「せ、せっかく花見にきたんだ。桜を見よう」
龍我はいかにも気を取り直してといったふうにあからさまに正面を向いて言った。
「うん。あ、でも……さすがにこの格好じゃ外に出れないし」
男物の大きなジャケット一枚では、いくらひとけがなくても車の外に出るのははばかられる。
「あー……そうだな。じゃあ天井を開けるか」
「え、開くの?」
「うん。シート倒して、寝転がってて」
友梨は言われたとおりに座席をうしろへ倒して天井を見つめた。
視界がひらけていく。
ムーンルーフが静かにひらく。薄明かりに照らされた桜色の花びらが一面に広がっていた。
「わ、きれい……」
「そうだな」
いつの間にか龍我がとなりの座席に同じように寝転がっていた。
ちらり、と横目で彼を見やる。
(ぜんぜん気がつかなかったな。龍我が、私のこと……)
彼には妹くらいにしか思われていないと思っていた。
ほのかな恋心があったからこそ、夜遅くまで彼の部屋で過ごしたこともあったのだ。
(どうしよう、妙に意識しちゃう)
彼の気持ちを知ったからなのか、異性として強く意識してしまう。いまの自分の格好も影響しているかもしれない。
(でも、いまさらだよね……。私も龍我のこと、少しだけ気になってたなんて告白したところで、都合のいい女って感じだし。黙っておこう)
ふう、と静かに息を吐いてぼんやりと桜空を眺める。花びらの隙間から星が瞬いているのが見えた。美しさの競演だ。
「友梨」
低い声が響く。昔、幼いころに聞いていたものとは似ても似つかぬ低音。
「……なに?」
「僕は、友梨のことがずっと好きだった。小さいころから、ずっと。こんなことを言ったら軽蔑されるかもしれないけど、友梨の写真を眺めながらひとりでシてた」
トクン、トクン。脈がどんどん速くなっていく。
「いまも、その……我慢するのが、つらい。友梨がそんな格好をしてるから」
ドクン、ドクン。脈拍がうるさい。
「そんなに、つらいの?」
「……うん」
「どうすれば、楽になる?」
ずるいことばかりを彼に問いかけている。そういう自覚はあった。
「……さわっても、いい? 友梨の身体」
どくん、と脈づいたのは心臓ではなく下半身の蜜奥だ。
「さ、さわる、だけなら……」
嘘だ。それ以上の行為をすでに期待している。甘い焦燥感が頭のなかにまで駆け巡っている。
龍我は銀縁の眼鏡をはずしてスライドドアのポケットに無造作におさめて立ち上がった。広い車内だが、長身の彼だから上半身をかがめてこちらへ近づいてくる。
友梨は座席に寝転がったまま龍我を見上げた。一面の桜が、いまはたんなる背景でしかない。
座席の端に片手をつく龍我。もう片方は友梨の頬にある。
「……っ」
ほっぺたを撫でられているだけなのにとてもくすぐったい。
大きな手が頬から首すじへ、そして鎖骨のもっと先へおりていく。
龍我から借りていたジャケットはいまや肩に羽織っているだけだ。正面を隠すものはなにもない。
「っぁ……」
ふくらみの輪郭をたどっていく指はつめたい。車の天井は開いたままだから、吹き込む風もつめたい。
ぞくり、と全身が粟立つ。
「やわらかい。友梨のおっぱい」
「んっ、な……」
彼の口から「おっぱい」などという言葉を聞くのが不可思議だった。
「龍我、くすぐったい、よ……」
乳房に触れるか触れないかのぎりぎりのところを指が這う。やわらかい羽根で撫でられているような感覚だ。
「そっか」
龍我がほほえむ。とても嬉しそうだ。
どうしてか、彼の顔を見ていられなくなった。気恥ずかしくなって視線をそらす。
「……照れてる?」
「ん、ぅ……っ!」
指がふくらみのいただきをゆるく撫でた。尖った形になっているのを愉しむように前後左右に指を這わせられている。
「あっ、あ……! んっ」
ふくらみの先端が硬くなっている。硬さを増したつぼみが龍我の指を弾く。
コリコリとなぶられている。
「ああっ! は……っぅ、う」
「かわいい、友梨」
龍我が身をかがめた。胸もとに顔を寄せている。
「っ、龍我、待って……私」
「うん? なに」
「これ以上は、だめ……。車のシート、汚しちゃう」
ダークブラウンの髪の毛を見おろして言った。彼の髪の毛はもとからこんな色だ。陽に当たるとよけいに茶の色味が増すが、月明かり程度ではいつもより黒っぽく見える。
「……いいよ。いくらでも濡らして」
「なっ、だってさっきは、だめって……っぁ、あ!」
じゅるっ、じゅるるっとひどい水音がし始める。
龍我は友梨のふくらみのいただきに食らいついて貪った。もう片方の乳首も指で丹念にこすり合わせて悦ばせている。
「んぁっ、あ……! は、ふ」
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龍我はいかにも気を取り直してといったふうにあからさまに正面を向いて言った。
「うん。あ、でも……さすがにこの格好じゃ外に出れないし」
男物の大きなジャケット一枚では、いくらひとけがなくても車の外に出るのははばかられる。
「あー……そうだな。じゃあ天井を開けるか」
「え、開くの?」
「うん。シート倒して、寝転がってて」
友梨は言われたとおりに座席をうしろへ倒して天井を見つめた。
視界がひらけていく。
ムーンルーフが静かにひらく。薄明かりに照らされた桜色の花びらが一面に広がっていた。
「わ、きれい……」
「そうだな」
いつの間にか龍我がとなりの座席に同じように寝転がっていた。
ちらり、と横目で彼を見やる。
(ぜんぜん気がつかなかったな。龍我が、私のこと……)
彼には妹くらいにしか思われていないと思っていた。
ほのかな恋心があったからこそ、夜遅くまで彼の部屋で過ごしたこともあったのだ。
(どうしよう、妙に意識しちゃう)
彼の気持ちを知ったからなのか、異性として強く意識してしまう。いまの自分の格好も影響しているかもしれない。
(でも、いまさらだよね……。私も龍我のこと、少しだけ気になってたなんて告白したところで、都合のいい女って感じだし。黙っておこう)
ふう、と静かに息を吐いてぼんやりと桜空を眺める。花びらの隙間から星が瞬いているのが見えた。美しさの競演だ。
「友梨」
低い声が響く。昔、幼いころに聞いていたものとは似ても似つかぬ低音。
「……なに?」
「僕は、友梨のことがずっと好きだった。小さいころから、ずっと。こんなことを言ったら軽蔑されるかもしれないけど、友梨の写真を眺めながらひとりでシてた」
トクン、トクン。脈がどんどん速くなっていく。
「いまも、その……我慢するのが、つらい。友梨がそんな格好をしてるから」
ドクン、ドクン。脈拍がうるさい。
「そんなに、つらいの?」
「……うん」
「どうすれば、楽になる?」
ずるいことばかりを彼に問いかけている。そういう自覚はあった。
「……さわっても、いい? 友梨の身体」
どくん、と脈づいたのは心臓ではなく下半身の蜜奥だ。
「さ、さわる、だけなら……」
嘘だ。それ以上の行為をすでに期待している。甘い焦燥感が頭のなかにまで駆け巡っている。
龍我は銀縁の眼鏡をはずしてスライドドアのポケットに無造作におさめて立ち上がった。広い車内だが、長身の彼だから上半身をかがめてこちらへ近づいてくる。
友梨は座席に寝転がったまま龍我を見上げた。一面の桜が、いまはたんなる背景でしかない。
座席の端に片手をつく龍我。もう片方は友梨の頬にある。
「……っ」
ほっぺたを撫でられているだけなのにとてもくすぐったい。
大きな手が頬から首すじへ、そして鎖骨のもっと先へおりていく。
龍我から借りていたジャケットはいまや肩に羽織っているだけだ。正面を隠すものはなにもない。
「っぁ……」
ふくらみの輪郭をたどっていく指はつめたい。車の天井は開いたままだから、吹き込む風もつめたい。
ぞくり、と全身が粟立つ。
「やわらかい。友梨のおっぱい」
「んっ、な……」
彼の口から「おっぱい」などという言葉を聞くのが不可思議だった。
「龍我、くすぐったい、よ……」
乳房に触れるか触れないかのぎりぎりのところを指が這う。やわらかい羽根で撫でられているような感覚だ。
「そっか」
龍我がほほえむ。とても嬉しそうだ。
どうしてか、彼の顔を見ていられなくなった。気恥ずかしくなって視線をそらす。
「……照れてる?」
「ん、ぅ……っ!」
指がふくらみのいただきをゆるく撫でた。尖った形になっているのを愉しむように前後左右に指を這わせられている。
「あっ、あ……! んっ」
ふくらみの先端が硬くなっている。硬さを増したつぼみが龍我の指を弾く。
コリコリとなぶられている。
「ああっ! は……っぅ、う」
「かわいい、友梨」
龍我が身をかがめた。胸もとに顔を寄せている。
「っ、龍我、待って……私」
「うん? なに」
「これ以上は、だめ……。車のシート、汚しちゃう」
ダークブラウンの髪の毛を見おろして言った。彼の髪の毛はもとからこんな色だ。陽に当たるとよけいに茶の色味が増すが、月明かり程度ではいつもより黒っぽく見える。
「……いいよ。いくらでも濡らして」
「なっ、だってさっきは、だめって……っぁ、あ!」
じゅるっ、じゅるるっとひどい水音がし始める。
龍我は友梨のふくらみのいただきに食らいついて貪った。もう片方の乳首も指で丹念にこすり合わせて悦ばせている。
「んぁっ、あ……! は、ふ」