伯爵は肉欲旺盛なお医者さま 《 第二章 08

 エリスの亜麻色の髪をかきわけてジェラルドは彼女の首すじに唇を寄せて肌を吸い上げた。

「ゃっ……、先生」

 それは一箇所だけに留まらなかった。赤い花びらが無遠慮に撒き散らされていく。
 腰もとにあった、湯に濡れた手がじりじりとのぼり詰めてくる。ふくらみのゆるやかな稜線をたどり薄桃色のいただきに指先が届く。

「は、ぁっ……」

 彼の指が触れる前からそこは硬く屹立していた。しこった乳首を細長い指が下から押し上げる。

「なんだ、もうこんなに硬くしてるのか」
「ぅ……っ」

 愉悦を含んだジェラルドの声がすぐ側で聞こえた。耳たぶに彼の吐息を感じて手足の先端がむずがゆくなる。
 ジェラルドは嬉しそうに口角を上げ、薄桃色のつぼみを指で突いて上下させた。左右どちらも指でくりくりともてあそぶ。
 こういうことをされるのが一週間ぶりだからか、あるいはすっかり慣らされてしまっているからか、下半身の蜜壷が潤む気配がした。そしてその蜜が流れ出してきたこともすぐに自覚した。太ももの内側は湯に濡れているから、早々に愛液があふれていてもジェラルドに勘付かれはしないと思った。

「ッ、あ」

 しかし蜜壷へじかに指を挿れられれば話は別だ。ジェラルドはそこが蜜に濡れていることを確信していたのか、何のためらいもなく中指を挿れて内側を突き上げる。

「ああ、やはりよく濡れていた。きみはすぐにここを湿らせて雄を受け入れようとする」
「そっ、そんなこと……! そういう、時期です。……っ、ん。だから……無理、です」

 いまは周期的にもっとも子を成しやすい時期だ。彼もそれはわかっていると思う。

「――ちょ、当たってますっ。押し付けないでください」
「わかってるんならどうにかしろ」
「……ぁ、んっ!」

 まくし立てるようにジェラルドはエリスの体内に沈めている指を暴れさせた。
 立っていられなくなり、ずるずると座り込む。立ち込める湯気だけでも暑かったが、肩まで浸かるとよけいにそうだった。
 ジェラルドに体の向きを変えられる。彼と顔を突き合わせるなり唇を覆われる。――求められている。
 エリスは彼の腕に添えていた右手を下へ滑らせた。雄々しさを増している男根をつかんで前後にこすり立てる。

「……っ、ふ」

 ジェラルドが艶めかしくうめく。
 素直に彼の言う通りに「どうにか」しているのは、たぶん嬉しかったからだ。
 彼が、あまり好きではない乗馬をしてまで迎えに来てくれたことが。
 どんな理由であれ必要とされていることに内心では喜んでいる自分が、確かにいた。

前 へ    目 次    次 へ