双鬼と紅の戯曲 ~君主は秘かに専属侍女を愛でる~ 《 終章 02


「すみずみまで……おまえに無断で、いじくりまわしていた。すまない」
「そっ……そう、なのですか」

 もしや、ときどき夢に見ていた淫戯は現実だったのでは――と思ったが、いまさらだ。いまさら気にしたところで、仕方がない。過ぎたことだ。

「愛している、鈴音」

 とびきり甘い声音でそうささやかれるものだから、快感が幸福感をともなって体と心に広がっていく。

「ん――」

 愛する人に体をまさぐられていたのだ。不快感はない。ただ、「すみずみまで」というのが恥ずかしいだけ。
 高まる気持ちとともに彼の手の動きも激しくなる。ひとりでに尖りきったいただきを複数の指がなぶりだす。

「ぁん、んっ……ふ、あぁ……!」

 胸の先をそんなふうにめちゃくちゃにされて恥ずかしいと思う反面、愛撫されるたびにそういった羞恥心が抜けていくので不思議だ。いや、気にならなくなるというほうがきっと正しい。彼の指戯に溺れている。
 極夜の指先は乳頭をなぶるのをやめ、今度はすりつぶすようにこねはじめた。まるで手遊びだ。
 そうして遊ばれていても、気持ちいいのには違いない。

「ひぁ、んっ……!」

 高い声を出すのにもすっかり慣れてしまった。口から自然と嬌声がこぼれでる。同時に、脚の付け根がムズムズしてくるのもおなじみだ。
 極夜は鈴音がもどかしそうにしているのを見て、すかさずそこへ右手を向かわせた。
 真っ白な着物の裾を何枚もかきわけて、秘された小さな口を手探りする。

「ああ、ほら……もうこんなに濡らして」

 隘路の浅いところに溜まっていた蜜を指で外へとかきだされる。

「んんっ、ゃっ……あ、あぁっ」

 はじめてそこを指でまさぐられたときはあせりやおそれがあったけれど、いまは腰を揺らして悦ぶばかりだ。
 極夜は鈴音の蜜洞の最奥まで指を挿し入れて、湿り具合を確認したあとで「すぐにでも入りそうだ」とつぶやいた。
 その言葉にますます官能を刺激されて鈴音は身もだえする。

「ほしいか?」

 問われ、すぐにでも首を縦に振りそうになったが、はしたないという思いが待ったをかけて返事をためらわせる。

「ふっ……ぅ、んぅ」

 鈴音が返事をせずとも極夜は彼女の着物をめくり上げて、つながる準備をする。
 準備万端になったところでふたたび尋ねられた。いや、決めつけられた。

「次から次に蜜があふれてくる。口で言わずとも、体がほしがっている」
「ん、あぁ……ッ!」

 腰を引かれ、うしろから硬直で貫かれる。
 もうそれ以上はいけないというところまでいっきにやってきたが、濡れすぎた狭道は快感しか生まない。

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