「あ、あれっ? いない……」
王子様を呼び出すことになってしまった元凶の本を購入した場所まで、ウィルとともにやってきたものの、路上販売をしていたフード男の姿はなかった。
もうあたりは真っ暗だし、それもそうか。
「この場所で、そのフードの男とやらが本を売っていたんだね?」
道すがら、ウィルにはことのいきさつを話していた。
美菜は「うん」とだけ返す。
「もう店じまいにしちゃったのかもね……」
美菜がポツリとそう言うと、となりに立っていた王子様が大きくため息をついたのがわかった。
フード男は見当たらない。
王子様を呼び出してしまったけれど、彼がもといた世界に戻る方法がわからない。
もしも逆の立場だったら、本当にいい迷惑だ。
「ウィル、ごめん……」
「ミナが気にすることじゃないよ。ひとまず戻ろうか、きみの家に」
ウィルはどこか別のところに視線を投げて、落ち着いたようすで静かにそう言った。
自宅に戻った美菜は目を丸くしていた。
「あ、あの……?」
ベッドのうえで金髪琥珀色の瞳の王子様に組み敷かれているのはデジャヴ。
先ほどと違うのは、王子様が服を着ていることと、それから美菜がパジャマではないということだ。
「さて、それじゃあ……生娘のきみにいろいろ教えてあげる」
「そっ、え……!? 本気だったの?」
「もちろん。王子様に二言はないよ」
琥珀色の瞳がすぐ目の前にある。どくどくと心臓がうるさく鳴り始めた。
王子様の真剣な表情に、緊張感が増す。
「ああ、ええと……まだ、心の準備が」
「段階を踏むんだったよね。まずは耳からいこうか」
「みっ、みみみ!?」
一文字多いのは動揺しているからだ。
ウィルがいったいどういう段階を踏むつもりなのかまったく見当がつかない。
「っ、う」
耳たぶを食べられた。
舌でぴちゃぴちゃとなぶられ、聞くに耐えない水音が響き始めた。
「んっ、くすぐったい……っ! や、やめて」
耳のなかにまで舌を入れられるのはなんだか嫌だ。両手で思いきり彼の胸を押す。
「怖がらないで、葉っぱのお姫様」
「……っ!」
わき腹をくすぐるような声音だった。ぞくぞくっと手足の先が痺れてしまう。
「んっ……!」
耳たぶをなぶられていたときよりもいっそうダイレクトに響く水音。
彼の胸に添えていた両手から力が抜けてしまう。
「一緒に気持ちよくなろうよ」
「ふぁ、は……っ」
耳を這っていた舌が首すじにおりてきた。ねっとりと熱い舌が肌をたどっている。
むずがゆいのに、気持ちよさもあって、よくわからない。
「あっ」
不意にシフォンブラウスをめくりあげられた。
美菜はびくっと肩を震わせる。
「これ、下着? コルセットみたいなものか。どうやってはずすのかな」
ブラジャーのカップのうえから、探るように触れられている。
「僕、あんまり器用なほうじゃなくて……。ごめんね、まくり上げるよ」
「っ!」
ぐいっといっきにブラジャーを押し上げられた。
「やっ、あ」
とっさに両腕で胸を隠すものの、ウィルはその両腕をつかんでベッドに縫い付ける。
「小さくて可愛い胸だね。先っぽの感度はどうかな」
つんっと薄桃色の先端を指で押され、
「ひぁっ!」
頓狂な声を上げて肩をすくめる。片方の手は押さえられているわけではないから、胸を隠そうと思えばできたのだけれど、ふくらみの先端をクニクニと押されているせいで力が入らない。
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王子様を呼び出すことになってしまった元凶の本を購入した場所まで、ウィルとともにやってきたものの、路上販売をしていたフード男の姿はなかった。
もうあたりは真っ暗だし、それもそうか。
「この場所で、そのフードの男とやらが本を売っていたんだね?」
道すがら、ウィルにはことのいきさつを話していた。
美菜は「うん」とだけ返す。
「もう店じまいにしちゃったのかもね……」
美菜がポツリとそう言うと、となりに立っていた王子様が大きくため息をついたのがわかった。
フード男は見当たらない。
王子様を呼び出してしまったけれど、彼がもといた世界に戻る方法がわからない。
もしも逆の立場だったら、本当にいい迷惑だ。
「ウィル、ごめん……」
「ミナが気にすることじゃないよ。ひとまず戻ろうか、きみの家に」
ウィルはどこか別のところに視線を投げて、落ち着いたようすで静かにそう言った。
自宅に戻った美菜は目を丸くしていた。
「あ、あの……?」
ベッドのうえで金髪琥珀色の瞳の王子様に組み敷かれているのはデジャヴ。
先ほどと違うのは、王子様が服を着ていることと、それから美菜がパジャマではないということだ。
「さて、それじゃあ……生娘のきみにいろいろ教えてあげる」
「そっ、え……!? 本気だったの?」
「もちろん。王子様に二言はないよ」
琥珀色の瞳がすぐ目の前にある。どくどくと心臓がうるさく鳴り始めた。
王子様の真剣な表情に、緊張感が増す。
「ああ、ええと……まだ、心の準備が」
「段階を踏むんだったよね。まずは耳からいこうか」
「みっ、みみみ!?」
一文字多いのは動揺しているからだ。
ウィルがいったいどういう段階を踏むつもりなのかまったく見当がつかない。
「っ、う」
耳たぶを食べられた。
舌でぴちゃぴちゃとなぶられ、聞くに耐えない水音が響き始めた。
「んっ、くすぐったい……っ! や、やめて」
耳のなかにまで舌を入れられるのはなんだか嫌だ。両手で思いきり彼の胸を押す。
「怖がらないで、葉っぱのお姫様」
「……っ!」
わき腹をくすぐるような声音だった。ぞくぞくっと手足の先が痺れてしまう。
「んっ……!」
耳たぶをなぶられていたときよりもいっそうダイレクトに響く水音。
彼の胸に添えていた両手から力が抜けてしまう。
「一緒に気持ちよくなろうよ」
「ふぁ、は……っ」
耳を這っていた舌が首すじにおりてきた。ねっとりと熱い舌が肌をたどっている。
むずがゆいのに、気持ちよさもあって、よくわからない。
「あっ」
不意にシフォンブラウスをめくりあげられた。
美菜はびくっと肩を震わせる。
「これ、下着? コルセットみたいなものか。どうやってはずすのかな」
ブラジャーのカップのうえから、探るように触れられている。
「僕、あんまり器用なほうじゃなくて……。ごめんね、まくり上げるよ」
「っ!」
ぐいっといっきにブラジャーを押し上げられた。
「やっ、あ」
とっさに両腕で胸を隠すものの、ウィルはその両腕をつかんでベッドに縫い付ける。
「小さくて可愛い胸だね。先っぽの感度はどうかな」
つんっと薄桃色の先端を指で押され、
「ひぁっ!」
頓狂な声を上げて肩をすくめる。片方の手は押さえられているわけではないから、胸を隠そうと思えばできたのだけれど、ふくらみの先端をクニクニと押されているせいで力が入らない。