瀬上 晴翔は目をみはった。恋人である杏樹の兄で、20数年来の友人でもある大樹の結婚式へ出席するため彼女の実家へきていたのだが、家から出てきた彼女を見るなりおもわずあゆみを止めてしまった。
杏樹のドレス姿はなんともセクシーで、大きく開いた胸もととあらわになった白い太ももに目が釘付けになる。
「……晴くん、どうしたの」
杏樹は肩にかけていたショールを胸もとでかき合わせてこちらを見上げている。彼女の透き通った声はいつも晴翔の欲求をかき立てる。ふつふつと湧き起こる不埒な欲望に気づかないふりをして晴翔はほほえんだ。
「そのドレス、すごく似合ってるよ」
「あ……これ、ずいぶん前に買ったやつで……。その、丈がちょっと短いんだけど、それに気がづいたのが昨日の夜だったから」
新しいドレスを買いに行く時間がなかった、と言いながら杏樹は淡いピンク色のドレスのすそを指でつまんで引っ張った。そんなことをしたって丈が伸びるわけないのだが、そんな仕草すら可愛らしい。
「似合ってるからいいんじゃないかな。あ、もうバスがきてるね……。行こうか」
彼女の華奢な肩を抱いて、式場へ直通するマイクロバスへ向かう。大樹の実家を発着するバスにはすでに地元の男友達が乗り込んでいた。家から出てきた杏樹を下心のある目で見ていたようだから、牽制は必要だと思った。
「晴くんっ、普通に歩こうよ。恥ずかしいから放して」
杏樹は晴翔の手を払おうとしている。晴翔は「まあまあ」と言ってなだめながら手に力を込めた。無防備に美体をさらす彼女からひとときも離れたくない。
そのまま強引に歩き進めてバスに乗り込み、前のほうの座席に並んで座った。人前で肩を抱いたくらいで恥ずかしそうにうつむく杏樹は年齢のわりに純真で無垢だと思う。
それから間もなくしてバスは発車し、揺られること数十分、結婚式場に到着した。落ち着いたたたずまいの式場へ杏樹とともに入る。杏樹は晴翔に肩を抱かれるのがよっぽど嫌なようで、数歩下がって歩いている。
「ゲストが多いね。あいつが社長だっていうの、いまのいままで忘れてたよ」
「まあ、一応ね……。晴くんだって、社長みたいなものでしょ」
「そうか、じゃあ杏ちゃんは社長秘書だね」
彼女が眼鏡をかけてスーツを着ているところを妄想――もとい、想像してみる。
(秘書ごっこ、悪くないな)
顔がほころんでしまっていたのか、杏樹は不思議そうにこちらを見つめながら、
「なにニヤニヤしてるの、気持ち悪い」
と言って脇腹を小突いてきた。そのままその手をつかむ。彼女も握り返す。杏樹のこういうところも好きだ。ストレートにズケズケと毒を吐くくせに、たまに甘えてくるからそのギャップがたまらない。
強気な彼女を屈服させるのもいい。薄っぺらいドレスの下に隠された感度のいい身体。それを極限まで喘がせるのは、晴翔にとってこのうえない愉悦なのである。
杏樹のドレス姿はなんともセクシーで、大きく開いた胸もととあらわになった白い太ももに目が釘付けになる。
「……晴くん、どうしたの」
杏樹は肩にかけていたショールを胸もとでかき合わせてこちらを見上げている。彼女の透き通った声はいつも晴翔の欲求をかき立てる。ふつふつと湧き起こる不埒な欲望に気づかないふりをして晴翔はほほえんだ。
「そのドレス、すごく似合ってるよ」
「あ……これ、ずいぶん前に買ったやつで……。その、丈がちょっと短いんだけど、それに気がづいたのが昨日の夜だったから」
新しいドレスを買いに行く時間がなかった、と言いながら杏樹は淡いピンク色のドレスのすそを指でつまんで引っ張った。そんなことをしたって丈が伸びるわけないのだが、そんな仕草すら可愛らしい。
「似合ってるからいいんじゃないかな。あ、もうバスがきてるね……。行こうか」
彼女の華奢な肩を抱いて、式場へ直通するマイクロバスへ向かう。大樹の実家を発着するバスにはすでに地元の男友達が乗り込んでいた。家から出てきた杏樹を下心のある目で見ていたようだから、牽制は必要だと思った。
「晴くんっ、普通に歩こうよ。恥ずかしいから放して」
杏樹は晴翔の手を払おうとしている。晴翔は「まあまあ」と言ってなだめながら手に力を込めた。無防備に美体をさらす彼女からひとときも離れたくない。
そのまま強引に歩き進めてバスに乗り込み、前のほうの座席に並んで座った。人前で肩を抱いたくらいで恥ずかしそうにうつむく杏樹は年齢のわりに純真で無垢だと思う。
それから間もなくしてバスは発車し、揺られること数十分、結婚式場に到着した。落ち着いたたたずまいの式場へ杏樹とともに入る。杏樹は晴翔に肩を抱かれるのがよっぽど嫌なようで、数歩下がって歩いている。
「ゲストが多いね。あいつが社長だっていうの、いまのいままで忘れてたよ」
「まあ、一応ね……。晴くんだって、社長みたいなものでしょ」
「そうか、じゃあ杏ちゃんは社長秘書だね」
彼女が眼鏡をかけてスーツを着ているところを妄想――もとい、想像してみる。
(秘書ごっこ、悪くないな)
顔がほころんでしまっていたのか、杏樹は不思議そうにこちらを見つめながら、
「なにニヤニヤしてるの、気持ち悪い」
と言って脇腹を小突いてきた。そのままその手をつかむ。彼女も握り返す。杏樹のこういうところも好きだ。ストレートにズケズケと毒を吐くくせに、たまに甘えてくるからそのギャップがたまらない。
強気な彼女を屈服させるのもいい。薄っぺらいドレスの下に隠された感度のいい身体。それを極限まで喘がせるのは、晴翔にとってこのうえない愉悦なのである。