怖くて怖くてたまらない。彼の舌がより広く胸のいただきに触れたらいったいどうなってしまうのだろう。嫌だと思う心が、別のなにかに押し流されて――あるいは塗り潰されてしまうような気がしてならない。
「そう怖がるな。素直に答えたんだから痛くはしない。……もうしばらくは」
違う。痛みを恐れているのではない。快楽という名の泥沼へ、意に反して彼に突き堕とされて抜け出せなくなるのが怖い。彼の役に立ちたいとは常日頃思っているが、ここで快楽を覚え込ませられてはたんに自分が堕落してしまうだけだ。
彼に奉仕をするのは百歩譲ってよしとする。しかし快楽を教え込まれてしまったら、依存してしまいそうで空恐ろしくなる。
ジェラルドはただの主人《あるじ》。恋人や夫の類ではないから、彼に固執しては決してならない。彼のモノを咥えたりしている時点で手遅れかもしれないが、本音としてはまっとうな主従の関係を貫きたい。
エリスは彼の舌を意識しないよう努めた。なにも感じてはならないのだと自分に言い聞かせる。
天井の隅に視線を投げるエリスをジロリと上目遣いでにらみ、ジェラルドは彼女の双乳を舌と指でそれぞれ触れる。
「……っ」
生温かな舌が薄桃色の屹立を根もとからねっとりと舐め上げた。声を抑えるので精いっぱいのところに、もう片方の乳頭を指の腹でこすり合わされ、下半身を中心に心地のよい痺れが生まれた。
(だ、だめ……なにか別のことを考えなくちゃ)
しかしながらどれだけそう思ってもまったく気が逸れなかった。考え事が思いつかない。
「……んっ!」
つい下を見てしまった。ちょうどジェラルドが口を大きく開けて乳頭を食んだところだった。
ぴちゃぴちゃと盛大に水音を立てて舐めしゃぶられては否が応でも彼の舌を意識してしまう。吸い上げる力は強大で、乳首をもぎ取られてしまうのではと危ぶまずにはいられない。
「やめ、て……くださいっ」
どれだけ口でそう言ったところで無駄なのはわかっている。それでも、屈する気はないのだと意思表示をすることは大事だ。逃げるのはやめにして、次は徹底抗戦だ。
「……感じないふりはやめにするのか?」
「なっ……! ふりじゃありません。全然、気持ちよくなんかない」
「へえ……」
ジェラルドの片手が急降下する。
「――っ!?」
スカートの裾をめくり上げ、素早くドロワーズの中に侵入した。
「じゃあこれは何だ?」
エリスは驚きでなにも言葉を発することができなかった。彼の指が下半身の秘めやかなところにうずまっている。指先がわずかに動き、ぬちゅっと水っぽい音がした。
「あれだけ医学書を読んでいるんだ。知識はあるんだろ? 快感を得ればここが蜜をこぼすという知識は」
ジェラルドはゴソゴソと手探りでエリスの愛蜜をかき出し指に絡める。
「よく濡れている。たったこれだけの愛撫で」
唾液に濡れ硬くしこったままの乳頭を指でコリコリと押しなぶりながらジェラルドは嗤う。
「きみの本質は存外、淫猥のようだ」
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃があった。無論、本当にそうされたわけではない。しかし精神的にはそれくらいのショックを受けた。
(そんな……私……っ)
認めたくないけれど、他のひとがどうなのかわからないから比べようがない。
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「そう怖がるな。素直に答えたんだから痛くはしない。……もうしばらくは」
違う。痛みを恐れているのではない。快楽という名の泥沼へ、意に反して彼に突き堕とされて抜け出せなくなるのが怖い。彼の役に立ちたいとは常日頃思っているが、ここで快楽を覚え込ませられてはたんに自分が堕落してしまうだけだ。
彼に奉仕をするのは百歩譲ってよしとする。しかし快楽を教え込まれてしまったら、依存してしまいそうで空恐ろしくなる。
ジェラルドはただの主人《あるじ》。恋人や夫の類ではないから、彼に固執しては決してならない。彼のモノを咥えたりしている時点で手遅れかもしれないが、本音としてはまっとうな主従の関係を貫きたい。
エリスは彼の舌を意識しないよう努めた。なにも感じてはならないのだと自分に言い聞かせる。
天井の隅に視線を投げるエリスをジロリと上目遣いでにらみ、ジェラルドは彼女の双乳を舌と指でそれぞれ触れる。
「……っ」
生温かな舌が薄桃色の屹立を根もとからねっとりと舐め上げた。声を抑えるので精いっぱいのところに、もう片方の乳頭を指の腹でこすり合わされ、下半身を中心に心地のよい痺れが生まれた。
(だ、だめ……なにか別のことを考えなくちゃ)
しかしながらどれだけそう思ってもまったく気が逸れなかった。考え事が思いつかない。
「……んっ!」
つい下を見てしまった。ちょうどジェラルドが口を大きく開けて乳頭を食んだところだった。
ぴちゃぴちゃと盛大に水音を立てて舐めしゃぶられては否が応でも彼の舌を意識してしまう。吸い上げる力は強大で、乳首をもぎ取られてしまうのではと危ぶまずにはいられない。
「やめ、て……くださいっ」
どれだけ口でそう言ったところで無駄なのはわかっている。それでも、屈する気はないのだと意思表示をすることは大事だ。逃げるのはやめにして、次は徹底抗戦だ。
「……感じないふりはやめにするのか?」
「なっ……! ふりじゃありません。全然、気持ちよくなんかない」
「へえ……」
ジェラルドの片手が急降下する。
「――っ!?」
スカートの裾をめくり上げ、素早くドロワーズの中に侵入した。
「じゃあこれは何だ?」
エリスは驚きでなにも言葉を発することができなかった。彼の指が下半身の秘めやかなところにうずまっている。指先がわずかに動き、ぬちゅっと水っぽい音がした。
「あれだけ医学書を読んでいるんだ。知識はあるんだろ? 快感を得ればここが蜜をこぼすという知識は」
ジェラルドはゴソゴソと手探りでエリスの愛蜜をかき出し指に絡める。
「よく濡れている。たったこれだけの愛撫で」
唾液に濡れ硬くしこったままの乳頭を指でコリコリと押しなぶりながらジェラルドは嗤う。
「きみの本質は存外、淫猥のようだ」
後頭部を鈍器で殴られたような衝撃があった。無論、本当にそうされたわけではない。しかし精神的にはそれくらいのショックを受けた。
(そんな……私……っ)
認めたくないけれど、他のひとがどうなのかわからないから比べようがない。