ね返す。
「きみに出会った日から俺はきみのことばかり考えていて、仕事がまったく手につかなかったんだ。それで、侍従に言われた」
アーウェルの発言を待つ。何を言われたのだろう。
「俺は恋わずらいをしているらしい。だから早く想い人を手に入れろ、と」
頬に添う手は熱い。極上とも思える微笑を浮かべて顔をのぞき込まれ、頬が急激に熱を帯びた。赤くなっているであろう顔を隠したいけれど、両頬を大きな手のひらに挟まれているのでかなわない。
「ああ……きみの顔を見ていたらまたしたくなってきた」
「そ、れは……先ほどのことを、また……?」
「うん。いいかな」
「……っ!!」
カトリオーナの胸の先端を指でこね、さらには下半身の割れ目を人差し指でなぞりながらアーウェルは彼女の出方を待つ。
(こ、こんな……)
こんなふうに体をまさぐられては「いやだ」と言えない。いまになって気がついたが、アーウェルは一貫して有無を言わさぬ聞き方をしてきている。
「カトリオーナ」
彼は意思が強い。それに引き換え自分はどうだろう。アーウェルの気持ちに応えねばと思ういっぽうで、自分がどうしたいのかもよく考えた。
「私も……したい、です」
カトリオーナの声はとても小さかった。震え声になってしまったのは羞恥心からだ。
アーウェルが破顔する。嬉々とした表情のまま、カトリオーナの乳頭を指で丹念にこねながらアーウェルは言葉を継ぐ。
「挙式はいつにしようか」
「……えっ!?」
きつねにつままれたような顔をしているカトリオーナをアーウェルは不満気に見下ろす。
「なぜそんなに驚くんだ。……まさかカトリオーナ。ほかに将来を誓った相手でも?」
「い、いいえ! そんなかたはおりません」
しかしアーウェルとも誓った覚えはない。
(もしかして……契って欲しいっていうのがそうだったのかしら)
だとしたら、あまりに安易にうなずいてしまった。
(王太子妃が私なんかでいいの?)
隣国の伯爵令嬢などで果たしてよいのだろうか。
「……っ、あ」
アーウェルは哀しそうに眉根を寄せた。カトリオーナの秘玉を指でつつく。