「ん、ふっ」
こらえきれず声が漏れる。下半身に至っては未だかつてない状態だった。なにかが身の内からあふれてきている。
(わ、私……)
まさか本当に彼の言う通りなのだろうか。羽根で胸をなぶられ悦んでいるのだとは認めたくなかった。エリスはかたくなに声を抑えた。決して漏れ出てしまわぬよう、唇をぎゅうっと引き結ぶ。
「……顔を上げろ」
ふたたび首を横に何度も振る。するとあごをつかまれ無理やり上を向かされた。
目に涙をたくわえているのを知られたくなかった。いろんな感情がないまぜになって涙がにじんできているのだが、その最たるは悔しさからだ。
エリスは眉根を寄せてジェラルドをにらみつける。いっぽう彼のほうは笑うでも怒るでもなかった。無表情で、なにを考えているのかわからない。
ジェラルドはなにも言わずにエリスの拘束を解く。どういうつもりで彼がそうしたのかわからなかったが、これで終わりなのだと思った。
乱れた服を整えようとしていると、その手首をつかまれた。
「――な」
力強く引っ張られ、無理に立たされる。エリスはよろけながらジェラルドに従って歩いた。彼の手を振り払おうと力を込めたがまったく敵わなかった。
着いた先は、そう遠くない場所。
「……咥えろ。溜まってるんだ」
ジェラルドはトラウザーズの前を開いて陽根をさらし、診察台に浅く腰掛けている。
エリスは言葉を失った。足に力が入らなくなってひざまずく。するとよけいに彼のそれとの距離が縮まってしまった。
「……っ、や」
嫌です、と言いたいのに涙ぐんでいるせいで言葉にならない。しかしこちらの意図はじゅうぶん伝わったらしい。
「主人《あるじ》の言うことが聞けないのか? きみは仕事熱心だと思っていたが、俺の見込み違いだったようだ」
その言葉を聞くなり頭に血が上った。悔しさが明確な憤りに変わる。
エリスはすうっと大きく息を吸い込み、その直立に手を伸ばした。根もとをつかんで口を運ぶ。舌に触れるとすぐさま妙な味がした。苦い。決して美味しいものではない。
(……どうすればいいんだろう)
咥えたものの、これの慰め方など知らない。医学書には載っていなかった。
戸惑っているのが知れたのか、ジェラルドが指示を出してくる。
「もっと奥まで咥えて顔を前後に動かせ」
「ん、むっ」
後頭部をつかまれて前へ動かされる。一瞬、吐き気に襲われたが何とかもちこたえた。
(仕事、なんだから)
無理やり自分に言い聞かせて彼の指示通りに動く。
「舌も使うんだ。尖端を舐めろ」
「ン……ッ」
泣いていたせいもあって息苦しい。それでも、ただひたすら顔を動かしと舌を這わせる。感情はもはや存在しない。なにかを思っていたらこんなことはできない。
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こらえきれず声が漏れる。下半身に至っては未だかつてない状態だった。なにかが身の内からあふれてきている。
(わ、私……)
まさか本当に彼の言う通りなのだろうか。羽根で胸をなぶられ悦んでいるのだとは認めたくなかった。エリスはかたくなに声を抑えた。決して漏れ出てしまわぬよう、唇をぎゅうっと引き結ぶ。
「……顔を上げろ」
ふたたび首を横に何度も振る。するとあごをつかまれ無理やり上を向かされた。
目に涙をたくわえているのを知られたくなかった。いろんな感情がないまぜになって涙がにじんできているのだが、その最たるは悔しさからだ。
エリスは眉根を寄せてジェラルドをにらみつける。いっぽう彼のほうは笑うでも怒るでもなかった。無表情で、なにを考えているのかわからない。
ジェラルドはなにも言わずにエリスの拘束を解く。どういうつもりで彼がそうしたのかわからなかったが、これで終わりなのだと思った。
乱れた服を整えようとしていると、その手首をつかまれた。
「――な」
力強く引っ張られ、無理に立たされる。エリスはよろけながらジェラルドに従って歩いた。彼の手を振り払おうと力を込めたがまったく敵わなかった。
着いた先は、そう遠くない場所。
「……咥えろ。溜まってるんだ」
ジェラルドはトラウザーズの前を開いて陽根をさらし、診察台に浅く腰掛けている。
エリスは言葉を失った。足に力が入らなくなってひざまずく。するとよけいに彼のそれとの距離が縮まってしまった。
「……っ、や」
嫌です、と言いたいのに涙ぐんでいるせいで言葉にならない。しかしこちらの意図はじゅうぶん伝わったらしい。
「主人《あるじ》の言うことが聞けないのか? きみは仕事熱心だと思っていたが、俺の見込み違いだったようだ」
その言葉を聞くなり頭に血が上った。悔しさが明確な憤りに変わる。
エリスはすうっと大きく息を吸い込み、その直立に手を伸ばした。根もとをつかんで口を運ぶ。舌に触れるとすぐさま妙な味がした。苦い。決して美味しいものではない。
(……どうすればいいんだろう)
咥えたものの、これの慰め方など知らない。医学書には載っていなかった。
戸惑っているのが知れたのか、ジェラルドが指示を出してくる。
「もっと奥まで咥えて顔を前後に動かせ」
「ん、むっ」
後頭部をつかまれて前へ動かされる。一瞬、吐き気に襲われたが何とかもちこたえた。
(仕事、なんだから)
無理やり自分に言い聞かせて彼の指示通りに動く。
「舌も使うんだ。尖端を舐めろ」
「ン……ッ」
泣いていたせいもあって息苦しい。それでも、ただひたすら顔を動かしと舌を這わせる。感情はもはや存在しない。なにかを思っていたらこんなことはできない。