診察台でとろける身体 《 番外編 婚前旅行(3)

「っふ……ぁ、あんっ……んく」

お湯のなかだから、いつもよりすべりが悪い。それでも痛みを感じないのは、杏樹の蜜壺がしとどに濡れている証拠だ。

「そんなに締め付けないで、杏樹」

「だ……って、晴くん……っぁ、激し……ぃ、ぁ……!」

律動による水音は聞こえない。その代わりにふたりがつかっているお湯がバシャバシャと波立って揺れていた。晴翔は小刻みに腰を動かしている。

「はぁ……っぁ、あつい……ん、んぅっ」

突然、晴翔が動きを止めた。真剣な表情で杏樹を見つめている。

「晴くん……?」

「……ここから出ようか。杏樹、のぼせそうだから」

引き抜かれそうになった陰茎を留めるように杏樹は彼にしがみつく。

「ん……平気だよ」

「だーめ。医者の言うことは素直に聞きなさい」

「……まだ、したい」

小さな声でそう言うと、とろけるような口づけが落ちてきた。しかしそれはほんのいっときだった。

「……ッ!」

杏樹を肩に担ぎ上げて晴翔は湯から上がる。急に視界が高くなって、少し恐ろしくもあった。脱衣室まで行くと手近にあったバスタオルをフワリと背中に掛けられる。このまま寝床へ向かう気なのだろう。ここの客室は和を基調としたモダンな造りだから、布団ではなくベッドだった。

「晴くんっ、シーツが濡れちゃうよ」

「どうせ杏樹の いやらしい蜜で濡れるんだから、一緒だよ」

晴翔は杏樹をベッドに寝かせた。
見上げると、彼の髪の毛から雫がポタリと落ちた。互いの身体はまだ濡れている。温泉ならではの ぬめり感が素肌に残っていて、彼はそれを確かめるように手を這わせて乳房を掴んだ。

「はふっ……ぁ、ンン……!」

先端を捻られる。お湯の中で触れられたときよりも如実に彼の指の感触がする。それは下半身も同じで、今度は ずちゅ、ぬちゅっと大きな音を立てながら正面から肉棒が突き刺さった。

「ぁん、ん……っ、そんな、急に……はぅっ、ふ……!」

ギシッ、ギシッとベッドのスプリングが大きく軋み、律動の激しさを物語る。再び挿入された怒張はさっきよりも猛っているように思えた。

「はぁ……っ、ほら……杏樹の蜜が飛び散って、ベッドが ぐちゃぐちゃだよ」

「やんっ、んん……ッ!」

晴翔は陰茎を根元まで突き刺しては、ぎりぎりのところまで引き抜く。そうすることで、杏樹の中でどんどん溢れる愛液を外へと散らしているのだ。そのダイナミックな動きは膣襞を存分に擦り立て、彼のペニスが往復する度に どうしようもない快感が駆け巡る。

「っぁ、ああ……ふ、はぅっ……晴くん、もう……イかせて……っ!」

この上なく焦れったかった。気持ちが良すぎて意識が遠のいてくる。だからこそ早く達してしまいたいのに、彼はそれを許さない。

「まだ、だめ……。どうしてもって言うなら、可愛らしくお願いして。いつもみたいに」

「あ、あんん……っ!」

愉悦に満ちた表情で晴翔は杏樹の乳首を捻り上げる。最近はこうしてお願いをさせられてばかりいる気がする。不服と言えばまあそうなのだが、それでも従ってしまうのは自分が気持ち良くなりたいから、だけではない。

「あ……ん、愛してる……だから、晴くん……!」

彼を愛しているからこそ、心身ともに蕩ける絶頂を二人で感じたいのだ。

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