(……どう答えよう)
病院勤務への誘いは受けていない、と嘘をついても、ミルズとジェラルドが話をする機会があればすぐに嘘が知れてしまうだろう。エリスはひとまず素直に事実を話すことにした。
「お誘いは受けましたけど、お断りしました」
「なぜ。俺よりもミルズ先生のほうが優しいんだろう?」
エリスの視線が薄暗闇の室内をさまよう。
「ノースヴィア病院は……患者さんとお話しする暇もないんです。それは、嫌ですから」
「……それだけか?」
「ええ、それだけです」
彼がなにを期待しているのか、わかるようでわからない。それを期待して欲しいと思うことを自身も期待しているのだと認めたくなかった。
「……きみはよくわからない」
嘆きを含んだ声音でぼやいたあと、ジェラルドはふたたび顔をエリスの胸へと近づけて口を大きく開けた。今度は乳頭を口腔に収めるつもりなのだろう。
(私のこと、わかろうとしてくれてるの?)
不意に思った。胸の奥がキュッと甘く締めつけられる。けれど深く考える余地がない。彼の口に含まれた乳嘴はひどく熱を持った舌になぶられて激しく踊らされている。
「ふ……っ、ん、ぁッ」
舌が薄桃色のつぼみをなぶるたびに下肢の熱が上がっていくようだった。体は疲れていたことを忘れて悦び一色に染まり始める。
病院では夜勤があったがいまも似たようなものだ。眠りには入らず悦楽を得ることに勤しんでいる。
エリスが官能の深みにはまったとみるやジェラルドは舌だけでなく両手も使いだした。乾いたまま硬くなっているほうの乳頭を二本の指でつまみ上げ、もう片方の手は下半身の茂みをこれ見よがしに漁り、ふっくらとした恥丘を撫でたどる。
脈を打つたびに濡れていっている。今宵のジェラルドの愛撫はもどかしく、どこか物足りない。わざとそんなふうにしているに違いない。エリスはじれったさで息が上がっていく。
「――俺にまたがって、咥えろ」
静寂な室内には彼の声がやけに響いた。ジェラルドがこういう指示を出すときにさせられることと言えばアレしかない。
「イヤ……です」
口ではそう言いながらも、結局は言いなりにならなければならないことをすでに知っている。どうしたって抗えない。彼が主人だからというだけでない。堕落したこの体は施し施されることがいかに悦ばしいのかを熟知している。
「早く」
ジェラルドはエリスにのしかかるのをやめてトラウザーズの前を開いて下穿きをずらし、ベッドに仰向けになった。
「わかっていると思うが、きみの尻はコッチだからな」
「………」
エリスは渋面を浮かべつつもむくりと起き上がり、彼の足先のほうへ頭を向けてゆっくりとまたがる。性感帯を中途半端に舐めいたぶられて、不本意ながら不満だったのは間違いない。
「……ッ」
ものの見事に直立した一物に顔を寄せ、同時に腰を落とす。ジェラルドに尻をつかまれたのでそうせざるを得なかった。
ここまできて意地を張っても仕方がない。エリスが陰茎に舌を伸ばすと、タイミングを合わせたのかジェラルドもまた眼前の花弁を舌でつついた。尻をつかんでいるジェラルドの両手が張りのある肉をムニムニと揉み込む。
「ふっ……!」
陰唇にさしかかるぎりぎりのところにまで彼の指が届く。花芽をくすぐる舌とあいまって心地がよく、腰が揺れ動いてしまう。
(いやだ……。揺らしたくなんかないのに)
腰を揺すって快感を楽しんでいるのだとは思われたくない。しかしきっと蜜はすぐにあふれる。そうなれば弁明のしようがない。
エリスはあきらめを示すように鼻から長く息を吐いた。張り詰めた剛直の尖端からはぬめりのある液体がにじみ出ている。エリスはそれを舌ですくう。そうするようにいままでさんざん仕込まれてきた。
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病院勤務への誘いは受けていない、と嘘をついても、ミルズとジェラルドが話をする機会があればすぐに嘘が知れてしまうだろう。エリスはひとまず素直に事実を話すことにした。
「お誘いは受けましたけど、お断りしました」
「なぜ。俺よりもミルズ先生のほうが優しいんだろう?」
エリスの視線が薄暗闇の室内をさまよう。
「ノースヴィア病院は……患者さんとお話しする暇もないんです。それは、嫌ですから」
「……それだけか?」
「ええ、それだけです」
彼がなにを期待しているのか、わかるようでわからない。それを期待して欲しいと思うことを自身も期待しているのだと認めたくなかった。
「……きみはよくわからない」
嘆きを含んだ声音でぼやいたあと、ジェラルドはふたたび顔をエリスの胸へと近づけて口を大きく開けた。今度は乳頭を口腔に収めるつもりなのだろう。
(私のこと、わかろうとしてくれてるの?)
不意に思った。胸の奥がキュッと甘く締めつけられる。けれど深く考える余地がない。彼の口に含まれた乳嘴はひどく熱を持った舌になぶられて激しく踊らされている。
「ふ……っ、ん、ぁッ」
舌が薄桃色のつぼみをなぶるたびに下肢の熱が上がっていくようだった。体は疲れていたことを忘れて悦び一色に染まり始める。
病院では夜勤があったがいまも似たようなものだ。眠りには入らず悦楽を得ることに勤しんでいる。
エリスが官能の深みにはまったとみるやジェラルドは舌だけでなく両手も使いだした。乾いたまま硬くなっているほうの乳頭を二本の指でつまみ上げ、もう片方の手は下半身の茂みをこれ見よがしに漁り、ふっくらとした恥丘を撫でたどる。
脈を打つたびに濡れていっている。今宵のジェラルドの愛撫はもどかしく、どこか物足りない。わざとそんなふうにしているに違いない。エリスはじれったさで息が上がっていく。
「――俺にまたがって、咥えろ」
静寂な室内には彼の声がやけに響いた。ジェラルドがこういう指示を出すときにさせられることと言えばアレしかない。
「イヤ……です」
口ではそう言いながらも、結局は言いなりにならなければならないことをすでに知っている。どうしたって抗えない。彼が主人だからというだけでない。堕落したこの体は施し施されることがいかに悦ばしいのかを熟知している。
「早く」
ジェラルドはエリスにのしかかるのをやめてトラウザーズの前を開いて下穿きをずらし、ベッドに仰向けになった。
「わかっていると思うが、きみの尻はコッチだからな」
「………」
エリスは渋面を浮かべつつもむくりと起き上がり、彼の足先のほうへ頭を向けてゆっくりとまたがる。性感帯を中途半端に舐めいたぶられて、不本意ながら不満だったのは間違いない。
「……ッ」
ものの見事に直立した一物に顔を寄せ、同時に腰を落とす。ジェラルドに尻をつかまれたのでそうせざるを得なかった。
ここまできて意地を張っても仕方がない。エリスが陰茎に舌を伸ばすと、タイミングを合わせたのかジェラルドもまた眼前の花弁を舌でつついた。尻をつかんでいるジェラルドの両手が張りのある肉をムニムニと揉み込む。
「ふっ……!」
陰唇にさしかかるぎりぎりのところにまで彼の指が届く。花芽をくすぐる舌とあいまって心地がよく、腰が揺れ動いてしまう。
(いやだ……。揺らしたくなんかないのに)
腰を揺すって快感を楽しんでいるのだとは思われたくない。しかしきっと蜜はすぐにあふれる。そうなれば弁明のしようがない。
エリスはあきらめを示すように鼻から長く息を吐いた。張り詰めた剛直の尖端からはぬめりのある液体がにじみ出ている。エリスはそれを舌ですくう。そうするようにいままでさんざん仕込まれてきた。