双鬼と紅の戯曲 ~君主は秘かに専属侍女を愛でる~ 《 第三章 07

 もうこれ以上はないというくらいに気持ちがよくなるのに、彼の指が動くたびに快感は際限なくふくれ上がる。
 くちゅ、ぬちゅっという水音はどこから聞こえてくるのだろう。自分の体から発せられているような気がするが、実際に目で見て確かめる勇気はない。

(だって、極夜さまの指が……動くから、こんな音が出るのよね……?)

 脚の付け根の奥はどうやら指が入り込む隙があるらしい。
 勇気を振り絞ってちらりと下を見やれば、彼の指を体がのみこんでいるではないか。極夜の中指は付け根まですっぽり埋まっている。

(や、やっぱり……見なければよかった!)

 とんでもなく恥ずかしい上に、どうしてか極夜の指の動きが激しくなってしまった。
 ぐちゅぐちゅっと大きな水音が立って、内側をこすられる感覚がますます強くなる。そのことにばかり神経が集中する。
 粒になっているところをツンッと押されれば、絶叫してしまいたくなるほどの快感に襲われた。

「ふぁ、あっ、あぁ……!」

 止まらない喘ぎ声とともに快感がのぼりきって、ドクドクと脈づいたあとで引いていく。下半身がひとりでにピクッ、ピクッと小刻みに震える。
 極夜は鈴音のなかからゆっくりと指を引き抜き、自身の着物の裾をかきわけた。

「全部、ほしい……」

 熱に浮かされたように言葉をつむぎ、鈴音の両脚を左右に押し開く。
 極夜がなにをほしがっているのか、すぐにはわからなかった。
 できるすべてものを捧げたいから、抵抗なんてしない。
 ただ、とてつもなく大きな肉塊を脚の付け根に押し当てられたので、少しばかり怯んでしまう。
 極夜は確認するようにじいっとこちらを見つめてくる。
 怖いという思いはあったけれど、こくりとうなずく。
 すると、いっきに彼が押し入ってきた。

「アッ――……!」

 肉竿が体内を貫くにつれ、声を出すのもはばかられるような壮絶な痛みに見舞われる。
 極夜は眉根を寄せて、腰を進めるのをやめた。

「……痛むか?」

 ――痛い。けれど、彼とつながっている。
 いますぐ抜いてほしい。でも、彼の欲していることならば――最後まで応えたい。
 しばし葛藤したのち、鈴音は「平気です」と嘘をつく。
 極夜は小さな声で「すまない」と言って、肉の棒を押し進めた。鈴音の嘘に気がついている。
 肉茎を鈴音のなかにすべておさめると、極夜はしばらく動かなかった。
 彼が深呼吸をするものだから、こちらまで深い息になる。
 愛おしいものを包み込むように、彼の手のひらが頬に添う。撫でまわされると、まるで「愛している」とささやかれているようだった。
 それからどちらともなく、唇が重なった。

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